記事入力 : 2015/09/16 10:00
北の原子炉、年に6−7キロのプルトニウムを生産可能

　北朝鮮が15日に「正常稼働中」と発表した寧辺核地帯の中心施設は、出力5メガワット級の原子炉（黒鉛減速炉）だ。1993年に第1次北朝鮮核危機が始まったときから国際社会の注目を集め、今でも「北朝鮮の核」を象徴する存在だ。

　北朝鮮は、2006年10月の最初の核実験と09年5月の2回目の核実験で使用したプルトニウムを、全てこの原子炉を経て抽出した。13年2月に行った3回目の核実験についても、ここから出たプルトニウムを使ったとみる分析がある。韓米が、5メガワット黒鉛減速炉の無能力化を骨子とする07年の6カ国協議「10・3合意」を重視するのも、この原子炉が持つ重要性と象徴性のためだ。

　しかし北朝鮮は13年4月、この原子炉の再稼働を宣言した。国際原子力機関（IAEA）も最近、報告書に「寧辺の5メガワット級原子炉からの冷却水・蒸気の排出を観察した。これは、原子炉が稼働中だという意味」と記した。安全保障当局は、5メガワット級原子炉について、古いとはいえ、正常に稼働すれば年間6−7キロのプルトニウムを得ることができると推定している。核兵器1個を作ることができる量だ。

　ただし、原子炉の稼働がプルトニウム抽出につながったかどうかは、確実ではない。安全保障部局の関係者は「プルトニウムを抽出するには、原子炉の稼働を中断し、燃え尽きたウランを取り出して再処理しなければならないが、そうした痕跡は見られない」と語った。韓国軍当局は、北朝鮮のプルトニウム保有量を約40キロと推定している。核爆弾6−7発分に相当する。

　情報消息筋は「現在は、寧辺の原子炉稼働、プルトニウム抽出よりも、兵器級の高濃縮ウラン（HEU）に注目すべき」と語った。15日に北朝鮮が「核兵器の質的・量的水準」に言及したことも、HEU生産を示唆しているという。

　北朝鮮は既に10年11月、米国の核専門家、ジークフリート・ヘッカー博士に寧辺のウラン濃縮施設（遠心分離器2000基）を公開した。この施設だけでも、低濃縮ウラン（LEU）を年間2トン生産できる。これを兵器級に濃縮すれば、およそ40キロのHEUになる。核兵器2個分に相当する量だ。

李竜洙（イ・ヨンス）記者
朝鮮日報／朝鮮日報日本語版

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