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難民急増に悩むドイツ、襲撃事件が続発 もう一つの欧州危機年60万人の難民 日本の難民受け入れに関する誤解 国連、懸念
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/271.html
投稿者 rei 日時 2015 年 7 月 31 日 14:07:43: tW6yLih8JvEfw
 

難民急増に悩むドイツ、襲撃事件が続発
亡命希望者の割り当て政策、受け入れ側の小さな村が抱える不安
2015.7.31(金) Financial Times
(2015年7月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

地中海で難民700人超救助、ゴムボートで欧州目指す
アフリカから地中海を渡って欧州を目指す難民は後を絶たない。多くは経済が安定したドイツに亡命を希望する〔AFPBB News〕
 シャーロッテ・ツァインドルマイヤーさんは外国人に何の反感も持っていない。経営している衣料品店では、湾岸諸国から来る大勢の裕福な客にサービスを提供してきた。だが、ドイツ・バイエルン州の村ヴィンデン・アム・アイグンの住民たちを不安にさせたのは、村に訪れることになっている亡命希望者の数だった。

 人口800人のこの豊かな村のゲストハウスに、100人以上の亡命希望者が住むことになったのだ。

人口800人の村に難民100人

 ゲストハウスから数軒先のコテージに暮らすツァインドルマイヤーさんは言う。「私たちは数について心配していました。800人の村に130人ですから。ガソリンスタンドを別にすれば、買い物に行く場所もありません。それに、もし大勢の若い男性が来たら、どうにかして忙しくさせておかないといけませんしね」

 村の住民からオンライン上で嘆願が集まった後、村に来る亡命希望者の数は67人に減らされた。それでも今月、放火事件が起き、ゲストハウスの離れが焼け落ちた。

 難民を全国に割り振るドイツの政策は、今年の亡命申請の急増と相まって、ごく小さな集落にも見慣れない人たちをもたらした。

 ドイツは昨年、欧州連合(EU)で最大数の亡命申請者を受け入れたが、他の欧州諸国と異なり、極右政党が選挙で成功を収めることはなかった。むしろ、難民数の増加への不安は、難民希望者の保護施設に対する襲撃という形で表出した。

 今年上半期には、ナチスのシンボルの落書きから建物の放火まで、難民収容施設に対する200件近い襲撃事件がドイツ当局に記録されており、昨年の175件から増加している。

 襲撃事件は主に、難民に割り当てられたが、まだ人が住んでいない宿泊施設に対するものだった。一部のケースでは、襲撃者がその意図を明確にしている。昨年12月、バイエルン州の町フォルラで65万ユーロ相当の被害をもたらした放火事件の現場には、ナチスのかぎ十字が殴り書きされていた。

 ドイツ中部のトレグリッツや北部のエシェブルク、西部のヴェトリンゲンでも襲撃事件があった。

 先週末には、ブランデンブルクの町に住む難民一家が目を覚まし、玄関先で燃料に浸された新聞紙が燃えているのを発見した。

 難民に対する襲撃は、ドイツ人の多様性の受容に関する議論を呼んだ。地方自治体を代表するドイツ自治体連合は、一連の襲撃事件は――忌むべき行為ではあるが――関連性のない事件だと言う。また、大勢の民間人が難民希望者を自宅に受け入れることを申し出ているという。

 ドイツ当局は、難民希望者の保護施設の警備体制を見直している。内務省の関係者らは、亡命申請について決断を下すのにかかる時間も削減されたと言う。だが、課題は大きくなっている。昨年は20万2000人以上の人がドイツに亡命を申請した。EU内で次に人気の亡命先であるスウェーデンは、8万1180人の申請を受け付けた。

 今年に入ってからこれまでに17万9000人以上がドイツに亡命申請しており、当局によれば、中東諸国の危機に駆られた申請数が減る見込みはないという。

 ドイツの連邦刑事局は、難民希望者の宿泊施設に対する「全国的にネットワーク化された運動、あるいは全国的な指示が出されている運動」の証拠はないと話している。

問われる多様性の受容

ドイツ・ベルリンで約500人がデモ、難民収容施設の建設に反対
昨年はドイツ各地で、難民収容施設の建設に反対するデモが起きた〔AFPBB News〕
 だが、「Kein Asylantenheim in meiner Nachbarschaft(うちの近所に亡命希望者の保護施設は要らないの意)」と題された、グーグルをベースとした地図は、情報がオンライン上で共有されていることを示唆している。

 サービス規定違反でグーグルが取り下げたこの地図は、難民収容施設の場所と収容人数を掲載していた。

 国の繁栄と東からの移住ルートとの近さは、ドイツが難民にとって人気の目的地であることを意味しているが、ドイツは民族の多様性にあまり馴染みがない。特に激しい襲撃事件が起きたのは、最も多様性の低いドイツ東部だった。東部では、移民のバックグラウンドを持つ人口が全体の4%程度だが、西部では2割を超えている。

 バイエルン州は全人口が1230万人で、このうち少数民族は240万人だ。だが、ヴィンデン・アム・アイグンのような村は、それよりはるかに均質だ。

 「これは私たちには馴染みのないことです」とツァインドルマイヤー夫人の夫、ヘルマンさんは言う。「フランスとは異なり、ドイツの植民地は少なかった。フランスの場合、アルジェリアがかつてフランス領で、言葉の壁がない」

 シャーロッテさんは、村の住民たちは、秋に到着し、放火の難を免れたゲストハウスの母屋に滞在することになっている難民たちにドイツ語を教えることを申し出たと言う。

 夫のヘルマンさんはまだ懐疑的で、「アフリカからここへ来る人たちを責めるわけにはいかないが、経済難民、特に(旧)ユーゴスラビアから来る人がとても多いんですよ」と話している。

By Jeevan Vasagar in Winden am Aign

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44434

国連、日本の難民認定改革案に懸念 制度の改善求める
中崎太郎2015年7月25日19時03分 
 日本の難民認定制度をめぐって、より厳格な審査などを盛り込んだ法務省の新たな出入国管理基本計画案に対して、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が24日、法務省にパブリックコメントを提出し、計画案への懸念を表明した。

 日本では昨年、過去最高の5千人が難民申請をしたが認定されたのは11人だった。法務省は「就労などを目的として、難民条約上の迫害に明らかに該当しない事情を申し立てる事案が顕著となっている」として、審査を厳格化する対策などを計画案に盛り込んだ。

 UNHCRは、認定手続きが長期化していることなどを問題視し、より公正な保護制度や保護に関する業務を担う専門部局の設立を求めた。また、就労目的の難民申請者対策についても「真正の難民申請者が『偽装滞在者』とみなされることがないよう慎重な取り扱いが必要だ」と求めた。

 基本計画は日本政府が5年に1度策定しているもので、法務省が25日まで意見を募るパブリックコメントを実施している。UNHCR駐日事務所によると、日本政府の難民認定制度に関してパブリックコメントを提出するのは初めてという。

 UNHCR駐日事務所の守屋由紀広報官は「世界的に難民の数が増えている中で、日本政府の難民認定は改善が進んでいない。本来保護されるべき人の不利益につながっている懸念がある」と話した。

 計画案に対しては、弁護士団体やNGOも懸念を表明している。今回、国連機関からも公式に改善を求める要望が寄せられたことは、今後の計画案の策定にも影響する可能性がある。(中崎太郎)

この記事に関するニュース
(Re:お答えします)なんみんにんてい、日本なぜ少ない?(7/23)
難民審査を厳格化 保護対象、明示せず 法務省方針(6/27)
シリア難民受け入れを日本政府に要請 UNHCR局長(6/21)
ロヒンギャ族の人ら50人「難民を助けて」 渋谷を行進(6/20)
国籍なきロヒンギャ族 実は群馬・館林に定住進む(6/6)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO89938430Q5A730C1000000/


もう一つの欧州危機は、年60万人の難民
2015.07.30 

「ヨーロッパを揺るがしている危機」といえば「ギリシャ財政危機」や「ウクライナ紛争」などを連想するかもしれない。それらに劣らずヨーロッパ各国が苦しんでいるのが、「押し寄せる難民」という危機だ。中東やアフリカの混乱を逃れて、多くの難民が亡命を求めてヨーロッパに来ている。

欧州委員会で統計を担当するユーロスタットによると、去年だけで62万6千人(うち約20%がシリア人)もの難民がヨーロッパに亡命申請し、約半数が受け入れられたという。

また、米ハフィントンポスト紙によると、2015年に入ってから15万人もの難民がヨーロッパに辿り着いたという。そのほとんどが、中東に隣接するギリシャや、リビアから地中海を越えてイタリアに到着している。


難民受け入れと経済的現実の間に揺れるヨーロッパ

ギリシャやイタリアはすでに受け入れの限界に達しているため、欧州連合(EU)は他の国々に難民を振り分けている。

しかし、ヨーロッパ各国の中では、難民に眉をしかめる者も多い。大勢の難民が国の財政を圧迫すること、難民の中に過激派集団が潜んでいる可能性、そして大量の異国民を受け入れることで、国の文化や性質が変わってしまうことを恐れる国民など、懸念は絶えない。

ドイツのデア・シュピーゲル紙によると、難民の約3分の1が振り分けられているドイツでは、難民に対する反感から、反移民主義の右翼団体の台頭が目立ち始めているという。これらの団体は、難民の住居や施設に対して放火するなど、犯罪行為にも及んでいる。イタリアでも、難民を乗せたバスを守る警官隊と反移民デモ隊が衝突し、負傷者が出ている。

ヨーロッパ各国の政府としては、紛争から逃れてくる難民を追い返すわけにもいかず、受け入れにも限度があるため、非常に厳しい選択を迫られているのだ。


日本だったらどうする?

ヨーロッパが直面している難民問題は、日本にとっても他人事ではない。将来、朝鮮半島の有事や、中国で異変があった場合、難民が船に乗って日本に押し寄せてくる可能性はある。また、それらの難民を第三国が引き受けてくれるとも限らない。

そのとき、日本はどのように対応するべきだろうか。

ヨーロッパがいま経験している難民問題は、日本が同じような状況に置かれたときに直面するであろう軋轢や問題を、事前に明らかにしてくれていると言える。

最終的には、中東やアフリカの紛争が終わらない限り、難民の波が絶えることはないだろう。日本は、ヨーロッパの難民問題を遠い国の出来事と捉えずに、先進各国とともに手を差し伸べ、国際社会における責任を果たすべきではないだろうか。また、問題の根幹である中東の紛争解決のために、宗教間・民族間の融和を後押しすべきである。(中)

【関連記事】
2015年7月号記事 日本が移民を受け入れる条件
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9673

2015年2月20日付本欄 イタリアがイスラム国による侵略を懸念 憎しみの連鎖を止めよ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9217

2015年5月1日付本欄 ネパール大地震 世界中が支援の手【今週の国際ニュース、これだけ】
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9568

移民・難民の死亡事故、2カ月で9人 英仏海峡トンネル
パリ=青田秀樹2015年7月30日00時29分 
 英仏海峡トンネルを通って違法に英国へ向かおうとしたアフリカ出身の男性が29日朝、仏カレーのターミナルで死亡しているのが見つかった。列車に積み込むトラックに乗ろうとして転落したとみられる。周辺に住み着いた難民や移民らのうち、約2千人が同じように英国に渡ろうと機会をうかがっているという。仏英両国とも対策を急いでいる。

 AFP通信によると、死亡した男性はスーダン出身で25歳〜30歳。ドーバー海峡をくぐるトンネルは列車専用だが車両を運ぶことができる。男性はトラックに飛び乗ろうとした模様だ。英国に向かおうとして死亡した例は今年6月から9人目という。

 中東アフリカから密航などで欧州に渡った難民や移民が英国に向かう場合、かつてはフェリーに潜り込む例が目立った。監視の強化にともない英仏海峡トンネルが使われるようになった。

 仏カズヌーブ内相は、英仏海峡トンネルを渡るのを手助けする組織の存在をあらためて指摘したうえで、監視のための警官を増やす考えを示した。(パリ=青田秀樹)

ヨーロッパ 記事一覧
http://www.asahi.com/articles/ASH7Y6JF1H7YUHBI021.html

EU各国、地中海難民受け入れで調整難航
2015/7/25 23:43  【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)が地中海を渡って欧州を目指す不法移民や難民の受け入れに苦慮している。EU首脳会議は6月下旬、イタリアやギリシャに集中する難民の受け入れを加盟国で分担することで合意したが、具体策の交渉は難航している。EUは詳細を固める期限を当初の7月末から年末に変更したが、交渉がどこまで進むかは未知数だ。

 国際移住機関(IOM)によると、欧州へ地中海経由で渡った移民や難民は7月中旬時点で約15.9万人に達した。船舶の転覆などによる海上での死者数は1914人に及び、4月にはリビア沖で約900人を乗せた密航船が転覆する事故も起こった。

 強制送還できる不法移民と異なり、政情不安を背景にした難民の保護対策は急務で、EUが緊急首脳会義で対策を打ち出す事態となった。

 EUの緊急対策の柱のひとつが、地中海沿岸のイタリアやギリシャに負担が偏る難民受け入れを加盟国で分担することだ。欧州委員会は今後2年間で4万人の難民をイタリアとギリシャから他の加盟国へ移送することを提案。当初は経済規模などに応じて、受け入れ人数を強制的に各国へ分配する「割当制度」の導入を検討したが、各国の強い反対に遭い、自主申告に切り替えた。

 ただ、20日の法相・内相理事会で各国からの受け入れ人数の申し出は計3万2千人強どまり。目標の4万人に届かなかった。決着は年末まで持ち越しとなった。

 内訳をみると、ドイツの1万500人、フランスの6752人、オランダの2047人の3カ国で、全体の約6割を占めた。いずれも欧州委が当初求めていた受け入れ人数を満たした。

 受け入れを一切拒んだのがハンガリーとオーストリアだ。ハンガリーはバルカン半島経由の不法移民の流入に悩む。隣国セルビアとの国境に“壁”の建設準備を閣議決定するなど、移民受け入れの制限を強めている。そのハンガリーからの移民が急増しているオーストリアは、ハンガリー国境での国境管理を復活させる方針を示唆している。

 欧州委の高官によると、他にもポーランドやスロバキア、スロベニアなど東欧諸国、エストニアなどバルト3国、スペインなどが難民の受け入れ分担に消極的だ。ポーランドはウクライナからの移民・難民の急増を懸念している。

 欧州委は各国が自主的に受け入れを申し出た3万2000人について10月以降、各国への難民の移送を始める方針だ。目標達成へ残る約8千人の分担についても、引き続き加盟国に受け入れを働き掛ける。年末までに合意にこぎつけたい考えだが、調整は難航が必至だ。

 「我々は問題解決の責任を共有している」(EUのトゥスク大統領)。4月の緊急首脳会義で、首脳らが盛んに強調した欧州の“結束”は、対策の具体化が進むにつれて、むしろ揺らぎが目立ってきた。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22HAE_V20C15A7FF8000/

日本の難民受け入れに関する誤解 - 吹浦 忠正


日本は「難民に冷たい」か?
日本が難民の定住受け入れを決めたのは、1978年。インドシナ三国(ベトナム、ラオス、カンボジア)で相次いで成立した社会主義政権を拒否する約150万人(UNHCRによる)が難民化し、諸外国から受け入れを求める強い圧力を受けてのことだった。78年に3人、79年には2人だったが、その後は受け入れ態勢が急速に整備され、これまでに家族の呼び寄せを含めて1万1319人を受け入れ、この制度は終焉した。

難民とは「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいるものであって、その国籍国の保護を受けることができないかまたはそれを望まない者」(1951年難民の地位に関する条約第1条)を指す。庇護を求められた場合は、人道的見地に立って、これを受け入れることが国際的な義務である。日本がこの条約に加盟したのは、同条約締結後30年を経てからであり、インドシナ3国から多数の人々が日本での定住を望む事態になってからの対応だった。

一方、中国残留孤児と呼ばれた人やその子孫、北朝鮮からの脱北者などについても特別の配慮をし、南米などの日系移民の子孫についても入国上の優遇措置を行い、さらに未だ少数ではあるが、タイに逃れたミャンマーの少数民族についても計画的に受け入れつつある。

私は1970年に初めて南ベトナムと関わり、72年のバングラデシュ独立にまつわる第3次印パ戦争では国際赤十字の駐在代表として1000万人に及ぶ難民・避難民の救済に従事。79年からはNGO難民を助ける会の創立に関わり、現在もその特別顧問として世界と日本の難民への対応について直接関わったり、状況を調査したりして政策提言をしてきた。

したがって、私自身、これまでメディアなどを通じ、日本の難民受け入れについて「大きな問題がある」、「あまりにも消極的だ」と批判してきたので、なんとしても受入数を増やしたいとの思いで、3年前、難民審査参与員を引き受けたのだった。しかし、そこで分かったことは、「5000人が難民申請して認定されたのがわずか11人」という2014年度の数字だけを見て「難民に冷たい日本」、「人権を尊重しない法務省」と言うのは明らかに誤解であるということだ。

異議申し立ても「難民と思えない」人ばかり
日本は2005年に難民審査参与員制度を導入した。法務省の判断に異議のある申請者には行政と直接かかわりのない参与員が審尋を行い、法務大臣はその結論を最大限尊重する。参与員は全国で約80人。裁判官、検事、弁護士といった法曹界に関わってきた人、外交官や国会の専門調査官、学者、そして外国人支援団体の役員などが3人1組で異議申し立て人にインタビューする。事務的な準備はすべて法務省職員が整えるが、審尋の中身には口を挟まない。

これまでの3年間、100人以上を担当したが、私の関わったケースは難民としての蓋然性が低く、1人として難民認定すべきとの意見提出には至っていない。申請内容の不整合や書類の不備、事前の供述について本人が理解していない、明らかな出稼ぎ目的や退去強制逃れのための難民申請など、難民と思えない理由は枚挙に暇がない。

「自分は同性愛者だ。自国は同性愛行為には死刑まで課される」と難民申請し、調べてみると日本人女性と暮らし、子どもまでいたケース。「自分は野党の地方組織の青年部長だ。帰国すれば与党に殺される」と言いながら、「その党の党首は?」と聞いても答えられないケース。「滞日10年、入管法以外の罪は一切犯していない、こんな私に日本から出て行けというのか」と迫る者もいる。

国ごとに申し立て理由がパターン化しているのもの特徴だ。ネパールからの申請者は「自分は政権与党の支持者だが、マオ派の党員から寄付金を払えと脅された」、スリランカは「地方選挙で今回は負けた方を応援してしまった」と前議員の推薦状を持参、トルコからの申請者は「クルド人として進学・就職で差別を受ける」と申し立てる例が、実に多い。しかし、これだけでは認定しがたい。

要するに、それぞれの国にブローカーがいて、渡航費用の調達、出国手続き、日本の空港での出迎え、当面の宿舎や就職の斡旋、入管での難民申請の仕方、弁護士や支援団体からのサポートの受け方、不法滞在で捕まった場合の対応まで指南する。かなりの数の申請者がブローカーを使っているというのが実情だ。

現実見すえた難民認定実施を
昨今の地中海を渡ろうとする密航船、ミャンマーからのロヒンギャ人の漂流など、目を離せない事態を前に、日本は応分の「重荷の分担」をすべきだと私は思う。しかし、それは難民としての蓋然性の高い人を救うべきで、「日本で働きたい人は誰でもどうぞ」という話ではない。

国連関係機関がむやみに難民認定のハードルを低くし、それを国際基準だと一律に強いるのは間違いだ。わが国が人道的見地に立ちつつも、現実を見据え、国家としての矜持を保ちながら、主権行為である難民認定をきちんと実施すべきは当然だ。

途上国支援拡充が「正攻法」
日本の経済活動を維持していこうとする中で、少子化による急速な人口減少に対応する外国人労働者受け入れの準備が必要であるという主張には同感できる。一部の国会議員や経済団体からは、1000万人規模の移民受け入れが提唱されている。

しかし、一定期間日本で働き技術や言葉を覚えると、滞在期限が切れて帰国を余儀なくされた場合でも、このまま日本で働きたいので難民認定をという人が続出するに違いない。外国人労働者の安易な受け入れは日本の入管制度を根本的に崩壊させかねないばかりか、日本社会が無秩序のまま大きな変容を迎えることを覚悟する必要がある。

「難民」という言葉が日本語の辞書に載ったのは1943年が最初である。そのくらい「島国日本」では政府も国民も、この事象に対する歴史的経験は少ない。しかし、わが国は今後、難民の受け入れや外国人との秩序ある共生社会の実現を図るべきであると私は考える。

数多い難民申請者の中から、日本政府は真の難民をより早く見つけ出して受け入れ、支援をしなくてはならない。それに加えて、開発途上国の人々が自国にとどまって生活できるよう、国づくりの支援を拡充していくという正攻法で行うほかあるまい。

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吹浦 忠正  FUKIURA Tadamasa
ユーラシア21研究所理事長。1941年秋田市生まれ。早大大学院政治学研究科修了。オリンピック東京大会組織委員会専門職員、埼玉県立大教授、国際赤十字バングラデシュおよびインドシナ各駐在代表、難民を助ける会・副会長などを経てユーラシア21研究所理事長。北方領土返還運動に長年取り組み、北方四島交流推進全国会議・副会長を務める。著書に『国旗で読む世界地図』(光文社新書)、『赤十字とアンリ・デュナン』(中公新書)、『NGO海外ボランティア入門』(自由国民社)など。

■元記事
・日本の難民受け入れに関する誤解

■関連記事
・日本の難民政策:受け入れは「狭き門」
・日本の出生率〜少子化対策へ政府も改善に本腰
・「50年後1億人維持」を国家目標に−日本の人口
・100歳以上の高齢者、5万人超え年々増加
・超高齢・人口減少社会の現実と対応
http://blogos.com/article/124851/  

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コメント
 
1. 2015年8月05日 02:26:04 : RLcvjzv8rc
大量の難民を製造し続けている/てきたブッシュ大統領どもの国が、受け入れに最も相応しいんではなかろうか。此奴らに吹っ掛けるべき課題といえよう。

2. 2015年11月02日 22:30:52 : PwJImDGqwI

ドンテナ国際

2015年11月02日17:07

カテゴリドイツ

【 難民危機 】 ドイツで難民襲撃、放火相次ぐ  多発する暴力行為に「民主主義に対する攻撃だ」と批判の声も
http://dontena.doorblog.jp/archives/45888248.html


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