http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/701.html
Tweet |
北朝鮮に関するニュース映像をウォッチし続けているが、平壌の街を見る限り、金正恩氏の統治が進むにつれ、着ているものがよくなっただけでなく、人々の表情も、柔らかくなり明るくなった。
むろん金氏に限らず朝鮮労働党幹部にとって体制維持が絶対命題だが、「金もうけに走る若者、政治離れ」という状況を誘導しているのは金正恩氏自身ではないかと“疑っている”。
ごくごくゆっくりとした歩みでしかないが、金正恩氏は、「金もうけに走る若者、政治離れ」の国家社会に変えていくことが、末永い体制維持につながると判断しているのではないだろうか。
今の北朝鮮社会を日本の近代史にたとえるなら、「大正デモクラシー」に近いのかもしれない。
=================================================================================================
[真相深層]正恩氏が気にする新世代
北朝鮮、軍掌握でもにじむ焦り 金もうけに走る若者、政治離れ
北朝鮮の朝鮮労働党が10月30日、36年ぶりとなる最高指導機関の党大会を2016年5月初旬に開催すると決めた。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は党大会で側近の若手エリートを指導部に配置し、大幅な世代交代を進めるのではないかとの観測が広がる。「正恩体制確立の公式宣言」に隠された思惑は――。
頭上飛行に驚き
北朝鮮の国家機関に務めた経験をもつ脱北者はその光景に驚いた。10月10日に平壌で開いた朝鮮労働党創建70周年の軍事パレードでのことだ。デモ飛行隊が真向かいからひな壇の方面に飛んできて、そのまま正恩氏の頭上を通り過ぎたからだ。
飛行隊がかたどった労働党のマークや「70」が正恩氏や隣に並んだ劉雲山・中国共産党政治局常務委員から見やすいのは間違いない。が、飛行隊から狙われかねない危険との背中合わせでもある。父の金正日総書記時代はタブーだった。「軍部から信用され、自らも軍を完全に掌握しているとの自信を誇示した」
父の時代に後継者とされた正恩氏が公式に就いた最初のポストは軍部を押さえる党軍事部門の責任者。その後、軍の粛清や降格人事を繰り返した。パレードで飛行経路の変更を手ぶりを交えて劉氏に話す姿が映った。
元労働党幹部の脱北者は正恩氏の演説に目を凝らした。派手な目標を打ち立てない。軍事力をアピールする舞台なのに「核」に触れない。体制のスローガン「核と経済の並進路線」は「経済と国防の並進路線」と穏当な表現に変わった。長距離ミサイルの発射を見送ったのは「党ナンバー5を平壌に送った中国と取引したため」とみた。
正恩氏は25分間の演説で「人民」を90回も使い、「人民重視」と「軍隊重視」に「青年重視」を加えた三大戦略を掲げた。北朝鮮では疲弊する国家経済の代わりに全土約400カ所に広がる闇市場「チャンマダン」が市民生活を賄う。一般市民の間でも貧富の格差が生じ、金もうけに走る若者が増えた。当局から大規模工事に動員されたり、寄付を求められるなどして不満が強まっているという。「若者の政治離れが深刻になっている。市場経済で『負け』が重なれば爆発しかねない」
軍部も世代交代
世代交代は軍部も例外でない。韓国の北朝鮮向け拡声器放送で北朝鮮側が敏感に反応するのは正恩氏に関する内容とされる。軍事境界線の最前線で若い軍人が耳にした放送内容が一般市民に流布する事態を警戒する。5日の朝鮮中央通信は、正恩氏が3、4両日に平壌で開いた朝鮮人民軍の大会で演説し、「軍事学校では政治・思想教育を優先させなければならない」と指摘したと報じた。
韓国情報機関、国家情報院の10月20日の国会報告によると、北朝鮮の在外公館などの駐在員が韓国に亡命するケースが相次ぎ、13年の8人から14年は18人、今年は同日までに20人に上る。支配層やエリート層でも正恩氏への忠誠心が低下しているとの分析がある。
来年5月の労働党大会では、北朝鮮で憲法より重く国家の基本方針となる党規約を改正する見通しで「正恩カラー」を前面に打ちだすとの見方が多い。さらに、来年1月に平壌で23年ぶりに開く金日成社会主義青年同盟の大会を新世代対策の中核に据えるとみられる。
同盟は14〜30歳の青年や学生、軍人らすべての加入を義務付けているとされる。規律や思想統制を締める狙いがある。軍部掌握に腐心してきた30代前半の指導者が心を砕くもう一つの難題だ。
北朝鮮で長距離ミサイルにかかる費用について、韓国軍事専門家は発射場建設に約720億円、開発に約360億円、1回あたりの発射に約180億〜240億円と試算する。「偉大な人民のために滅私奉公していこう」。正恩氏は軍事パレードでの演説をこう締めくくった。
「独裁者ではなく、『人民を守る大統領』になりたがっている」と元北朝鮮エリートたちは感じた。国家情報院の報告では、最近、正恩氏はこんな言葉を漏らしたという。「父は亡くなる前に『指導者生活がどんなに辛いかわかるようになる』と言っていたが、今になって理解できる」
(ソウル支局長 峯岸博)
[日経新聞11月6日朝刊P.2]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。