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英労働党で急進左派台頭
党首選、本命候補に 格差拡大不満の受け皿
【ロンドン=小滝麻理子】英国の最大野党、労働党が10日まで続ける次期党首選で、党内最左派のジェレミー・コービン下院議員(66)が本命候補に台頭し、党内外に衝撃が走っている。労働党が掲げてきた中道路線を否定し、鉄道や電力会社の再国有化などを主張。緊縮財政や格差拡大に不満を抱える労働者層らに支持を広げる。ギリシャ、スペインなど南欧に続き、経済が好調な英国でも急進勢力が台頭している。
労働党の党首選は、ミリバンド党首が5月の総選挙でキャメロン首相率いる保守党に大敗して引責辞任したことを受けて実施されている。8月14日から9月10日まで投票を受け付け、同12日に新党首を発表する。
無名に近かった急進左派のコービン氏が脚光を浴びるきっかけは、7月初めに最大労組ユナイトの支持を得たことだ。公共部門労組ユニゾンも投票先の第1希望として指名。直近の世論調査では、4人の候補の中でコービン氏が党内の過半の支持を得て、2位以下に30ポイント以上の大差をつけた。
その主張は過激だ。公的支出の拡大をためらわず、公務員の待遇改善につなげる。鉄道、電力会社の再国有化も掲げる。
保守党とは正反対の政策を打ち出すことで、金融危機以降の緊縮策に伴う賃上げ凍結などに不満を持ってきた労働者や、保守党との差別化が必要と考える若手党員の支持を急速に集めている。
労働党幹部たちはコービン氏の躍進に危機感を募らせる。1997年に発足したブレア労働党政権は市場経済を重視する「ニューレイバー」を掲げ、中道路線を取ることで支持者を拡大、政権を奪回した。ブレア氏は「コービン氏が党首になれば労働党は破滅する」と訴える。
「反緊縮」など大衆迎合的な主張を掲げる急進左派勢力は、ギリシャのSYRIZAやスペインの新党ポデモスなど、財政難に苦しむ南欧諸国で台頭が顕著だった。その波が好景気の英国に及び始めた背景に、格差拡大やグローバリゼーションへの根強い反発がある。
世界中から金融緩和マネーがなだれ込み繁栄するロンドンと地方の格差は開き、若年層を中心に住宅資産の取得も困難になっている。
労働党史上もっとも左傾化しているとされるコービン氏が党首になれば、英政治への影響も大きい。このままでは首相が2017年末までに公約する欧州連合(EU)離脱の国民投票に影響が及びかねない。
首相自身はEU残留を望んでいるとされるが、党内の離脱強硬派を抑え切れていない。政策シンクタンク、オープンヨーロッパのパウエル・スウィディルキ氏は「対抗勢力であるはずの労働党が分裂すれば、保守党の強硬派を勢いづかせ、離脱への勢いが増す可能性がある」と話す。
[日経新聞9月1日朝刊P.7]
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