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[ワシントン 8日 ロイター] - 米共和党が漂流している。下院議長選びでは、有力候補だったケビン・マッカーシー院内総務が立候補を辞退。来年の大統領選に目を転じてみれば、経験豊富な保守系候補者が苦戦する一方、支持率トップの実業家ドナルド・トランプ氏は、過激な反移民発言を繰り返し、米国で最も急速に増加している有権者層であるマイノリティーの反感を買っている。
共和党は2010年以降、党内で力をつけている保守系草の根運動「ティーパーティー(茶会)」の勢いに乗じ、議会の主導権を握り、来年の大統領選でも多彩な候補者を擁立することに成功している。
しかし今や、茶会が持ついわば「反体制的」なエネルギーが、共和党の議会運営や新たな支持者獲得を妨げている。多くの米国民は、共和党の反政府的な立場に共感しているが、共和党が国民の信頼感を得るためにはまず、権力を責任のある形で行使する能力があるということを示す必要がある。さもなければ来年、有権者の離反を招くことは必至だ。
保守系団体「フォー・アメリカ」を率いるデービッド・ボゼル氏は「保守派は今、危機的な状況に陥っている。彼らはさだめし、犬の尻尾をつかんだものの、次にどうすればいいのか分からないような状況だ」と話す。
<下院議長レース迷走>
米議会は今後、債務上限や予算をめぐって激しい攻防が予想されるが、その前に共和党は、議会の指導者不在を解消しなければならない。
誰がベイナー下院議長の後任になるのか、依然はっきりとしない。8日に立候補取り下げを突如発表したマッカーシー院内総務は、対立の絶えない党内の穏健派と保守派をまとめることができない、と説明した。
茶会系議員らはマッカーシー院内総務について、オバマ大統領に妥協し過ぎるとして、下院議長就任に異論を唱えていたとされている。
共和党のストラテジストで、元下院スタッフのジョー・ブレッテル氏は「保守派は、数多くの議員を議会に送り込んだが、これらは議会をどう運営していくのかについて、しっかりとした考えを持たない人々だ」と話す。「支持者が離れていくのも、時間の問題」とみている。
反体制的なムードは、大統領選にもまん延。トランプ氏や元神経外科医のベン・カーソン氏ら、政治的には素人の候補が、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事など経験豊富な候補者を凌駕(りょうが)している。
共和党の選対担当者は、トランプ氏らがイスラム教徒やヒスパニック系移民をあからさまに批判していることを懸念している。最終的な共和党の大統領候補が、高齢化の進む白人有権者以外にも支持層を広げようとしても、マイノリティーにそっぽを向かれる可能性が高いからだ。
(Andy Sullivan記者、Ginger Gibson記者 翻訳:吉川彩 編集:田中志保)
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