2. 2015年10月20日 02:29:37
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「最強か最凶か、仮面国家メキシコ」不法移民はこうして国境を越えるメキシコ市出身、エドワード・ゴメス氏の場合 2015年10月20日(火)篠原 匡、長野 光 1994年1月に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)は、最も成功した自由貿易協定の一つと評価される。事実、米国、カナダ、メキシコの3カ国の貿易額は2014年で1兆1200ドルに到達、メキシコと米国の貿易額は1993年比で6倍の5340億ドルに急増した。 もっとも、NAFTAによって増えたのは自動車やアボカドの輸出だけではない。国内産業が打撃を受けて、あるいはより豊かな世活を求めて、国境を越える不法移民もまた増えた。全米には約1200万人の不法移民がいると言われている。 シウダフアレスとエルパソの国境 リオグランデ川をボートで越えたゴメス氏
ニューヨークで働くエドワード・ゴメス氏も、そんなメキシコからの不法移民の一人。25歳のゴメス氏は10年前に家族とともに米墨国境を越えた。 両親の学歴はなく、メキシコシティでの暮らしは厳しい。家族を養うために、移住を決断した父は先に米国に渡り、建設作業員としての糧を得た。そして3年後、ようやく基盤が整ったということで家族を呼び寄せたのだ。 「僕ら家族はリオグランデ川を小さな船で渡りました。スマグラー(密入国を手伝う業者のこと)が『よし、行くぞ』ってひと言だけささやいて。母や妹がいましたが、とても不安だったことを覚えています」 エドワード・ゴメス氏は15歳の時にリオグランデ川をボートで渡った 渡河したポイントは、麻薬カルテルが活発に活動している北東部タマウリパス州ヌエボラレド近郊。ボートにエンジンはなく、スマグラーが泳いでボートを押したという。
ゴメス氏の家族ように、貧困を理由に米国を目指す人間は少なくない。全米における不法移民の数は推計で約1200万人。最近でこそ不法移民の数は減少傾向にあるが、それでも米国を目指す人間が多いことには変わりない。 不法移民の90%に密輸入業者の支援 不法入国の手段はいくつかある。旅行客として入国してそのまま居続ける場合もあれば、スマグラーにカネを払ってリオグランデ川を渡河する場合もある。また、国境警備隊の目を盗んでフェンスをよじ登る場合もあれば、車のトランクに詰め込まれて国境を越える場合もある。国連薬物犯罪事務所によれば、メキシコ人不法移民の90%がスマグラーの支援を受けている。 もっとも、国境越えは危険と紙一重だ。スマグラーは犯罪組織とつながっていることもあり、暴行やレイプなどの被害は後を絶たない。カネを払ったとしても、国境で捕まる可能性もある。米国土安全保障省によれば、2014年には約48万人が国境で逮捕された。 麻薬カルテルの抗争が中米に拡大していることもあって、ホンジュラスやエルサルバドルなどからの移民も増えている。こういった人々は貨物列車の屋根に乗ってメキシコに入り、バスやトラックなどで米国国境を目指す。今年、メキシコのサカテカス州で不法移民を乗せたトラックが見つかったが、荷台には120人が載っていた(子供23人を含む)。 不法に入国した移民は建設現場やタクシードライバー、レストランなど米国の3K職場を支えている。ステータスに関係なく医療は受けられるが、医療保険に入れないため実質的に治療を受けることはまず不可能だ。 「英語が全く分からず愕然とした」 「ニューヨーク州は移民にとても好意的な姿勢を取っている」。New York Immigration Coalitionのタニュー・ヤクピティエージ・コミュニケーション・マネジャーがそう語るように、ニューヨーク州は不法移民に特殊なIDを発行し、運転免許証や銀行口座開設をサポートしている。ゴメス氏もこのIDを活用して免許や健康保険を取得した。 15歳でニューヨークに渡ったゴメス氏は、不法移民を受け入れる高校に通った。「英語が全く分からず愕然とした」と語るゴメス氏だが、理解できるまでしつこく食らいついた結果、奨学金を得て大学進学を果たした。現在はラティーノ支援団体で働いている。 ゴメス氏のステータスはいまだに不法移民だが、幸運にも免許や健康保険を取得することができた。だが、強制送還におびえて不自由な暮らしをしている人も少なくない。ゴメス氏の父親も建設現場の怪我が原因で下半身が不随になってそのままだ。自動車メーカーをはじめメキシコで工場を作る企業が増えたことでメキシコに雇用は増えているが、米国を目指す移民は相変わらず存在する。 このコラムについて 最強か最凶か、仮面国家メキシコ 相次ぐ自動車メーカーの進出に沸くメキシコ。2020年代前半には生産台数で500万台の大台を超えるとみられる。まさに、“米国の自動車工場”と呼ぶにふさわしい。だが、メキシコには全く異なる顔もある。殺人や暴力が吹き荒れる凶暴な素顔だ。45カ国とFTA(自由貿易協定)を締結するなど国を開き、外資を呼び込む姿勢は自由貿易体制の優等生と言っても過言ではない。だが、その仮面の裏側には最凶の素顔も潜む。最強か最凶か−−。メキシコの素顔を暴く。 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/101500043/101600004/
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