http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/729.html
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ロシアの組織的なドーピング問題をめぐり、世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が9日に公表した調査報告書はスポーツ界に大きな衝撃を与えた。国ぐるみの腐敗の構図は五輪の根幹を揺るがす規模のスキャンダル。調査責任者だったパウンド氏は「旧ソ連システムの残骸」と指摘した。
▽裏機関のすり替え
「陽性反応のデータを隠すために選手はロシア陸連に2万ルーブル(約3万8千円)、検査所の責任者に3万ルーブルを支払った」。匿名の選手の証言は賄賂の常態化を物語る。
モスクワにはWADA公認の検査所とは別の「第2検査所」が存在し「隠れみの」として使われた。陽性と判定された検体は故意に破棄され、代わりに陰性の検体が公認の検査所に送られる「裏機関のすり替え」という役割を担っていた。
モスクワやソチ冬季五輪の検査所には強大な治安権限を持つロシア連邦保安局(FSB)が頻繁に出入りし、責任者が週に一度は「WADAの状況」を説明させられたという。1417の検体が意図的に破棄された背景には政府の圧力やFSBの関与も疑われている。
▽汚職は「文化」
冷戦時代から勝利至上主義の不正が横行してきたロシアのドーピング問題は「汚職」としても発展する気配だ。フランスに本部を置く国際刑事警察機構(ICPO)が捜査に乗り出しており、第三者委は今回の調査で集めた証拠を真相解明のために提供した。国際陸連のディアク前会長(セネガル)は収賄の容疑でフランス司法当局に捜査されており、ICPOは「各国警察の捜査網を生かし、ドーピングだけでなく競技団体の汚職の捜査にも力を入れる」と説明した。
8日の英紙サンデー・タイムズはロシア陸連がディアク前会長に100万ユーロ(約1億3200万円)、国際陸連反ドーピング部門の責任者だったドレ氏に20万ユーロを支払うことで違反の摘発を免れ、事実を隠したと報道した。「賄賂と汚職がロシア文化」との見方まで出ている。
▽追い込まれるロシア
調査報告にロシアのムトコ・スポーツ相は「証拠に乏しい」と反発しながらも、同国は追い詰められつつある。第三者委の求めた通りにモスクワの検査所はWADAの認定を取り消され、検査所トップも辞任。国際陸連は処分を協議する臨時理事会を13日に開くことになった。ロシア陸連の資格停止など、厳しい姿勢で臨むとみられる。
陸上界は8月に2001年から12年に開かれた五輪と世界選手権で146個のメダルにドーピング疑惑があると報じられ、パウンド氏は「まだ調査中で今後も事例が出てくる」と予告する。国際オリンピック委員会(IOC)副会長でWADAのリーディー委員長は「ルールが守られなければスポーツは成立しない。ロシアや陸上だけの問題ではなく、五輪の存在意義も問われる危機だ」と警鐘を鳴らした。(ロンドン共同)
http://www.47news.jp/47topics/e/270889.php
今回のロシアによる国家ぐるみのドーピング工作事件は、この記事でも指摘されている通り、ロシアの政治・司法・行政のあらゆるレベルに「賄賂」の慣行が深く根を下ろしていることを抜きにしては語れない。ロシア社会は表面ではわからないが、生活していくうえで「賄賂」を要求されることが半ば常識となてっている。それはなぜかというと公務員の給与が極端に少なかったからである。賄賂なしでは生活できないため賄賂が公然とまかり通っていた。現在では公務員の給与が上がっているが、長年に渡って染みついた賄賂の慣行はなくなっていない。そのうえに現在ではエネルギー価格の暴落で外貨が極端に減少しているため、公務員の給与がカットされる可能性が出てきている。
こうした「賄賂の」の慣行が当然のように存在するロシア社会では、「不正」行為はやって当たり前という状態である。国威発揚のためには国家ぐるみでドーピング工作に手を染めてきたのも、こうしたロシア社会に巣くう「腐敗」「堕落」のシステムが当然の帰結として生み出したものだ。
ロシア社会の「腐敗」「堕落」は世界的にも最もひどい部類のものである。こうした「腐敗」「堕落」が16年に及ぶプーチン支配下でなくなるどころかますますひどくなっている。プーチンは「国威発揚」を自らの支持基盤の確保に利用しているが、今回の国家ぐるみのドーピング工作事件も「国威発揚」が目的と考えられ、プーチン自身の責任もまた大きいと言わなければならない。
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