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(回答先: TPP、綱渡りの8月 3つのシナリオ検証:二国間合意の“集大成”でしかないTPP、内実が「日米FTA」でもいい米国 投稿者 あっしら 日時 2015 年 8 月 04 日 18:43:23)
TPP先送り、日米誤算
乳製品、NZ譲らず 新薬、妥協案は不発
環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る12カ国の閣僚会合が7月31日(日本時間8月1日)、交渉の妥結を見送って閉幕した。「これが最後」(甘利明経済財政・再生相)と閣僚らが切り札を懐に臨んだ会合は、国益のぶつかり合いで最後までもつれた。背景には指導力を発揮すべき日米の読みの甘さと誤算があった。(関連記事総合・政治、総合・経済、国際面に)
「こんな会議を続けてもしょうがないだろ」。閣僚会合3日目の30日午後、米ハワイ州マウイ島のホテル。2階の大会議室で甘利氏は12カ国の閣僚らを前にまくし立てた。閣僚らの手からつかみかけた「大筋合意」がこぼれ落ちつつあった。
3日目に急転
4日間の閣僚会合の最初の2日間は「様子見のジャブの打ち合い」(関係者)。雲行きが怪しくなったのは3日目だ。
同日の閣僚会合前には新薬の開発データ保護期間でオーストラリアが強硬姿勢を和らげ、歩み寄りへの期待が高まっていた。これを壊したのがニュージーランドのグローサー貿易相。「乳製品の輸出拡大が実現しないなら医薬品で妥協しない」と通告したのだ。
新薬のデータ問題を“人質”に乳製品の輸入拡大を各国にのませようとの作戦。「この期に及んでの駆け引きか」と甘利氏の怒りが爆発した。
「甘利の言うとおりだ」。米通商代表部(USTR)のフロマン代表も同調した。だが自身が強力な指導力を発揮して説得を試みようとの姿勢は乏しかった。3時間の予定だった閣僚会合は約40分で終わった。
その夜11時半過ぎ。大江博首席交渉官代理はニュージーランドの交渉官をなじった。「なぜグローサーは全て拒否したんだ。もう時間がないんだぞ」
日本が焦ったのも無理はない。日本は30日にフロマン氏と2度目の閣僚協議を開いて懸案のコメや自動車部品の問題にけりをつけ、31日に12カ国の全体合意につなげるシナリオを描いていた。
だが乳製品を巡って交渉全体が荒れたあおりで閣僚協議は開かれずじまい。日本は関税が即時撤廃される日本製自動車部品の品目を積み上げていたが、お預けになった。
日本も交渉を加速させるためコメの輸入で大幅な譲歩案を示すといった動きには出なかった。
利益団体が縛る
各国の譲歩を阻んだのは内向きの姿勢だ。30日午後、グローサー貿易相は閣僚会合の会場を抜け出し、自国の酪農最大手の幹部の元に向かった。日本も農業団体や関連議員が大挙して押し寄せ、交渉の経緯について逐一報告を受けた。
米国も自動車業界の代理人と呼ばれるレビン米下院議員が現れ、にらみをきかせた。利益団体がハワイに陣取り、各国閣僚は手足を縛られた状態で交渉に臨んでいた。
妥結を見送った後の31日の共同記者会見。「私たちは大きな譲歩、妥協をしてきた」。グローサー貿易相は悪者扱いされることを警戒し抗弁した。
マレーシアのムスタパ貿易産業相も「満足な会合だった」と言い残し、夕方のフライトで母国に帰っていった。同国もまた国有企業への優遇廃止を迫る各国を新薬データ問題で揺さぶっていた。
「交渉は大きく前進した」。会合後に発表された閣僚らの声明は成果を強調し、再交渉に望みをつないだ。だが今回の会合で、各国間の溝の深さもあらわになった。交渉の先行きには暗雲が垂れこめている。
(ラハイナ〈米ハワイ州〉=八十島綾平、坂口幸裕)
[日経新聞8月2日朝刊P.1]
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