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(時時刻刻)土壇場、NZの攻勢 「自由貿易」強気に主張 TPP合意見送り  朝日新聞
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/279.html
投稿者 ダイナモ 日時 2015 年 8 月 02 日 12:38:15: mY9T/8MdR98ug
 

 最後の閣僚会合となるはずだった環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、再び「大筋合意」が見送られた。日米が各国に政治決断を迫ったのに対し、徹底的に争ったのは酪農王国のニュージーランド(NZ)だった。月内に再び会合を開いても着地点が見えているわけではなく、中国をにらんだ日米主導の「太平洋経済圏」づくりは簡単に進みそうにない。

 「乳製品に競争力がない国と難しい問題を抱えてしまうのはいつものことだ」

 大筋合意できないまま始まった閣僚会合後の共同記者会見。NZのグローサー貿易相は各国の閣僚が並ぶ席で、名指しこそしなかったが、小規模経営の酪農家が多い日本やカナダを念頭に、NZの主張に問題がないことを強調した。

 その2時間後。別のホテルで会見した甘利明TPP相は、そんなNZに激しくかみついた。「某国はいろいろ過大な要求をしている。日本だけでなく各国に影響がある。頭を冷やしていただかないと」

 2人の確執は閣僚会合初日の7月28日に始まっていた。笑顔で握手して始まった2人の会談は、乳製品の輸入拡大をめぐるグローサー氏の強気な要求で険悪なムードに。甘利氏が「本当にまとめる気があるのか」と声をあららげ、机をたたく場面もあった。グローサー氏は同様の要求を米国やカナダなどにもぶつけ、二国間の交渉はいずれも暗礁に乗り上げた。日本の交渉筋は「うまくいっていたら怒らない」と記者団にぶちまけた。

 NZが大詰めになって攻勢に出たのは、関税交渉で出遅れていたカナダと米国の交渉が進み、落としどころが見えてきたためだ。TPPはNZなど4カ国がモノやサービスのやりとりを原則自由にしようと結んだ貿易協定が前身。人口約400万人と国内市場が小さいNZにとって、競争力がある乳製品の輸出拡大は重要な政策課題であり、「安易な妥協」を認めず本来の理念を強調することは、NZの国益とも一致する。

 会見で「TPPから離脱する考えは?」と問われたグローサー氏は「NZは交渉を始めた最初の国々の一つで、追い出されることはない」と言い切った。

 この問題が、最も難航していた新薬のデータ保護期間にも飛び火した。

 新薬の開発には最先端の研究開発や膨大な先行投資が必要だ。そのデータが保護されている期間は、価格の低い後発医薬品(ジェネリック)を発売できない。

 新薬企業が強い米国はバイオ医薬品について12年、日本は8年を主張。ジェネリック活用で医療費を安く抑えてきたNZや豪州、マレーシアなどは5年を求めて譲らない。NZは「乳製品の要求を受け入れなければ、新薬で譲歩しない」と強気の姿勢を貫いた。

 行き詰まりを打開しようと、議長の米国は会合2日目の夜、閣僚だけの夕食会を開催。話題は新薬問題に集中し、各国の意見を踏まえて、交渉官が作業チームを設けて夜通しの「合意案」づくりが始まった。

 だが、乳製品交渉に引きずられる形で、新薬の「合意案」もまとまらず、結局、時間切れとなった。

 ■米、「月内」がギリギリ

 「大筋合意」を逃した日米だが、表向きには強気の発言は変わらない。議長を務めたフロマン米通商代表部(USTR)代表は共同記者会見で、「TPPが手の届くところに来たという確信を、今まで以上に持っている」。傍らの甘利氏も「もう一度、会合が開かれればすべてが決着する」と歩調を合わせた。

 といっても、会見直前には次の閣僚会合の日取りを決めるよう迫る甘利氏に対し、フロマン氏は慎重だった。「次の失敗」は許されないためだ。

 来年11月に大統領選がある米国は、年明け2月には予備選が始まる。本選挙が近づくほど、与野党の対立が激しくなり、超党派の協力が難しくなる。8月末は年内の米議会での承認にはギリギリのタイミングだ。次も合意に失敗すれば、交渉の求心力が一気に失われるのは避けられない。

 仮にNZが乳製品の扱いで矛を収めても、日米と新興国などの新薬をめぐる対立が解消するわけではない。日米間のコメや自動車を巡る交渉も未決着だ。日本の交渉関係者は「各国ともNZを言い訳に、最後のカードを切り合う展開にはならなかった」と明かす。

 国内事情を抱えるのは米国だけではない。10月に総選挙があるカナダは近く事実上の選挙戦が始まる見通し。日本でも自民党内には来夏の参院選への悪影響を心配する声が根強い。

 全米最大のロビー団体、米国商工会議所の関係者はいう。「閣僚らがこれだけ協議しても合意できなかったのに、数週間で交渉の場に戻れるとは思えない」

 ■対中戦略、日米暗雲も

 今回の合意見送りは、台頭する中国を見すえた日米の戦略にも影を落とす。

 成長著しいアジアへの輸出を拡大し、地域での外交的な基盤も強固にする――。オバマ政権は、アジアへのリバランス(再均衡)戦略の主軸にTPPをすえ、「中国のような国ではなく、我々が21世紀のルールを作るということを明確にする機会だ」(オバマ大統領)と訴えてきた。

 中国より先に、自国が強みを持つITや製薬などで高い水準のルールを作り、そこに、中国を取り込もうという戦略だ。

 一方、安倍政権も国内市場が縮小するなか、価値観が近い米国とルールづくりを主導し、アジアへの輸出や企業進出を広げることを成長戦略の柱にしてきた。

 日米主導の経済圏づくりのねらいは、経済面にとどまらない。中国が南シナ海などでの海洋進出を強めるなか、安倍晋三首相は5月18日の参院本会議で「我が国の安全保障にも、この地域の安定にも資する戦略的意義を有する」と、TPPの意義を強調した。

 しかし、交渉が「漂流」すれば、こうした日米主導の秩序づくりは「絵に描いた餅」だ。中国もアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立するなど存在感を高めている。TPPが頓挫すれば、こうした動きが活発になる可能性もある。

 (マウイ島〈米ハワイ州〉=小林豪、五十嵐大介、鯨岡仁)


8月1日 朝日新聞朝刊より
 

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コメント
 
1. 2015年8月02日 14:02:52 : b5JdkWvGxs

あくどいのはアメリカだけだろ

TPP合意見送りの真の犯人

ハワイのマウイ島で行われていましたTPP会合は土壇場で決裂したと言われていますが、初めから埋まらなかった溝があり、それが最後まで政治決断できなかっただけです。

アメリカは製薬業界の圧力と畜産関係の圧力が強く、妥協する余地はなく、NZは国の根幹を占める畜産部門では妥協する余地はなく、結果、誰かがババをつかむという次元ではなかっただけです。

NZの要求には、アメリカがNZに要求されている輸入分を日本が負担する形でまとめようとしたようですが、問題は医薬品です。
この分野では妥協しようがないのす。
妥協すれば製薬業界の支持を失うことを意味しますから、次期大統領選挙にも影響を与えます。
年間膨大な額の政治献金をしている製薬業界であり、政権が妥協などすれば袋叩きどころではすまないのです。

今回、もし、畜産関係でNZが席を立ち、NZ抜きでTPP妥協をするとなれば一番困ったのはアメリカだった訳であり、NZをアメリカがなだめたのも理解できます。
自分のところに火の粉が飛んでこないようにNZを使ったからです。

NZは今やキャスティングボートを握った訳であり、NZとしては日本がアメリカ分を負担して購入することで内諾を得たと思っているとすれば、実利をとったことになります。
(昨年から発生していますバター不足ですが、日本がアメリカ分を引き受けるための「自作自演」の演技だったとすれば納得がいく事態と言えます。「そもそも不足して国民が困っているのだから不足分を海外から引き受けた」となれば誰も文句はいわないからです。政治には裏がありますがその裏もあるということが今回の交渉から見えてきます)

では、TPP交渉はどうなるのでしょうか?
医薬品分野を棚上げにして他の分野で妥結するしかないかもしれません。
アメリカとメキシコ間ではビタミン剤の輸入問題がありますが、アメリカがビタミン剤も規制して製薬業界を保護している位であり、ジェネリック医薬品ともなればとても妥協など出来ないのです。

今回の交渉でNZがやり玉にあがっているのはアメリカが製薬業界をかばうためのカモフラージュであり、実際には最大の抵抗勢力はアメリカだったと言えるのです。

そのアメリカが今後どう出るか。

製薬業界交渉人がハワイに送り込まれていたとも言われていましたが、今頃はマウイ島でゴルフ三昧をしているかもしれません。
マウイ島からの戻りは当然プライベートジェットになるのでしょうが。
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/


2. 2015年8月02日 14:05:00 : b5JdkWvGxs

あくどいのはアメリカだけだろ2


アメリカの輸出補助金


これまでにも何度か触れてきましたが、アメリカ政府は自国産農産物(特に穀物)のグローバル市場における競争力(=価格競争力)を高めるため、輸出補助金を出しています。


 アメリカの輸出補助金の仕組みは、以下になります。


A:アメリカの農家が継続的に農業を可能とするための目標価格
B:グローバル市場で価格競争力を持つための市場価格


 当たり前ですが、人件費が高いアメリカでは、常に「A>B」となります。価格Aのまま、グローバル市場に出荷しようとしても、高すぎて売れません。


 というわけで、アメリカの農産業はAよりも安いBの価格でグローバル市場に輸出します。差額の「=A−B」を、アメリカ政府が全額所得補てんしているわけでございます。


 もう一度、例の図を再掲します。


【農業に対する政府支出の国際比較 】
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12056103274-13378526300.html



http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#Nogyo


 今日、見て頂きたいのは、右側の「農業産出額に対する農業予算の割合」です。日本がわずか27%であるのに対し、アメリカは65%と、あのスイス(62%)すらをも上回っています。理由の一つが、この輸出補助金なのです。 


 例えば、日本がTPP交渉において「真の意味で自由貿易を目的とした交渉」をやるならば、
「こちらは関税を引き下げるので、アメリカ側は輸出補助金を廃止せよ」
 と、やるべきなのでございます。一応、日本政府は要求だけはしたようですが、成果は出ていません。


 そりゃ、そうでしょう。アメリカの農政の根幹なのです。アメリカの農業ロビーが認めるはずがありません。


 それどころか、現実は・・・。
 
『小麦の関税、事実上削減へ=日本、米豪などと調整―大筋合意目標を共有・TPP交渉
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150730-00000010-jij-pol  
 環太平洋連携協定(TPP)交渉の米国やオーストラリアなどとの協議で、日本が輸入小麦について事実上の関税削減に踏み切る方針であることが分かった。
 複数の交渉筋によると、政府が製粉会社などに小麦を売り渡す際に輸入価格に上乗せする輸入差益を圧縮する方向で調整に入った。(後略)』


 こちらは、関税を削減。アメリカ側は、輸出補助金を温存。


 日本農家は「輸出補助金」という武器を振りかざし、低価格攻勢で攻めてくるアメリカ小麦産業を相手に、関税という盾なしで「市場競争」を繰り広げなければいけないのです。


 しかも、そもそも日本は、アメリカ、EU、オーストラリアと比較し、国土面積が狭い上に、農地が国土に占める割合も小さいのです。農業の平均経営面積は、アメリカが日本の75倍、EUが6倍、そしてオーストラリアが1309倍(!)というのが現実なのでございます。


 これだけ農地規模に開きがあっては、生産性に差が出て当たり前です。米豪の穀物産業と日本農業の生産性の違いは、「国土条件」の問題であり、
「日本の農家は努力が足りない!」
 といった話では全くありません。余程の技術的ブレイクスルーがない限り、日本と米豪の農業の生産性の開きは埋められません。


 例えば、製造業であれば、
「日本の人件費が高いので、東南アジアに工場を移す」
 といった対応策が可能です。すなわち、資本移動です。資本移動をすれば、日本国民の雇用や所得の問題は置いておいたとして、少なくとも企業単体では価格競争力を引き上げることができます。


 それに対し、「土地」は持っていけないのです。


 こういうことを主張すると、
「日本の穀物産業の競争力(価格競争力)がないなら、農業は付加価値の高い商品政策持つに特化すればいい」
 と、物凄〜く頭が悪い発言をする政治家がいますが、あのですね、国民の生命を守る「穀物」を保護せず、「サトウキビ」「ゴム」などの商品作物に特化「させられた」結果、国民がたびたび飢饉に見舞われることになったかつての東南アジア諸国が、何と呼ばれていたのか知らないのでしょうか。もちろん「植民地」であり、商品作物の農場は「プランテーション」と呼ばれていました。


 日本は自ら「国民国家」から、プランテーションを営む植民地へと落ちぶれようとしているわけでございます。


 別に、農家が付加価値が高い農産物に特化するのは、それぞれの農家の勝手です。とはいえ、「政策」としてそんなことをやってしまうと、米豪などで天候不順が続き、対日輸出が停まると(普通に停めます)、日本国民が飢え死にすることになります。


 さて、三日間に渡り「日本の農業の真実」を書いてきましたが、ここまで書いたにも関わらず、TPPが「日本の食料安全保障を弱体化させる」という現実を理解できない人に、語るべき言葉はありません。


 現状のままTPPが妥結され、国会で批准されると、日本の農家は「ひのきの棒で完全武装の重騎兵と戦う」ことになり、普通に廃業していきます。そして、残された農地を「農協改革」により株式会社が取得し、当初は農業を営み、儲からない(儲からないでしょう)ことが分かると、農地を他の用途に転用して儲けるという「不動産ビジネス」が活性化し、我が国の食料自給力はどん底まで落ち、「亡国」へと至るでしょう。


 亡国を防ぐには、まずは「事実」を知ってください。そして、知らない国民に教えてあげてください。結局のところ、問題は「言論」ですので、言論で戦うしかないのです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12056103274.html


3. ダイナモ 2015年8月02日 15:36:37 : mY9T/8MdR98ug : Kr2S1L17Og

全米最大のロビー団体、米国商工会議所

この団体が「諸悪の根源」。

大企業の利益を代弁する米国商工会議所は米国の司法さえもを乗っ取っている。

米国商工会議所の工作活動によって、米国では様々な制度が大企業に有利なように作り替えられてしまった。TPP交渉が妥結すれば、日本でも様々な制度が大企業に有利なように作り替えられることは明らかだ。

個人の利益よりもすべて大企業の利益が優先する。そういう社会に日本はいやおうなく変えられることになる。


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