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ロシア、ウクライナ問題で外交攻勢
来月4カ国首脳会談 軍事圧力緩め、影響力保持
【キエフ=古川英治】ロシアが支援する親ロ派武装勢力との紛争が続くウクライナの問題を巡り、両国とドイツ、フランスの首脳が10月2日にパリで4者協議を開く。欧米の経済制裁で不況に直面するロシアのプーチン政権がウクライナへの軍事圧力を弱め、協議を働きかけた。親ロ派を通じてウクライナに影響力を及ぼす体制の確立に向けて外交攻勢を仕掛ける。
ロシア大統領府が9日発表した。プーチン大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領、メルケル独首相、オランド仏大統領が会談する。4者の会談は2月に停戦合意が成立して以来となる。
停戦合意後もロシアはウクライナ東部を実効支配する親ロ派への軍事支援を継続し、同勢力と政府軍との戦闘が続いた。ウクライナ国防省によると、9月以降は親ロ派勢力からの攻撃がほぼ収まっている。制裁と原油安の影響でロシア経済が悪化するなかで、プーチン政権の意向で攻撃が抑えられたとみられる。
ロシアは4者協議で自国に有利な条件での地方分権をウクライナに要求する構え。2月の停戦合意には地方分権を含むウクライナの憲法改正や親ロ派支配地域に「特別な地位」を与えることが盛り込まれた。ウクライナ東部に傀儡(かいらい)の地方政府を樹立し、親ロ派を通じてポロシェンコ政権の改革や欧州統合の動きを阻止することがプーチン政権の狙いだ。
ポロシェンコ政権は外国監視団の下で実施する公正な地方選挙などを条件とした改憲に取り組む。親ロ派は10月に独自の選挙を計画し、ロシアはウクライナの改憲プロセスを認めないと表明。欧州の外交官は「ロシアはウクライナ政治に介入するため、2月の合意で曖昧なまま残された改憲の詳細で新たな合意を求めている」とみる。
ロシアは中東からの難民流入問題に追われる欧州の足元を見透かす。オランド大統領は7日、「停戦合意はほぼ順守されている」とし、対ロ制裁の解除の可能性に言及した。外交筋によると、同大統領は8月に開いたドイツ、ウクライナとの首脳会談で「ロシアが停戦合意に反し、軍事介入を続けている」とする共同声明への署名を拒んだ。
ロシアの軍事介入下でも欧州はウクライナに改憲を求めてきた。同国議会幹部は「欧州は事態収拾を急ぎ、ロシアではなくウクライナに圧力を掛けている」と批判する。
ウクライナ国内では親ロ派に特権を与えかねない改憲への反発が強い。議会が改正案の1回目の採決を実施した8月末には議会前でデモ隊が手りゅう弾を投げ込む事件が起きた。ポロシェンコ大統領は8月31日の声明で「憲法を改正しなければ、ロシアと1国で対峙せざるを得なくなる」と苦しい立場を吐露した。
プーチン氏は9月の国連総会出席時にオバマ米大統領との会談も画策する。任期終盤に入ったオバマ氏が重視する中東問題への協力の見返りにウクライナで譲歩を迫る戦略が透ける。難民問題の根っこにあるシリア内戦を巡りアサド政権への軍事支援を強化する動きを見せ、米欧を揺さぶる。
ウクライナ危機とは
▼ウクライナ危機 ウクライナの親ロシア派政権が欧州への統合を掲げるデモに倒されたことを契機にした紛争。ロシアは直後にウクライナ領クリミア半島を武力により自国に編入した上で、同国東部の親ロ派武装勢力を軍事支援して戦闘を拡大した。米欧は対ロ経済制裁を発動。ドイツとフランスの仲介により今年2月に停戦合意が成立したものの、一部で戦闘が続いた。国連によると犠牲者は8000人近くに上り、親ロ派支配地域でマレーシア航空機が撃墜される事件も起きた。
[日経新聞9月11日朝刊P.6]
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