http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/349.html
Tweet |
【8月28日 AFP】米南部バージニア(Virginia)州で、ローカルテレビ局の生中継中だった女性リポーターと男性カメラマンが銃撃を受け死亡した事件で、犯人が自らの視点から凶行の様子を撮影した動画からの画像を複数の新聞が掲載したことから、報道倫理をめぐる議論が巻き起こっている。
リポーターのアリソン・パーカー(Alison Parker)さん(24)とカメラマンのアダム・ウォード(Adam Ward)さん(27)が殺害された26日の事件後の報道で、これらの衝撃的な画像が大々的に使用されたことに、一部の読者やメディア倫理専門家は反発。責任あるジャーナリズムの一線を逸脱した行為だとの非難の声を上げている。
「どこで線引きするのかは、私にとっては明白。情報が利己的に利用された瞬間だ」。米紙USAトゥデー(USA Today)の元編集長で、現在はミドルテネシー州立大学(Middle Tennessee State University)でコミュニケーション学部長を務めるケン・ポールソン(Ken Paulson)氏は語る。「もし有名人がレイプされる映像を撮影したとしたら、それを放送するか?しないだろう。2人の人間が殺害される場面が、有名人のレイプよりも公序良俗に反しないという理由はあるか」
たとえ同じ暴力的な画像がインターネット上で閲覧可能だったとしても、新聞には「読者の価値観を尊重し、衝撃や動揺を与えないという責務がある」と、ポールソン氏は指摘する。「もしあなたの規範が、『これは皆にツイートされるか?』だったとすれば、あなたには規範など全くないということになる」
ツイッター(Twitter)上では、犯行後に自殺したベスター・リー・フラナガン(Vester Lee Flanagan)容疑者(41)が撮影した映像からの画像が新聞に掲載されたことに衝撃を受けたとのコメントが、読者らから寄せられている。画像には、銃の引き金を引くフラナガン容疑者を写したものも含まれていた。
米ビジネス専門誌「ビジネス・インサイダー(Business Insider)」のジャーナリスト、ハンター・ウォーカー(Hunter Walker)氏はツイッターで「ニューヨーク・デーリー・ニューズ(New York Daily News)がついさっき、明日の第1面に掲載予定のおぞましい画像をシェアした。この件に関わった人たちが今夜ぐっすり眠れるとは想像できない」とコメントした。
また、同様の画像を第1面に掲載した英大衆紙サン(The Sun)に対し、ツイッターでは「くず」「ジャーナリズムの面汚し」といった批判が相次いだ。
■「常軌を逸した」報道
プロフェッショナル・ジャーナリスト協会(Society of Professional Journalists)で倫理委員会の委員長を務めるアンドリュー・シーマン(Andrew Seaman)氏は、「ニューヨーク・デーリー・ニューズはこれを見たことがないようなので」とのコメントを添えて、同協会の倫理規定へのリンクをツイッターに投稿した
同規定では、ジャーナリストは「一般市民の情報の必要性と、それが生む可能性のある害や不快感との間のバランスをとるべき」で、「たとえ他者がそうしたとしても、悪質な好奇心に迎合するべきではない」とされている。
ニュースブログ「アイメディアエシックス(iMediaEthics)」は、ニューヨーク・デーリー・ニューズ紙の第1面を「倫理と品位の一線を越えた」と指摘。「パーカーさんの人生の最後の瞬間を犯人の視点から撮影した写真を選ぶという行為は、明らかに常軌を逸している」と批判した。
殺人犯が撮影した動画の使用をめぐっては、テレビ局も同様の問題に直面している。動画は、米CNNテレビや英国放送協会(BBC)などが放送した。
米コロンビア大学(Columbia University)のトウ・センター・フォー・デジタルジャーナリズム(Tow Center for Digital Journalism)のクレア・ウォードル(Claire Wardle)研究部長は、数年前から斬首などの暴力的な映像が拡散するようになったことから、ニュース編集者らは暴力的な映像に鈍感になっているのかもしれないと指摘しつつ、それでも主流メディアには責任があるとしている。
「報道機関がこうした映像を大々的に使用した場合、それは不安定な状態にある人々に対し、もし似たような犯罪に走れば『あなたも新聞の1面に載る』、と伝えることになる」(ウォードル氏)
■ISの残虐動画でも同様の議論
フランス通信(Agence France-Presse、AFP)のフィル・シェトウィンド(Phil Chetwynd)編集長は、今回の銃撃犯が撮影した画像や動画は「事実上、銃撃犯のプロパガンダ(宣伝)声明」にあたると判断し、慎重に取り扱う方針を決めたと語る。
「われわれは最終的に、この動画から取得した2枚の静止画をクライアントに配信することに決めた」「無防備なジャーナリストに向かって銃口が向けられている、驚きを与えるような画像は含めたが、実際の銃撃やその後の様子を写した画像は一切出していない。また、クライアントに動画は一切送っていない」
AFP社内では、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」による「処刑」場面を写した動画の使用をめぐり同様の議論を行ったことがあり、その際には「こうした生々しく暴力的な映像に対し、非常に高い制限を設けた」とシェトウィンド編集長は語る。
「報道に値する大きなニュース的価値がある必要がある。暴力的なプロパガンダを扇情的に取り上げないという責任が、われわれにあるということに留意しなければならない」
ニューヨーク・デーリー・ニューズは、画像を掲載したのは、こうした暴力事件の衝撃の強さを読者に理解してもらうためだったとしている。同紙は、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙に宛てた声明で、「人々がこうした無分別な暴力にたやすく慣れてしまうこの時代に、ソーシャルメディアに投稿するために殺人を犯しながらその様子を撮影していた狂気の男が引き起こしたロアノーク(Roanoke)の事件を、ありのままに伝える」ことが目的だったとしている。(c)AFP/Rob Lever
http://www.afpbb.com/articles/-/3058679?pid=0
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。