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ギリシャと欧州 「ギリシャ債務4割超削減を」 独首相に書簡の米コロンビア大教授
欧州連合(EU)側は財政難に苦しむギリシャへの新たな金融支援に向けた手続きを始めた。国際通貨基金(IMF)はギリシャ債務の大幅減免を求めるが、ドイツなどは応じない構え。7月までにメルケル独首相に書簡でギリシャへの緊縮策見直しを求めた著名経済学者の一人で米コロンビア大のジェフリー・サックス教授は、都内で日本経済新聞に対しギリシャの公的債務について4割を超えて削減すべきだと主張した。
――EUはどうギリシャを支援すべきですか。
「債務を大幅に減らすことが欠かせない。EU側の新支援は、3年間で820億ユーロ(約11兆2000億円)〜860億ユーロといった融資枠の設定が議題となっているが、それだけでは足りない」
「ギリシャの(公的)債務は3000億ユーロを超えた。利息や元本返済で国内総生産(GDP)の約4〜5%が毎年海外に流れ出る計算だ。不況から脱するための施策さえ取れない水準だ」
――返済に追われると何が起きるのでしょう。
「財源が足りず、経済回復に必須である輸出関連産業が育たない。例えばサービス、食品加工、製造業向けの税制優遇ができない。企業側が投資用の資金を借りようと思っても、銀行は破綻しかかっている」
「海外の投資を呼び込む選択肢も現状では難しい。付加価値税(VAT)も上がり、輸出競争力はむしろ低下した」
――債務をどのくらい減らせば、経済は成長の軌道に乗りますか。
「景気回復に予算を回せるよう、毎年の債務返済額をGDPの2%以下に抑えられる程度にカットすべきだ。今の返済条件のままとして試算すると、現在の債務額はGDPの約170%だが、これを100%以下に下げるべきだ。(少なくとも)4割のカットにあたる。仮に債務を減らせないのならば、利息を減らしたり、返済期間を延ばしたりすべきだ」
「金利を固定し(利息を抑え)てもよい。いまのままでは世界で金利が上がれば、ギリシャの債務も利息が増え、同国の経済をさらに圧迫する」
――危機はギリシャが招き債務削減は適当でないとの見方もあります。
「2010年以来支援が2度も失敗した現状をみると、支援内容にも問題があったと言わざるをえない。私はパパンドレウ元首相(09〜11年)の経済再建などに協力したが、EUはいかに債務を支払わせるかに集中し、経済回復には興味がないように感じた」
「例えばギリシャの風力や太陽光で発生させた電力を欧州に供給するための送電網の整備なども提案したが、EUは全く興味を示さなかった」
――過去にも欧州で債務削減の是非が話題となった国はありました。
「ドイツが最も顕著な例だ。第2次世界大戦後に債務削減を受け、いまの経済発展につながった。ドイツ自身が削減の効果を経験している」
(聞き手は国際アジア部 白石透冴)
ジェフリー・サックス(Jeffrey Sachs)氏 米ハーバード大卒。コロンビア大地球研究所所長。開発経済学の権威で、貧困削減などを含む「ミレニアム開発目標」についての国連事務総長特別顧問も務める。60歳。
[日経新聞8月3日朝刊P.7]
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