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動き出す米・キューバ<上> オバマ氏対話路線へ 中南米での復権狙う(下)特区に外資殺到 「カリブのベトナム」狙う
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 7 月 27 日 04:03:44: Mo7ApAlflbQ6s
 


動き出す米・キューバ

<上> オバマ氏対話路線へ 中南米での復権狙う

 米国とキューバの54年ぶりの国交回復で、対話路線に転換したオバマ米大統領がキューバの民主化を実現できるかどうかが課題となる。オバマ氏は中国の台頭が著しい中南米で米国の影響力回復につなげたい考えだが、キューバとの接近を警戒する米議会や、体制維持をもくろむカストロ政権との隔たりは大きい。

 ワシントンでは20日早朝、米国務省の玄関ロビーに並ぶ米と国交のある約190カ国の国旗にキューバ国旗を追加。キューバ利益代表部では、同国のロドリゲス外相が記念式典に参加。キューバ国旗を掲げ、歌手や科学者、スポーツ選手らが加わる代表団とともに大使館の再開を祝った。


制裁解除が転機

 米フロリダ半島とキューバとの直線距離は140キロメートルにすぎないが、渡航や商取引は禁じられていた。キューバのカストロ兄弟は1959年、親米バティスタ政権を倒して政権を奪取。同政権が米企業の資産を接収し国営化したことから、61年1月に米国が断交を決定。米は同年4月に反政府軍を支援して武力で侵攻するなど、何度も政権打倒を目指してきた。

 オバマ氏はこうした過去の政策と違い、対話路線に転換した。制裁解除で経済や文化などの面で米国の影響が強まれば、キューバ政府に対する国民の反発は増すとみた。


他国も米に接近

 米国はほかの中南米諸国での影響力も回復する構え。中国が鉄鉱石や銅を大量購入し、インフラ整備でも存在感を高めている事態を憂慮する。

 中南米諸国が米国との距離を縮める動きも相次ぐ。ブラジルのルセフ大統領は6月、訪米時の会見で「今後10年以内で米国との貿易を2倍に伸ばしたい」と期待した。

 ルセフ氏は13年に米国家安全保障局(NSA)による傍受に反発し訪米を取りやめた。ここにきて米国との関係改善に動き始めた背景には米国とキューバの接近がある。

 反米姿勢のベネズエラも対話に動く。同国政府は4月、シャノン米国務長官顧問を招き、マドゥロ大統領やロドリゲス外相が会談。主力輸出品の原油の下落でベネズエラの財政は余裕がない。

 同じ反米左派政権のボリビアでも、チョケワンカ外相が6月、モラレス大統領とオバマ米大統領の首脳会談を要請したと表明した。反米の思想的な柱だったキューバの路線変更は、左派政権の結束を弱めている。

 それでもオバマ氏の思惑が実現するか否かは不透明だ。ラウル・カストロ国家評議会議長は社会主義体制を維持する意向を示す。表現の自由や自由選挙などを受け入れさせたい米国に、キューバ外務省のビダル米国担当局長は「内政干渉」と反発する。米議会も野党・共和党を中心に制裁解除への反対論が強い。

(ワシントン=川合智之)

[日経新聞7月21日朝刊P.7]
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(下)特区に外資殺到 「カリブのベトナム」狙う

 「資本主義の実験場」――。社会主義国家のキューバで今、こう呼ばれる場所がある。首都ハバナ郊外のマリエル開発特区。1980年、フィデル・カストロ国家評議会議長(当時)が「出て行きたい者は出て行け」と、12万5千人もの亡命希望者に港を開放した事件の舞台だ。この地が今は経済開放のシンボルだ。


進出計画300件

 敷地面積は465平方キロメートル。キューバ政府は進出企業に対し無税での利益送金や機械設備の輸入にかかる税金の免除などの恩典を用意した。300件以上の進出計画の中で、すでにメキシコやスペインの企業7社の計画が許可された。

 かつてベトナムや中国が、改革開放政策で経済特区を設置し外資呼び込みの拠点にした。目下、キューバ政府は「カリブのベトナムになる」(キューバ高官)ために動き出している。

 「2015年上半期の成長率は4.7%だった」。ムリジョ閣僚評議会副議長は15日、国会で胸を張った。同国は08年にラウル・カストロ氏が国家評議会議長に就任後、市場原理の導入を進めてきたが、最近の実質経済成長率は2%程度にとどまっていた。過度の国際的緊張を強いられ経済建設に注力ができなかったキューバだが、対米関係の改善がすでに観光産業の成長や海外からの投資につながり始めているようだ。

 キューバの強みはカリブの要衝にある地理的な利点と国民の教育水準の高さだ。ただ、現行の法制度では労働者を直接雇用できない。進出企業は政府の人材派遣公社に人件費を支払わなければならないからだ。


格差拡大懸念も

 社会主義国のキューバでは国民の大半が公務員で平均月収は約3000円とされる。一部の政府高官を除けば国民は半世紀前に米国から接収した家やアパートをあてがわれる。食事は配給品が中心で大半の国民が決して豊かとはいえない暮らしをしている。

 しかし、今後はさらにドルを「持つ者」と「持たざる者」の格差が広がる可能性が高い。外国に住む親族から送金を受けることができる人々や、外国人向け高級レストランなど自営業者の所得は増える。平等を掲げる革命の理念を維持するのはもはや不可能だ。

 そして、何よりも国交回復により、米国という仮想敵の存在の希薄化に国内支持基盤が揺らぎ、政権交代につながる芽生えを育む。

 「フィデルは尊敬するが好きかと言われればそれは別の話さ」。ある男性は記者の質問に声を潜めた。国民の大半は革命後に生まれた。格差の広がりは国民の不満に火をつけ、さらなる自由化を希求する強い原動力になるだろう。政治的安定と富の公正な配分を両立させ格差を縮める改革がキューバ政府に求められる。

 ラウル・カストロ氏は2期目の任期が終わる18年に引退すると表明している。後継者と目されるのは若手のミゲル・ディアスカネル第1副議長だが、国内の不満分子を徹底的に弾圧してきた秘密警察の出身ともいわれている。

 国交回復でキューバの人権状況が改善されると期待する米国と社会主義体制を捨てるつもりのないキューバ。54年ぶりに再び交わった両国の行方に世界が注目している。

(ハバナ=宮本英威)

[日経新聞7月22日朝刊P.7]

 

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コメント
 
1. 2015年8月04日 00:52:36 : jXbiWWJBCA
キューバがアメリカになる日

グローバリズムの辺境:キューバ(5)

2015年8月4日(火)篠原 匡

 短いキューバ滞在の間で何度か目にしたものがある。それは韓流ドラマだ。事実、「シークレットガーデン」や「My fair lady(お嬢様をお願い!)」など日本でもおなじみの韓流ドラマを見るキューバ人をたびたび目にした。娯楽の少ない国だけに、国民の人気は高い。日本での韓流ブームはとうの昔に終わったが、キューバはいまだブームの中にある。

韓流ドラマにはまるキューバ人の日常

 キューバで韓流ドラマが流れるようになったのは2013年2月以降のこと。国交がないキューバとの関係を改善するため、韓流ドラマの無償提供を始めた。記念すべき最初の作品は、「僕の妻はスーパーウーマン」。以来、韓流ドラマがキューバに“輸出”されている。

 「カルチャーマーケティングは友好のファースト・ステップ。すぐに、というわけにはいかないが、いずれ大使館もできるだろう。もちろん、キューバ市場に魅力を感じているからこその動きだよ」

 韓国版JETROと言えるKOTRA(Korea Trade−investment Promotion Agency)のジョン・フンはこう語る。韓流ドラマやK−POPなどのコンテンツ輸出でアジアを席巻した韓国。ソフトパワーで海外市場を攻める戦略はカリブ海の小国でも変わらない。

 このように、市場としてのキューバに注目しているのは韓国だけではない。

 国交正常化が表面化して以降、米ミズーリ州が農業関連の視察団を派遣したのを皮切りに、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が航空や金融、製薬などの大手企業幹部を連れてキューバを訪問した。GEなどの医療機器メーカーも、医師免許を持つ社員をセミナーや情報交換の名目でキューバに送り込んでいる。来年にはクルーズ船の就航も予定されており、対キューバビジネスを当て込んだ動きは枚挙に暇がない。

 それは日本企業も同様だ。滞在中に開催されていた「医療EXPO」ではオリンパスや島津製作所、東レ・メディカルなど10社前後の日本メーカーがブースを出していた。「ビジネス自体は2002年頃から始めていますが、リーマンショックで頓挫してしまって。最近はキューバ経済も少しずつ明るい方向に進んでいるので、改めて商売をしようと思って参加しました」。透析フィルターを扱う東レ・メディカルの担当者はこう語る。


4月下旬にキューバで開催された医療EXPO。10社前後の日本企業が参加していた

医療EXPOには米企業も参加していた。出展していたのは痔の治療器具。「入院せずに治せるよ」と担当者
予算が付きやすいのは医療分野

 現状、キューバでビジネスをしている企業は圧倒的に医療関連が多い。財政状態が厳しいこともあり、政府の予算が付く分野は毎年のように変わる。その中で、医療はキューバという国の根幹であり、継続的に予算がつけられる数少ない領域。そのため、医療分野に企業が集まるのだ。

 それ以外で言えば、写真関連も比較的予算が付きやすい分野だ。キューバはデジカメがあってもパソコンが十分にないため、いまだに紙焼きが主流。印画紙や現像液、ミニラボなどの需要は毎年のようにあるという。

 ただ、支払い条件は「出荷後1年後払いという条件もザラ」という声が上がるように、お世辞にもいいとは言えない。民間債権の8割カットを余儀なくされた過去を振り返れば、予算が付くとはいえそれなりにリスクを取る必要がある。「昨年は貿易保険があったのでまだよかったが、今年は枠がなくて…」とある商社の駐在員はため息をつく。

 もっとも、国を開いた後のキューバにどこまでポテンシャルがあるのかは不透明だ。位置づけとしては途上国だが、人口はわずか1127万人に過ぎず、既に高齢化も進行している。ラテンの国々の中では真面目な国民性と言われるが、近隣に“米国の工場”と化したメキシコが存在することを考えれば、キューバに製造業が集積する姿は想像しづらい。

 同様に、物不足が深刻なだけに消費市場としての魅力はそこそこあるだろうが、政府や国民の購買力が低く、消費市場としては時期尚早の感がある。仮に市場として立ち上がったとしても、物理的な距離の近さや米国への憧れを踏まえれば、米企業の独壇場になるのではないか。

マリエル開発特区に外資誘致を進めるが…

 一方で、インフラビジネスは可能性を秘めている。電力不足は積年の課題で、インフラの老朽化も深刻だ。「2010−2014年の設備投資はGDP(国内総生産)の9%と、本来必要とされる25%にはほど遠い」と、キューバ全国経営学者・会計士協会の副会長、ホアキン・インファンテ・ウガルテが指摘するように、旧ソ連崩壊以降、長らく過小投資の状態にある。

 キューバ政府も規制緩和などによって外資を呼び込み、インフラ整備や産業育成を進める必要性は痛感しており、ハバナ近郊のマリエルに開発特区を設置、税制優遇をテコに外資を呼び込もうとしている。ただ、中国における深圳の位置づけだが、キューバの場合はメキシコ食品加工会社など2〜3社が選ばれたという話が漏れ伝わってくるだけで、その歩みは亀のように遅い。

 その理由を、ハバナ大学キューバ経済研究所のリカルド・トレスは変化を恐れる政府の姿勢に見る。

 通常、途上国は外資による直接投資に積極的だが、キューバは様子を見るばかりで積極的な姿勢が見られない。マリエル開発特区にしても、実験的な特区である以上は迅速に審査して受け入れの是非を判断すべきだが、このプロセスが遅く不透明だという。

 「外資の投資が少ないのは、米国の経済封鎖だけが原因ではなく、この国の投資の仕組みが分かりにくいことも一因。外資が一挙に入ることで、政治のコントロールを失うのではないかと恐れている」。政治体制やイデオロギーの変化を恐れるあまり、極めて慎重な運用に終始しているという指摘だ。市場を開放し始めているように見えるが、その内実は恐る恐るでスピード感はない。

 それでは、どこで外貨を稼いでいくのだろうか。医者の輸出は石油資源の確保という面で効果的な政策だったが、ベネズエラ経済が崩壊しているうえに、医師の人数にも限りがあることを考えれば、右肩上がりで増えていくようなものではない。医者を他国に派遣した結果、国内で医者不足が指摘されるなど本末転倒な事態も招いているのもマイナスだ。

「シガーと言えばハバナシガー」

 世界中にファンがいる葉巻やラム酒などの特産品も魅力がある。特に、「シガーファンにとって、シガーと言えばハバナシガーを意味する。それくらい、キューバのシガーは圧倒的」(コラムニストでシガーファンの島地勝彦)という声が上がるほど、キューバ産葉巻に対する評価は高い。

 だが、キューバ産葉巻は原料となる葉の品質もさることながら、手作りというところに競争力の源泉がある。最近でこそ、工場労働者に対してインセンティブをつけて生産性を高める努力を始めているが、手作業ということを考えると、こちらも急激に伸びていくシナリオは考えにくい。

 キューバという国の置かれた状況を考えると、本来的には付加価値の高い分野に人材を移して輸出競争力のある産業を育成する必要がある。だが、公的部門における余剰人員の解消や自給率の向上という課題があるにせよ、現状では自営業や農業というさほど成長が見込めない分野に政策的に人材をシフトさせている。これでは持続的な成長は見込めないだろう。


一枚ずつ葉の色や品質をチェックする

手作業でくるくると巻く

仕事中の喫煙は自由

工場の前方には机があり、作業中の労働者に新聞を読んで聞かせるなどする

巻いた葉を固定するために用いられる万力

最終工程
揺らぐ共産党の正統性

 このように考えていくと、当面は観光くらいしか有望な産業はないのではないだろうか。幸いなことに、キューバは米国に極めて近い。マイアミとの距離を考えれば、ニューヨークからでも3−4時間でハバナにいくことが可能だ。世界遺産に登録されている旧市街は美しく、渡航の自由化によって多くのアメリカ人が訪れるに違いない。現に、渡航する米国人は増えている。

 もちろん、キューバ政府は慎重に事を進めるだろう。国交正常化を果たしたといっても、米国に対するキューバの警戒感は根強い。加えて、共産党による一党独裁の正統性がキューバの精神的支柱、ホセ・マルティ以来の民族の自立と社会的平等の実現にあったとすれば、敵が敵でなくなった時に一党独裁の正統性は大きく揺らぐ。既に、キューバ的平等が変質しつつあることを考えればなおさらだ。

 だが長い目で見れば、人・モノ・カネの移動を通して徐々に米国と“融合”していくことは避けられないだろう。特に、2018年での引退を明言している国家評議会議長、ラウル・カストロの後に革命政権がどうなるかは読めない。グローバル化がもたらすものが均質化だとするならば、その波にのまれてキューバもアメリカ的な普通の国になっていく。その時に、平等や自立といったキューバのアイデンティティはどれだけ残されているのだろうか。

このコラムについて
○○支局長の「辺境を視に行く」

「日経ビジネス」の海外支局で働く支局長が世界の「辺境」を訪れます。地理的な辺境あり、文化的な辺境あり、政治システムの極北もあれば、社会システムの楽天地もあり。

支局長たち自らの眼で見た世界を活写します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/283921/072900003


2. 2015年12月08日 12:03:49 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[57]

キューバ債務の大部分放棄、主要債権国と近く合意=外交筋

[ハバナ 7日 ロイター] - キューバと主要債権国で構成するパリクラブは、1986年のデフォルト(債務不履行)の結果キューバが抱えている160億ドルの債務をめぐり、債権者側が債務の大部分を放棄することで近く合意する見通しだ。外交筋が明らかにした。

パリクラブとキューバは2年間にわたり債務をめぐり非公式協議を続けてきた。外交筋によると、週内にパリで開かれる公式会合では合意が間近と見られている。

主要債権国の外交筋は、「キューバは110億ドルの利子や罰金などの支払いを帳消しにする見返りに、約50億ドルの債務元本は支払うことで合意した」とし、「交渉の焦点は、返済にどの程度の時間が必要になるか、また返済された資金のうちどの程度がキューバに再投資されるかに移っている」と述べた。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによると、2014年末時点のキューバの対外債務は260億ドルだったと推計されている。
http://jp.reuters.com/article/cuba-write-off-debt-idJPKBN0TQ25L20151207


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