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欧州への難民や移民 1か月で去年1年分に/nhk
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/652.html
投稿者 仁王像 日時 2015 年 11 月 03 日 15:23:10: jdZgmZ21Prm8E
 

欧州への難民や移民 1か月で去年1年分に/nhk
11月3日 6時26分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151103/k10010292661000.html

 中東などからヨーロッパに渡った難民や移民の数が、先月1か月間だけで、去年1年分に匹敵する21万人余りに上っていたことが分かり、国連は引き続きEU=ヨーロッパ連合などに受け入れ施設の拡充を求める方針です。

 UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は2日、中東やアフリカなどから海を越えてヨーロッパに渡った難民や移民の数が先月、1か月当たりでは過去最多となる21万8000人余りに上ったことを明らかにしました。
これは、去年1年間の21万9000人に匹敵する数で、冬が近づき海の天候が悪化するなか、難民や移民がヨーロッパに到着するペースはさらに加速しています。
 このうちおよそ半数は内戦が続くシリアからの人たちで、トルコを経由して船やボートでギリシャのエーゲ海の島々に到着するケースが多くなっています。
 こうした事態にUNHCRの報道官は、NHKの取材に対し、「密航をあっせんする業者が、悪天候でも割引き料金を提示して、難民たちを船に乗せている実態がある」と指摘し、「引き続きEUなどに難民たちの受け入れ施設の拡充を求める」と話しています。
 また、ボートが転覆するなどして命を落とした難民や移民の数もことし、去年1年間を上回る3400人以上に上っています。ギリシャの当局によりますと、2日も、およそ300人が救助された一方で、少なくとも4人が死亡し7人が行方不明になるなど、事態は深刻化しています。  

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1. 2015年11月06日 05:26:55 : jXbiWWJBCA
2015年11月5日 橘玲
移民の「統合」に失敗したドイツが、それでも移民を受け入れる特殊な事情[橘玲の世界投資見聞録]
 ハンガリーのブダペスト駅で立ち往生しているシリアなどからの難民をドイツのメルケル首相が「上限なく受け入れる」と英断して、9月5日から6日にかけてミュンヘンに2万人が到着した。中央駅には難民の氏名などを登録するバイエルン州政府の大きなテントが設置され、その周囲には数百人の市民が集まり、長旅に疲れきった難民たちを拍手で迎えたという(報道によれば、9月になってからの2週間でミュンヘンに6万3000人の難民が押し寄せた)。
 私がミュンヘンを訪れたのはその1カ月後の10月はじめで、テントはすべて撤去され、難民の姿はどこにもなく、町は“ビールの祭典”オクトーバーフェスト一色だった。
ミュンヘン市庁舎。難民の影はどこにも感じられない (Photo:©Alt Invest Com)

人口8000万人で数十万人の難民受け入れるドイツ
 難民の大量流入の原因をつくったと批判されたメルケル首相は、「緊急事態に難民に優しくしたことを謝罪すべきだというなら、それは私の国ではない」と反論した。このようにドイツの「リベラル」ぶりは突出しており、その背景にナチス時代の暗い過去があることはしばしば言及される。それにしても人口8000万人の国で数十万人の難民の受け入れを覚悟するのは相当なことだ。日本との単純な比較は無意味だとしても、そこにはやはり見習うべきところがあるだろう。
 だがその一方で、ヨーロッパにおいて移民が社会の軋轢を生んでいることも間違いない。「反移民」を唱えるのはハンガリーのような東欧の「極右」政権だけではない。
 世界でもっともリベラルな社会を実現したスウェーデンでは、2010年と14年の総選挙で「税金を納めない移民のただ乗りを認めるな」と主張する“極右”の民主党が第三党に躍進して衝撃を与えた。大麻も安楽死も合法で、「自由と自己決定権」を重視する世界でもっとも進歩的な国オランダでも、「イスラーム諸国からの移民受け入れ停止」を掲げる自由党が第三党となり、閣外協力ではあるものの政権の一翼を担っていた。国連の調査で「世界で一番幸せな国」(2014年)に輝いたデンマークでは、「ムスリムはヨーロッパ人の民族浄化を企んでいる」として非白人移民の国外追放を求める過激な国民党が政権の中枢に入り、いまでは「難民にとって魅力のない国」をアピールしている。
 こうした国々がムスリム移民を警戒するのは、2005年にロンドンで地下鉄などの同時爆破事件が起きたイギリスや、記憶に新しいシャルリー・エブド襲撃事件のフランスの例があるからだろうが、2001年の米同時多発テロの実行犯のうち2人がハンブルク工科大学に在学していたように、ドイツもテロの脅威から無縁とはいえない。
 ドイツの一般市民は、移民(外国人)についてどう思っているのだろうか。
 日本ではあまり知られていないものの、この問題の象徴が2010年に出版された『ドイツは自然消滅する(Deutschland schafft sich ab)』というベストセラーだ。著者のティロ・ザラティンはベルリン州政府の金融担当大臣を経てドイツ連邦銀行理事会のメンバーを務めた生粋のエリートだが、その主張は過激だった。
 ザラティンはさまざまな統計(なかには疑わしいと批判されたものある)を根拠に、ムスリムの移民(主にトルコ系)はドイツ人やヨーロッパ諸国からの移民に比べて犯罪率が高く、生活保護に依存し、なおかつ出生率が高いと述べた。そのうえで、現在の移民政策をつづければ孫やひ孫の世代ではムスリムがドイツの主要民族となり、トルコ語やアラビア語が日常的に話され、女性はヒジャブ(ベール)をかぶり、ケルンの大聖堂はモスクに改築され、ひとびとは教会の鐘ではなくアザーン(イスラームにおける礼拝の呼びかけ)で時を知るようになるだろうと警告したのだ。
ケルンの大聖堂。モスクになるのか? (Photo:©Alt Invest Com)

 ザラティンは、イギリスにおけるインド、パキスタン、バングラデシュからの移民の教育達成度などのデータを示して、(同じインド大陸出身でも)ヒンドゥー教のインド系移民の子弟は、パキスタンやバングラデシュからのムスリムの移民の子弟よりも成績がいいと述べる。これはヨーロッパにおける“右派知識人”の典型的な論理で「自由や人権、民主政といった近代西欧社会の価値観とイスラームの価値観は共存できない」との主張は人種差別ではなく、“遅れた宗教”に対する啓蒙思想からの正当な批判なのだ。この論理によれば、ヨーロッパ社会に「同化」した移民は平等な人権(市民権)を保証されるが、そのためには、ムスリムは神を捨てなければならない。
 ザラティンの本は発売直後からベストセラーになり、1年間で130万部を売り上げた。これはドイツでは、「第二次世界大戦後にもっとも多くの読者を獲得した本のひとつ」だそうだ。日本で似たケースを探すとすれば、200万部を超えるベストセラーとなった藤原正彦氏の『国家の品格』だろうか。
 ザラティンの主張は奇抜なものではなく、(『国家の品格』と同様に)ひとびとが漠然と感じていたことに“知的権威”を与えた。それがドイツで大きな社会現象となった理由だろう(”From financier to flag-bearer for Germany's far-right” Independent2011/10/23)。
フランス型の「同化」、イギリス型の「多文化社会」、ドイツが目指す「統合」
 ドイツにおける移民の状況について述べる前に、ヨーロッパでよく使われる「同化」「多文化社会」「統合」の移民政策について説明しておこう。
「同化」は“近代発祥の地”フランスが典型で、「世界でもっとも美しい」フランス語を話し、自由・平等・友愛のフランス革命の理念を体得した者は、人種や出身地、宗教にかかわらずすべて「フランス人」の資格が与えられる。彼らの考えでは、「フランス」というのはヨーロッパの一角にある国民国家ではなく、グローバルで普遍的な理念そのものなのだ。
 そのためフランスの国籍法は、日本と同じく血統主義を基本にしているものの、二重国籍を認め、一定の条件を満たせばフランスで出生したり、居住しているだけの者にも積極的に国籍(市民権)を付与している。日本人の感覚ではちょっと理解できないが、世界じゅうが「フランス人」になることが、「フランスという(近代の)理念」の完成形なのだ。
 その結果、移民にも「完全なフランス人」になることが求められる。公立学校にヒジャブを着用して登校することが大きな社会問題になるのは、フランスの重要な理念のひとつであるライシテ(政教分離)に抵触するからだ。正しい近代人たる「フランス人」は、宗教はあくまでも私的な領域にとどめ、公的な場に持ち込んではならないのだ。
 それに対して「多文化主社会」はイギリス型で、移民政策というよりも移民の自由放任主義のことだ。
「7つの海を支配する」といわれた大英帝国は世界じゅうに植民地を持っており、第二次世界大戦でその大半を失ったものの、植民地主義(帝国主義)に対する旧宗主国の道義的責任は残った。そのためイギリスは、インドや中近東、アフリカ、カリブ諸島、香港・シンガポールなどのかつての「帝国領」からの移民をほぼ無条件で受け入れた。これは日本における在日韓国・朝鮮人問題と同じ構図で、昨日までは「帝国の臣民」として徴兵や納税などの義務を課していたのに、今日からは別の国だといって外国人扱いすることはできないのだ。
 こうしてロンドンなどの大都市には多様な移民が集まってきたが、戦後の混乱期に彼らを管理・統制する統一的な行政機構をつくれるわけもなく、チャイナタウンやインド人街のような移民の共同体が生まれるに任せた。「多文化社会」はこうした状況を前提に、移民たちの文化的・宗教的アイデンティティを保護しつつ、異なる文化が共生できる社会をつくるべきだという考え方だ。
 こうしてイギリスでは、ムスリムの子女のヒジャブ着用が禁止されることはなく、イスラーム教育を行なう自分たちの学校を持つことも認められた。移民は、母国と同じ環境で暮らすことができるのだ。
 移民政策においては、一時はフランス型とイギリス型のいずれが優れているか議論されたこともあったが、最近の社会問題の噴出で明らかなったように、「同化」も「多文化社会」もうまくいかなかった。そこで出てきたのが「統合」の理念で、移民(マイノリティ)は文化的なアイデンティティを保ったまま、多数派社会の一員としての経済的・社会的・政治的生活を営めるようにすべきだという。要するに「同化」と「多文化社会」のいいとこ取りで、ドイツではこの「統合」が移民政策の根幹とされている。
「もっともドイツらしい街」ローデンブルク (Photo:©Alt Invest Com)

ドイツの「移民統合」の現状とは?
 それでは、ドイツにおける「移民の統合」はどのような現状なのだろうか。これについては2012年に、内務省がムスリム移民についての詳細な報告書を発表している。この調査は700人のドイツ在住のムスリム(市民権を持つ者と持たない者)への電話インタビューに、ムスリムの若者とのグループインタビューやインターネットフォーラム(掲示板)の分析などを加えた大規模なものだ。
 報告書によると、ドイツには総人口(8000万人)の5%にあたる400万人のムスリムが居住しており、そのうちおよそ半数がドイツの市民権を保有している。このムスリム移民にドイツ社会との「統合」について訊ねると、市民権を持つムスリムの78%、市民権を持たないムスリムの50%強が「統合に積極的」と回答した。
 市民権を持たないムスリムのなかにはドイツに出稼ぎに来ただけの者も多いだろう。彼らが、自分の生活をドイツ社会に「統合」する気がないのはある意味当然だ。
 それに対して市民権を持つムスリムは「ドイツ人」なのだから、大多数がドイツ社会に「統合」しようとしているのは、こちらも当然だ。この調査が衝撃的だったのは、市民権を持つ移民の20%、およそ40万人が「統合に対して懐疑的」とこたえていることだ。
 しかし、報告書がドイツ国内で激しい論争を引き起こしたのはこれが理由ではない。
 調査員は、14歳から32歳のムスリムの若者を選んで、彼らの宗教に対する意識を調べた。それによると、ドイツ市民権を持つムスリムの15%(市民権を持たない者の24%)が、以下のように評価された。
「西欧の価値観に強い反感を抱くイスラーム原理主義者で、暴力を容認する傾向にあり、統合への意志が欠如している」
 これは要するに、「テロリスト予備軍」ということだ。こうした“危険な若者”がドイツ国内に10万人単位でいることを、内務省が公式に認めたのだ。
 この結果を受けて、内務大臣は「ドイツは移民の文化的アイデンティティを尊重する。ただし、権威主義や反民主的な狂信を受け入れることはできない。自由と民主政を否定する者の未来はここにはない」と述べた。また世論調査によれば、一般のドイツ人の58%(旧東ドイツにかぎれば75.7%)が、「ドイツ国内のイスラームの活動は大幅に縮小されるべきだ」と考えている(”Muslims in Germany: Study Hints that Mutual Suspicion Is Slowing Integration”Spigel Online International2012/03/01)。
 この意識調査を見るかぎり、ザラティンの本がベストセラーになる素地はじゅうぶんにあったことがわかる。フランスの「同化」やイギリスの「多文化社会」と同様に、ドイツにおける移民の「統合」もやはり大きな社会的軋轢を生み出していたのだ。
ドイツではトルコ系移民の「分離」が進んでいる
 ドイツにおけるムスリム社会の現状については、すこし古いが、読売新聞の三好範英氏がベルリン特派員としての体験を下に書いた『戦後の「タブー」を精算するドイツ』(亜紀書房)が参考になる(2004年3月刊。以下の記述は同書による)。
 ドイツの移民は1950年代の人手不足による「ガストアルバイター(ゲストワーカー)」から始まり、イタリア、スペイン、ギリシアに次いで1961年にトルコとのあいだで移民協定が締結され、最盛期は年間100万人ちかくを受け入れていた。それが70年代のオイルショックで風向きが変わり、83年には帰国促進法を制定して定住化しつつある外国人を減らそうとしたがうまくいかず、現在は人口8000万人のドイツに約800万人の外国人が暮らしている(そのうちの半数がムスリムであることは先に述べた)。
 こうしたなか90年代にはネオナチによる外国人への襲撃事件が続発し、統合後は旧東ドイツで移民排斥を求める政党が地方政治に影響力を及ぼすようになった。「極右」勢力は「移民は犯罪の温床」「生活保護を食い物にしている」と批判するが、『シュピーゲル』誌(2002年3月4日号)によれば、統計上はこうした主張には根拠がある。
「ドイツ人と外国人の犯罪率を比較すると、外国人による犯罪数は、全体の犯罪数の20パーセント(外国人法、難民手続き法違反を除く)と、人口比を考えればかなりの高率を占める(2000年の統計)」
「生活保護の受給率は、ドイツ人受給者の割合が3パーセントなのに対し、外国人の場合は9パーセント。生活保護受給者全体に占める外国人受給者の割合は23パーセントに達する(97年)」
 最大の問題は、ドイツ語を話せないトルコ系の子弟が増えていることだ。一般に、移民は二世や三世になるほど社会に同化していくが、ドイツでは逆にトルコ系移民の「分離」が進んでいる。一世は生きるために必死にドイツ語を覚えたが、いったん巨大なトルコ人コミュニティができあがると、ドイツ語をひと言も話さなくても生活できるようになるからだ。
 ドイツ最大のトルコ人街のあるベルリン、クロイツベルク区では、普通義務教育の上級段階である基幹学校(ハウプトシューレ/10〜14歳で、日本では小学校5年から中学2年にあたる)の外国人の中途退学率は20%を超え、大学進学希望者が学ぶギムナジウムへの外国人進学率は低下している。また前記『シュピーゲル誌』によれば、1999年にギムナジウム卒業試験(大学進学資格試験)に合格した生徒は、ドイツ人生徒の集団では25.9%だが、外国人生徒全体ではわずか9.7%しかいなかった。その一方で、義務教育を終えていない生徒はドイツ人生徒が7.9%に対し、外国人生徒は19.5%に達する。
ベルリン、ポスダム広場のソニーセンター (Photo:©Alt Invest Com)

 こうした教育水準の低さの原因は、ドイツ都市部の特定地区でトルコ人社会化が進行していることだ。
 クロイツベルク区の外国人問題担当官は次のようにいう。
「在ドイツのトルコ人男性は、ドイツで生まれ育ったトルコ女性を、ドイツ化して『強い女性』になりすぎたと忌避する傾向があり、本国から妻を迎える『花嫁輸入』が増えている。しかも、衛星放送でトルコ語放送の受信が可能となり、ベルリンで発行されるトルコ語新聞も増えた。このため、必然的に家庭でドイツ語が使われなくなっているのです」
 同区の基礎学校には、87%の生徒がドイツ語を母語にしないところがある。1クラスの生徒数は25人だが、クラス全員がトルコ人ということも珍しくないという。
 この学校の教師は、ドイツ語を話せない生徒が増える理由をこう説明する。
「トルコから迎えられた妻は、クロイツベルク区から出て、ベルリンのほかの場所に行くことを不安がります。言葉ができない、スカーフ姿をじろじろみられるのではと不安で、クーダム(ベルリン最大のショッピング街)で買いものをしたことのない女性もいるほどです。差別されるのではないか、と思いスポーツクラブに子どもを通わせるのをためらう母親もいる。子どもがクロイツベルクしか知らないというのは望ましくありません。親には積極的にほかの場所に出るようにいっているのですが」
 この学校の校長は、「第一、第二世代よりもしばしば第三世代の外国人のドイツ語能力の方が落ちる」と断言し、三好氏に次のように語った。
「ドイツ語能力の低下は、こうしたトルコ人子弟の成育環境に『すき間のないトルコのインフラストラクチャー』が形成されているからだ。さらに、トルコ人の若者に『新しい原理主義的傾向』、つまり、若者がトルコ本国の保守的な女性との結婚を好む傾向があり、夫婦ともに家庭ではドイツ語をいっさい使わない家庭が増えている」
 三好氏がベルリンのトルコ人コミュニティを取材したのは2000年代のはじめで、その10年後の内務省の調査は、ここに登場するドイツ語を話さない若者たちが「西欧の価値観に強い反感を抱くイスラーム原理主義者」へと育ったことを示した。――このように考えれば、ドイツにおける移民問題の現状が見えてくるだろう。
 ちなみにメルケル首相は、「ドイツを分裂させた男」ザラティンを批判しつつも、過去の移民政策について次のように語っている。
「我々はしばらくの間、(1960年代から70年代のトルコ系移民について)甘い考えを持っていた。『彼らは住み着かない。いつか帰るだろう』と言っていたが、現実はちがった」
「(ドイツに多文化社会をつくり)、隣同士で幸せに暮らし、お互いを楽しむ……その取り組みに失敗してしまった。完全な失敗だった」(アンソニー・ギデンズ『揺れる大欧州』岩波書店)
 移民の「統合」が失敗に終わったことはすでに10年以上前から明らかになっており、「保守派」「右翼」だけでなく、政治家や行政もその現実を正確に理解していた。それにもかかわらず大量の難民を新たに受け入れようとするところに、ドイツという国の「特殊性」があるのだろう。
ミュンヘンの“ビールの祭典”オクトーバーフェスト (Photo:©Alt Invest Com)


橘 玲(たちばな あきら)
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)など。中国人の考え方、反日、歴史問題、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ最新刊『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)

http://diamond.jp/articles/-/81154


2. 2015年11月06日 05:39:48 : jXbiWWJBCA
2017年までにEUに難民300万人流入、成長押し上げ見込む=欧州委

[ブリュッセル 5日 ロイター] - 欧州委員会は5日、欧州連合(EU)加盟28カ国に関する経済見通しを公表し、2017年までに300万人の難民が域外からEU加盟国にやってくると見込んだ。難民が社会の中で労働力として融合するならば、EUの経済成長を押し上げ、長期的には加盟国の財政状態の改善につながるかもしれないとしている。

15年は100万人の難民がEUに到着する見込み。16年は150万人、17年も50万人がやってくるとしている。

EU加盟国が到着した難民の半数を受け入れ、その4分の3が労働年齢にあると仮定した場合、EUの労働力人口は15年段階で0.1%増えると見込まれる。16、17の両年はそれぞれ0.3%増加するとしている。

受け入れた難民が、受け入れ国の国民と同じレベルの技能や職能を持っているとすると、EUの域内総生産(GDP)を16年に0.21%、17年は0.26%押し上げるという。

難民が低い水準の技能や職能しか持たない場合は、16年で0.14%、17年で0.18%の押し上げにとどまる。

難民流入に伴うEU加盟国の財政悪化は少ないとされている。EU全体の財政赤字は16、17両年でそれぞれ域内GDPの0.04%しか増えない。一方で、19年と20年にはそれぞれ0.03%と0.05%の改善になると推計している。

欧州委員会は「難民受け入れに伴う追加的な財政支出は国によって異なるが、ほとんどのEU加盟国にとって、その額は限定的なものにとどまる」としている。

難民が通過する国のうち最も影響が大きい国でも、今年の財政的なコストは最大でGDPの0.2%にとどまり、16年には総じて安定すると見込まれている。

ドイツなど最終的な難民受け入れ国にとっての財政コストは、15年でGDP比0.2%が見込まれる。16年はいくつかの国で若干増えるとしている。

人口当たりの難民受け入れ数がEUの中で最も多い国のひとつであるスウェーデンの場合、今年の財政的なコストはGDPの0.5%に近く、他の国と比べて多くなる。一方で経済成長に対するプラスの影響は小さくなるという。

最も多くの難民を受け入れることが見込まれるドイツについて、欧州委員会は経済への影響を個別に推計した。難民がドイツ国民と同じ水準の技能や職能を有するとの前提に立つと、難民の受け入れは16年のドイツのGDPを0.43%押し上げる。17年も0.56%の押し上げ効果が見込まれ、20年にはその効果は0.72%に及ぶという。

しかし、GDPの増加は全てのドイツ国民を裕福にするには不十分だ。国民一人当たりのGDPは16年に0.6%減り、20年でも0.3%減る計算だ。

難民の受け入れにより、小さいながらもマイナスの財政上の影響も発生する。難民がドイツ国民と同じレベルの技能や職能を持つとする楽観的なシナリオでも、16年にはGDPの0.25%に相当する財政的なコストが発生する。20年には財政コストは0.05%にまで縮小する見通しだ。
http://jp.reuters.com/article/2015/11/05/europe-migrants-costs-idJPKCN0SU2LH20151105/article/2015/11/05/europe-migrants-costs-idJPKCN0SU2LH20151105


3. 2015年11月06日 16:44:23 : OO6Zlan35k
川口マーン惠美川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」
2015年11月06日(金) 川口マーン惠美
ヨーロッパの「静かな崩壊」が始まった!〜難民問題でドイツはギブアップ寸前。じわじわと広がる排斥運動が、EUの理念を侵食する

オーストラリアとスロヴェニアの国境から発車する難民バス 〔PHOTO〕gettyimages
受け入れ側の疲労は限界に達している
現在、ドイツに続々と到着している難民は、オーストリアからドイツのバイエルン州に入る。オーストリアが、スロベニアから自国に到着した難民を、せっせとバスで運んでくるのだ。

国境には公式の通過地点が5ヵ所定められており、9月と10月だけで、到着した難民は31万8000人。つまり人口1260万人のバイエルン州には、2ヵ月間、毎日平均5000人がやって来た勘定になる。

受け入れ側の警察、役人、ボランティアは、文字通り休みなしだ。難民の身分証明書をスキャンし、指紋を登録し、健康チェックをし、食事を与え、仮眠所で休息させているうちに、次のバスが到着する。

ベッドが足りなくなると、数時間仮眠した人たちを起こして、チャーターしたバスに乗せ、他州に振り分ける。世話をする人たちは、難民が到着すれば、どんなにくたびれていても放っておくわけにはいかない。

オーストリアからのバスは、しばしば深夜に、それも予告なしに、何百人もの難民を国境に置いていった。そして、このやり方がドイツとオーストリアの間に緊張をもたらし、10月末、デ・メジエール内相が「了解できない」と強く非難した。

それに対してオーストリアのミクルライトナー内相は「ドイツは、難民を他のEU国に戻さないと宣言した唯一のEU国だ。それによって、難民の数が爆発的に増えた」と反論。問題がここまで混乱したのは、ドイツのせいだと言わんばかりだった。

ただ、口には出さなくても、そう感じている国は、実は他にも多い。


ドイツ国境に到着した難民たち 〔PHOTO〕gettyimages
しかし、国境で難民の怒涛の中に身を置いている警官や役人やボランティアにしてみれば、このような責任の擦りつけあいは机上の空論でしかない。

深夜の寒さの中、戸外で何時間も待たせれば、赤ん坊や年寄りは弱る。下手をすると死んでしまうかもしれない。だから、クタクタになってようやく帰宅した職員のところに、「また500人到着した。すぐに出動して欲しい」というようなSOSが入ることも珍しくないらしい。彼らの疲労は限界に達している。

ダブリン協定を壊したメルケル首相の「人道主義」
EUの難民政策を定めているダブリン協定によれば、本来、難民はEU圏に入ったら、その最初の国で難民申請をしなければならない。そして、その最初の国が登録やら衣食住の世話など、初期対応を引き受けることになっている。

もちろん、不公平な協定だ。しかし、この協定ができた頃は、まさかアフリカ人が地中海をボロ船で渡って来るとか、アラブ人がギリシャからバルカン半島を北上して来るなどとは、誰も想像もしていなかったのだ。

しかし事情は変わり、現実として、イタリア、ギリシャ、ハンガリーといったEUの外壁になっている国に、想像を絶するほどたくさんの難民が溜まってしまった。そこで、その惨状を見かねたドイツのメルケル首相が、「ハンガリーから出られなくなっている難民を引き受ける」といったのが9月の初めだ。

また、今までの規則では、難民が他のEU国を通過して来た場合、その国に差し戻してよいという決まりだったが、ドイツはこのとき、難民を追い返すこともしないと宣言した。

これにより、メルケル首相は「人道的」であると賞賛され、ドイツ人自身も束の間ではあったが、自分たちの寛大さに酔った。そして、これは同時に、ダブリン協定の終焉をも意味した。

ダブリン協定はどのみち無理がある。だから、それを壊したドイツが、より良い難民対応策を生み出せれば問題はなかった。しかし現実には、そうはならなかった。

難民で窒息しそうになっていた国々は、「ドイツが受け入れてくれるなら、これ幸い」とばかりに自分たちの国に入ってくる難民をどんどんドイツに移送し始めた。もとより難民もドイツに行きたいのだから願ったり叶ったりで、難民の数は爆発的に増えた。

ドイツが自分の蒔いた種でパニックに陥るまでに、長い時間はかからなかった。慌ててオーストリア国境で入国審査を始めたが、しかし、難民の流入はもう止められなかった。

難民の輸送を斡旋する犯罪組織が勢いづき、ゴムボートはひっきりなしにトルコからギリシャへ難民を運び、そこからドイツへと続く道が難民街道となった。これまで難民で混乱していた国は限定的だったが、以来、多くの国が当事国になってしまった。

EUは静かに崩壊に向かっている
11月2日、国連のUNHCR(難民高等弁務官事務所)が発表したところによると、地中海経由でEUに入った難民の数は10月だけで21万8000人で、去年一年分よりも多かった。そしてUNHCRも、この極端な増加を「ドイツの寛大な難民政策のせい」と理由付けた。ちなみにドイツでの難民申請数は、10月までにすでに80万人を超えた。

難民の波に音を上げたハンガリーは、セルビアとクロアチアとの国境に柵を作り、先月、ついに全国境を閉じた。オルバン首相曰く、「ハンガリーは傍観者となった」。ハンガリーを経由できなくなった難民はルートを変更し、セルビアからクロアチア、スロベニア経由でオーストリアへと向かった。

すると、今度はスロベニア、クロアチアがお手上げ状態となった。流入を防ごうにも、あまりの人数にその手だてがない。入ってきた難民のケアをしつつ、無事通り抜けさせるだけでも大変なことだ。

夜の気温は零下すれすれで、すでに死者も出ている。まさに惨状である。クロアチアは今週、難民が仮眠するための暖房付きテント群を突貫工事で作った。

その難民がたどり着くのがオーストリアだ。オーストリアはすでに多くの難民を受け入れているが、ここに現在、スロベニアから、毎日6500〜7000人の難民が到着する。しかし、これ以上、難民が増え続けると国内の治安が保てなくなるとして、ここへ来て、スロベニアとの国境に柵を作ることを検討し始めた。

もし、オーストリアが入国者を制限すれば、スロベニアもこれ以上難民が自国に入らないよう、軍隊を動員してでもクロアチアとの国境を防衛することになるだろう。

一つ国境が閉じれば、連鎖反応で難民街道はさらに悲惨なことになる。オーストリアのファイマン首相はすでに、「EUの静かな崩壊」に言及している。

このままではドイツ全体が共倒れになってしまう
難民問題で意見統一ができないのはEUの国々だけではない。ドイツ政府は現在3党連立だが、ここでも三つ巴の対立だ。

メルケル首相(CDU)は依然として、政治難民の受け入れ数に上限は作らないと言い張っているが、このままではドイツ全体が共倒れになってしまうと、姉妹党CSUが警鐘を鳴らしている。

CSUはバイエルン州が根城で、難民で一番大きな困難を背負いこんでいるので、その発言には現実味がある。そのうえ、CSUの意見に賛同する政治家が、メルケル氏のCDUの中にもたくさんいる。

11月1日、両党は8時間の協議の上、@オーストリアとドイツの国境のところにトランジットゾーンを作り、そこで難民資格のない人間を選り分ける、A選り分けた人たちを早急に強制送還する、Bドイツが難民として受け入れる人たちの家族の呼び寄せを2年間凍結する、という3点で合意を見た。

ところが、このトランジットゾーンのアイデアに、もう一つの連立党であるSPDが猛反対をしているからややこしい。

SPDの主張は、トランジットゾーンは擬似刑務所であり、そんなものを作れば、不法入国に拍車がかかるだけだ、というもの。ただ、SPDのこの攻撃は、"CDUとCSUの言うことには何が何でも反対"といういつもの悪い癖が出ているだけのようにも見える。

不法入国者は、SPDが心配するまでもなく、確かに多い。連邦警察の発表では、オーストリアとドイツの国境で、10月26日の1日だけで、1万1154人の密入国者が摘発されたという。


メルケル首相の難民政策に反対する人々のデモ 〔PHOTO〕gettyimages
これが21世紀のEUの現実なのか
ドイツの内憂は他にもある。国内で台頭する難民排斥の気運だ。

今年になって、難民の宿舎が放火される事件が340件以上あり、最近は、難民が襲撃されて病院に担ぎ込まれるという事件も複数起こっている。多くの国民は、増え続ける難民に不安を覚えており、メルケル首相の無制限受け入れの方針から、徐々に距離を取り始めている。

難民問題の解決策は、EUレベルでも、各国レベルでも、何も決まっていない。その目処さえない。しかし、現実として、今、難民が凍えている。だから、まずは、彼らが寒さをしのげる場所を作るのが最優先事項だろう。本格的な冬はこれからだ。

難民救済は、冬将軍の到来との競争となりつつある。これが21世紀のEUの現実なのである。


著者: 川口マーン惠美
『ドイツの脱原発がよくわかる本』
(草思社、税込み1,512円)
まさに悪戦苦闘。それでも脱原発へと進むドイツ。しかし、日本には、それを真似てはいけない理由がある。在独30年の著者が、日本人に知ってもらいたい真実を伝える、最新レポート。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46222


4. 2015年11月10日 13:55:39 : nJF6kGWndY

日本の難民アレルギー、原風景に「バルタン星人」?
2015年11月10日(火)上野 泰也


写真:gremlin/Getty Imeges
 日経平均株価やドル/円相場など多くのマーケットが今年前半に形成したレンジの中での上下動にとどまっている時間を活用して、日本の経済・社会のさまざまな問題について、いま一度冷静に考えてみることも有意義だろう。今回は、日本の難民受け入れが他の先進国と比べて極端に少ないことを取り上げたい。
 日本の2014年の「認定難民」(出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法の規定に基づき難民として認定された人)は、前年の6人から増えたものの、わずか11人だった<図>。審査件数に対する認定率は0.3%にとどまり先進国では最低水準で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると同年の世界平均は27%だという。
■図:認定難民数

(出所)法務省
[画像のクリックで拡大表示]
 こうした日本における難民認定の少なさは、1951年に採択されて81年に日本も加入した難民条約における難民の定義、すなわち「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者」に沿って、法務省が入管法をきわめて厳格に運用したことに原因があるように思われる。
 しかし、UNHCRのホームページによると、難民という言葉は今日では、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々も指すようになっている。
難民認定に極めて慎重な日本
 また、紛争などによって住み慣れた家を追われたが国内にとどまっているか、国境を越えずに避難生活を送っている「国内避難民」も増加しており、難民と同様に外部からの援助が必要なのだという。時代の変化とともに、保護すべき「難民」の定義は拡大する方向にあると言えそうだ。
 シリア人の難民申請に対する日本の法務省の対応も、慎重なものにとどまっている。内戦が続くシリアからは約400万人が世界各国に逃れており、日本では約60人が難民申請している。だが、難民認定されたのは1家族3人だけだと、10月19日の毎日新聞夕刊が報じていた。その関連でNPO法人難民支援協会の石井宏明・常任理事のインタビュー記事も掲載されていたので、一部を引用したい。
 「難民の受け入れを『負担』の一面だけで見るべきではない。多様な人が活躍できる社会を築けば、日本はより豊かになる」
 「先日の国連総会で、安倍晋三首相は難民問題への財政的な貢献を強調した。だが、世界の主要国に受け入れ分担を求める声が上がっており、金銭的な支援だけでは『見て見ぬふり』と批判されかねない」
 「日本の社会に難民を受け入れる潜在能力はある。しかし、政府の『沈黙』が障壁となっている。政治が前向きな姿勢を示せば、民間主体で多くのアイディアが生まれ、支援が動き出すだろう」
 傾聴に値する意見である。人道上の支援は難民条約の定義に完璧に沿っているケースにとどまらず、もっと間口を広げて柔軟でよいのではないか。
 国益を考えた場合でも、難民やこれに類する人々が国内に定住して(たとえごくわずかであっても)需要の増加に貢献したり、外からの刺激によってサプライサイドが活性化したりするといった経済面のメリット以外にも、政府による人道上の配慮からの支援拡大を国際社会に対し強くアピールすることを通じて、日本の安全保障にも間接的にポジティブな効果が及ぶのではないか。
 法務省は9月15日、難民としての保護対象にアフリカの一部地域で身体的な虐待を受けている女性など「新しい形態の迫害」を加えることを含む、難民認定の運用見直しを発表した。難民認定の間口の狭さに対する海外からの批判に対応したのだろう。しかし同時に、就労目的で難民申請を乱用するケースについては、これまでよりも厳しい措置が取られることになった。
 その後、日本で今年難民認定を申請した人は10月半ばまでに5500人を超えて、5年連続で過去最高を更新したと報じられたが(10月29日 朝日新聞)、年間の認定難民ははたして、昨年の11人からどこまで増えるだろうか。
バルタン星人は宇宙難民だった!
 難民条約は、既に述べたように1951年に採択されて54年に発効したのだが、対象となる難民の範囲を時間的な面で拡大する必要が生じたため、66年に難民の地位に関する議定書が採択された。実は、同じ66年から日本でテレビ放送が始まったのがいまや伝説的な地位を築いたと言ってもよい特撮ヒーロー番組「ウルトラマン」である。
 その第2話に出てくる、今でも人気が高い架空の宇宙人であるバルタン星人が「宇宙難民」だったという興味深い指摘を、読売新聞の鈴木美潮編集委員が著書「昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか」の中で繰り広げている。
 この本は、58年の月光仮面以来の数々の特撮ヒーローが「その時代と世相を反映してきた」という視点から書かれており、興味深い内容を多く含んでいる。バルタン星人に関連する部分を以下に引用する。
 「そもそも、シリーズを代表する敵であるバルタン星人(第2話『侵略者を撃て』)は、ハサミを持ち上げて不気味に笑っているだけではなく、実は核実験で故郷を失い、移住先に地球を選んでやってきた『宇宙難民』だ。ハヤタら科学特捜隊も一度は話し合いで人道的な解決方法を探そうとするのだが、バルタン星人の数が20億3000万体と聞いて、態度を硬化させざるを得なくなる。
 バルタン星人たちはそんな地球の事情などおかまいなしに、移住を強行しようとして、結局ウルトラマンのスペシウム光線で倒される。
 宇宙船に乗っていたバルタン難民も、宇宙空間でウルトラマンのスペシウム光線によって宇宙船ごと爆破されたが、生き残りと思われるバルタン星人が、その後のシリーズにもたびたび登場し、地球を狙うようになる。侵略にきた側にも一理あると思わせるストーリーであった」
 「宇宙時代の到来が叫ばれ、『火星移住計画』も語られるようになった今、異星に暮らす生命体との遭遇もフィクションとは言い切れない。もし、バルタン星人が移住を求めてやってきたらどうするのか。火星に先住民族がいたら、どう謝ったらいいのか。画質の粗い60年代の映像の中で不気味に笑うバルタン星人たちは、50年近く未来に進んできた私たちにそんな問いを突き付けているようだ」
 架空の異星人であるバルタン星人は、難民条約が定める狭義の難民の定義にあてはまらず、UNHCRの広義の考え方にももちろんあてはまらないが、そもそも地球の外側で生じた事例なのだから当然だ。核実験で故郷の星がなくなって困ってしまい、住みかを求めて宇宙をさまよう中で地球に来た。
 だが結局交渉が決裂して移住を強行しようとしたため、戦争状態になり、地球の側がウルトラマンの軍事支援を受けながら自衛権を行使し撃退した、ということだろう。もっとも、宇宙船に乗っていたバルタン星人まで爆破してしまった点については、過剰防衛の感もあるのだが・・・。
バルタン星人への防衛本能が原風景?
 この今から50年ほど前の特撮ドラマのストーリーが、当時子供だった世代(=今の日本における政治リーダーを多く含む世代)の原体験になって、困っている異なる人々に対してすら過剰に防衛してしまうかのような、難民問題への対処に影響を及ぼしている…とまでは、さすがに筆者も言いにくい。
 だが、外国人を受け入れる政策に対する、日本政府や少なからぬ日本人の慎重姿勢が、この国の経済の長期的見通しが明るくなることを妨げている大きな要因であることは間違いあるまい。
 東日本大震災から「おカネがすべてではない」ことを学んだはずの日本人が、日本におカネを落とす外国人観光客は歓迎しつつ、難民の受け入れには慎重だというのは、バランスを欠いているし、日本の国際的な地位向上にもマイナスだと思うのだが、どうだろうか。
 11月15、16日にトルコで開催されるG20首脳会合。日本から安倍首相も出席するこの会合では、シリアなど中東や北アフリカから欧州に大量流入している難民の問題が議題の1つになりそうだと報じられている。



上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/110500019/?ST=print 


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