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2015年09月10日 (木)
キャッチ!インサイト 「初めてのロシア東方経済フォーラム・ロシアの思惑は?」
石川 一洋 解説委員
今月3日から5日までウラジオストクで開催されたロシア東方フォーラム、
プーチン大統領は極東シベリアの石油ガス資源を開発し、
アジア太平洋諸国に輸出する考えを示しました。
そしてロシア極東への積極的な投資を呼びかけました。
中国、日本、インドなどの企業トップを自ら招き、
接待するプーチン大統領側近のセーチン・ロスネフチ社長
ロシアの著名な合唱団が歌う中国の愛唱歌
セーチン社長の隣には中国最大のエネルギー企業CNPCの会長が座り、
ロシアと中国の蜜月ぶりを見せつけました。
その一方セーチン社長は、インド、日本の代表とも積極的に商談
「ぜひシベリアの油田を見に来てください」
ロシアはなぜ極東シベリアに外国投資を呼び込もうとするのか
「東方経済フォーラム」を通じて考えます。
山澤キャスター)プーチン大統領みずから投資を呼び掛けていましたが、商談を進めていたセーチン社長は大統領の側近ということですが。
石川)プーチン大統領のいわば秘書室長のような役を長年務めた側近中の側近として知られています。今はロシア最大のエネルギー会社で国営のロスネフチの社長で、同時にエネルギー企業を束ねる大統領府のエネルギー産業・環境保護委員会の事務局長も務め、大きな政治力も持っています。
ロスネフチはセーチン氏の攻撃的な経営方針のもとで、急速に成長し、とくにエネルギーの東方展開のカギを握る人物です。
プーチン大統領
「ここにセーチン社長がいるが、近い将来、ロスネフチがパートナーとともに2兆6千億円を投資しようとしている。この投資は経済効果として十二兆円余りの経済効果をもたらし、十万人の雇用を生み出すだろう」
山澤キャスター)しかし今原油価格が40ドル台前半で推移するなど低迷する中で、ロスネフチにそれほどの資金を用意できるのでしょうか。
石川)それはありません。
セーチン氏はプーチン大統領から東シベリアのエネルギー権益の運営を任せられているマネージャーと言えます。それだからこそトップセールスに必死なのです。
原油価格が100ドルを超えていたときは、ロシアは一時、地下資源は外資には開放しないという方針を示しました。しかし今は外国資本に原油やガス開発の権益を与え、その資金を利用することで、開発を進めようとしています。
ロスネフチは東シベリアでもっとも有望な油田と言われるバンコール油田には中国インド、サハリン沖のサハリン1には日本、アメリカ、インドが参加しています。さらに今、たとえば東シベリアのタース油田にはメジャーのBPを呼び込みました。そして日本とも同様の交渉は行われているのです。
石川
「ロスネフチとの共同プロジェクトはいずれにしても巨大な投資だ。ロシア政府からどのような投資保護の保証を得られるのか」
セーチン社長
「我々のすべてのプロジェクトは経済的合理性があり、利益をもたらすものだ。その代表例がサハリン1だ。今後このようなプロジェクトがさらに増えていくことをのぞむ」
石川)セーチン社長にとってもっとも主要なパートナーは中国です。中国へは、ロスネフチは、年間2800万tの原油を輸出しています。さらに中国の資金を利用しつつ中国への輸出を増やす方針です。
山澤キャスター)プーチン大統領はフォーラムの直前中国を訪問していました。今のロシアにとって中国が最重要国ということなのでしょうか。
石川)それはそうですが、中国のみに依存せず、輸出先の多極化を目指しています。今回ロスネフチのパートナーとして目立ったのがインドです。
インド最大のエネルギー企業ONGCとは東シベリアのバンコール油田の権益15%を売却する契約を結びました。またインドのエネルギー鉄鋼の複合企業であるESSARとの間でも長期的な原油売買契約とインド国内の石油精製事業に資本参加することで合意しています。
ESSAR Group ラヴィ・ルイア会長
「インドのエネルギー市場は急速に拡大し、しかも最近自由化もした。我々はロスネフチのインドエネルギーおよび石油ガス市場への進出を歓迎する」
山澤キャスター)その多角化の中で日本はどのように位置付けられていますか。
石川)ロスネフチの関心はインドとともに日本に向かっています。一つは安定した市場であること、そして資金、さらに技術です。技術は単に掘削だけではなく、シベリアの奥地や大陸棚で開発するためには車から船舶にまで至る広い意味でのエンジニアリングです。
逆に日本の経済界も日本から近いエネルギーの供給元としてロシアとの関係を重視しています。そうした中で日本のエネルギー企業としても長期的な視点からロシアの資源権益獲得に動いているのです。日本政府としても日本のエネルギー安全保障の観点から、中東依存を減らすためにもロシアとのエネルギー協力はウクライナ危機にも関わらず国益に資するとして進める方針です。
三井物産 飯島会長
「三井は、サハリン2プロジェクトの拡張も含めて上流でも下流でもエネルギー分野への投資を追求する。」
丸紅 国分社長
「日本はエネルギー供給でかつてない変化に直面しています。ロシアが安定と信頼ある供給者であることに感謝しています」
山澤キャスター)経済関係でロシアと日本が深くつながろうとしているのが感じられました。では政治面ではどうなんでしょうか。
石川)メドベージェフ首相が先月北方領土を訪問するなどロシアの強硬な姿勢が際立っています。日本とロシアは北方領土については、立場は180度正反対です。もしもロシアが領土問題は解決済みという立場を明確にして領土交渉をしないのであるのなら、日本も原則的な立場を正面に出す必要があるかもしれません。
ただ安倍総理が自民党総裁選で無投票再選が決まる中で、ロシアが動き出す可能性はあります。安倍総理は戦後残された北方領土問題を解決に向けて動かしたいという思いとともに、地政学的な理由からロシアとの関係強化を狙っています。
一方ロシアでも日本との経済関係を強化するためには平和条約が必要だという意見も実はプーチン政権の内部や経済界には根強くあるのです。
岸田外相のロシア訪問がいつになるのか、そして平和条約を話し合う次官級協議が続いて開かれるのかどうか。わたしは北方領土での厳しい対立がクローズアップされていますが、交渉に向けた何らかの動きがあるような感じがします。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/227033.html
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