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ブラジル大統領 窮地
経済低迷/汚職疑惑拡大/支持率最低、議会で弾劾の動きも
【ハバナ=宮本英威】主要新興国の一つであるブラジルのルセフ大統領が窮地に陥っている。2期目に入り半年以上が経過しても経済再建は進まず、2015年は6年ぶりに実質でマイナス成長になる可能性がある。汚職疑惑が広がり、後ろ盾のルラ前大統領も建設業界と癒着した疑いで捜査の対象になった。ルセフ政権の支持率は就任後最低水準で、大統領弾劾の動きもある。16年に夏季五輪開催を控え、政治と経済の両面で動揺が拡大している。
「私は決して退陣しない」。最近のブラジル有力紙フォリャ・ジ・サンパウロのインタビューで労働党のルセフ氏は言い切った。14年10月の大統領選で大接戦のうえ勝利し、15年1月に2期目が始まった。労働党のルラ前大統領から政権を引き継ぎ、11年1月から1期目の4年間を務めたが、バラマキ政策が奏功せず経済は失速したままだ。2期目は財務相に財政規律を重視するレビ氏を任命したが、目に見えた成果はあがっていない。
ブラジルの大手世論調査会社IBOPEによると、ルセフ政権の評価について「非常に良い」と「良い」を合わせた支持率は6月が9%と、3月の前回調査で記録した12%からさらに下がった。1期目を含めた同政権では過去最低の水準だ。
ルセフ政権が支持率を落としている最も大きな理由は、相次ぐ汚職疑惑だ。ブラジルの連邦検察当局は7月中旬、ルラ前大統領の捜査を始めたと明かした。建設大手オデブレヒトの経費で外国に渡航し、同社の公共事業受注を支援した疑惑が浮上している。ルラ氏は10年まで2期8年間、大統領を務め、現在も労働党内で影響力が大きい。ルセフ氏を後継者に選んだ人物だけに、現政権が受ける打撃は小さくない。
国営石油会社ペトロブラスを巡る汚職疑惑も尾を引く。ブラジル警察当局はオデブレヒトやアンドラデ・グティエレスといった建設大手の経営幹部を逮捕した。ペトロブラスからの受注金額を不当につり上げ、得た利益から政治家に献金していた容疑だ。ルセフ氏はペトロブラスの職員が関与した可能性を示唆。15年前半には各地で汚職を糾弾するデモが相次いだ。
ブラジル地理統計院によると1〜3月の成長率は前年同期比でマイナス1.6%。ブラジルの中央銀行が6月に発表した15年通年の成長率予測はマイナス1.1%で、通年で6年ぶりのマイナス成長に転落する可能性が浮上している。
同統計院が発表した6月の失業率は6.9%。6カ月連続で悪化し、6月としては5年ぶりの高水準だった。増税や金利の上昇を背景に、製造業やサービス業で人員削減が相次いでいる。インフレ率も年8%前後で高止まりしている。
野党の一部は議会でルセフ大統領の弾劾を模索し始めた。弾劾には上下両院でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要だ。現状で連立与党が多数派なので実現する可能性は低いとみられるが、大統領の権限が強いブラジルでは珍しい動きといえる。
政権は経済再建のため国民に不人気な施策を進めざるを得ない。政府支出を減らしてインフレを抑制しようと、社会保障費の削減にも踏み込もうとしている。政府は最近、15年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字目標を従来の国内総生産(GDP)比1.1%から0.5%に引き下げた。景気低迷による税収減が主因だ。
[日経新聞7月25日朝刊P.7]
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