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ギリシャが欧州中銀に国債償還 IMF、債務減免を主張 「緊縮一辺倒」の失敗教訓に EUとの対立なお続く
【アテネ=鳳山太成】国際通貨基金(IMF)は20日、ギリシャへの金融支援を再開すると発表したが、同国の債務圧縮の是非を巡っては欧州連合(EU)と依然対立している。IMFとしては緊縮一辺倒の金融支援で過去に失敗したという苦い教訓があり、大きな減免が必要と強調している。今回の第3次支援の枠組みが最終的に固まるまでは曲折がありそうだ。
ギリシャ政府は同日、欧州中央銀行(ECB)が保有する同国国債を償還した。EUから獲得したつなぎ融資をもとに、元本と利息を合わせて42億ユーロ(約5700億円)を支払った。IMFにも延滞していた20億ユーロを返済し、IMFは声明でギリシャが「延滞国」でなくなり、同国の金融安定と成長を支えると表明した。
融資額に関してはEUが3年で合計820億〜860億ユーロと見込み、このうち約500億ユーロを負担する見込み。IMFの融資額には既存の融資枠の未使用分などを充てるとみられる。
IMFは追加融資に関してはEUに協調する格好だが、債務減免の是非では対立している。
IMFが14日公表した報告書は30年間の返済猶予や元本削減など、EUの想定よりも大きな減免が必要と強調した。ギリシャの資金繰りを支えたところで、減免がなければ全額返済は難しく、いずれ財政危機が再発するとみているからだ。
IMFが大幅な債務減免を求める背景には過去の教訓がある。2013年に発表した報告書ではギリシャ支援に「重要な失敗があった」と自ら認めた。厳しい緊縮策を求めて財政改善を促したが、国内総生産(GDP)が「楽観的な予想」(IMF)に反して激しいマイナス成長が続いたため、GDPに占める債務比率はむしろ悪化した。
IMFは1997年のアジア通貨危機で韓国などを支援する代わりに、厳しい緊縮策の実施を求めた。
今回のギリシャ支援については、緊縮策一辺倒では債務危機の再発を防ぐのは難しいとして、債務減免の必要性を強く訴えているとみられる。
これまでもIMFとEUは債務減免を巡って意見の食い違いを見せてきた。10年に約1100億ユーロを融資したが危機は収まらず、11年に遅れて民間金融機関の債務元本削減などの追加策を迫られた。IMFの報告書は、民間銀行の負担で債務危機が広がることを懸念したユーロ圏の強い反対にあったと主張している。
IMFの教訓が今回の第3次支援で生きるかはまだ見通せない。IMFとEUの意見対立から、債務減免は再び融資実行から遅れて実施される可能性がある。
最大支援国のドイツのメルケル首相は19日、独メディアに対し「返済期限の延長や金利の削減を議論する余地がある」としながら、「ギリシャの改革の実効性を最初にチェックした後のことだ」とくぎを刺した。
ギリシャの政府債務約3100億ユーロのうち、IMFは1割で、EUは6割を占める。債務減免の影響は国や機関によって異なる。IMFの今後の出方は、ギリシャ支援の行方を大きく左右しそうだ。
[日経新聞7月22日朝刊P.6]
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