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(回答先: 米国は人民元のSDR採用を支持、ルー財務長官が中国副首相に伝達:中国、カナダを抜いて米国の最大の貿易パートナーに 投稿者 あっしら 日時 2015 年 11 月 08 日 00:39:06)
[大機小機]人民元とSDR
中国政府は自国通貨である人民元をSDR(特別引き出し権)の構成通貨にしようと国際通貨基金(IMF)に強く働きかけている。SDRによる取引は原則としてIMFと各国の中央銀行や財務省しか関与しないため、一般にはなじみが薄い。従来の米ドル、ユーロ、円、ポンドと並んで、人民元がSDRの構成通貨に参加することの問題とは何か。
SDRという言葉には、構成通貨を加重平均して算出した通貨バスケットの計算単位という意味がある。4カ国通貨のコインを一定数だけ詰め合わせたものをSDRと呼んで、売買や貸借の金額の単位にするもので、現在の価値は約1.4ドルである。
また、SDRには「IMF加盟国相互の資金融通制度」という意味もあり、IMFへの出資比率に応じて各国に借入枠が与えられている。この借入枠には返済期限がなく、SDR構成通貨の加重平均金利を支払うことで、無期限に使用できる。この資金の出し手はIMF加盟国の中で外貨準備が豊富な先進国が選ばれるのが通例で、資金の出し手は、SDRの金利を受け取ることができる。
このようなSDRの機能を考えると、人民元をSDRの構成通貨に加えるには、広く国際貿易や国際資金取引に用いられる必要がある。中国の貿易額は大きく、その面からは人民元はSDRの構成通貨になる資格がある。
他方で資金取引では、なお多くの規制が行われている。特に中国に居住する人や企業が人民元を外貨に交換して対外投資を行う場合や、中国以外の地域に住む人や企業が自国通貨を人民元に交換して中国に投資することについては、中国政府による広範な規制が行われている。このため、国際的な資金取引では人民元の使用は現在のSDRの構成通貨を大幅に下回っており、この面からは人民元のSDR構成通貨への参加は時期尚早だといえる。
さらに、人民元がSDRの構成通貨になると、IMFが国際収支の赤字国に資金援助する場合の金利などに影響を与える。人民元の金利は他の主要国金利よりも相当高く、資金返済が困難になる可能性もある。
人民元をSDRに加えるのは中国が国際的な資本移動を自由化してからにすべきであろう。
(山河)
[日経新聞11月6日朝刊P.21]
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