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響きと怒りが多くを語るギリシャ
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2015年7月17日 マスコミに載らない海外記事
Paul Craig Roberts
2015年7月15日
ヨーロッパの全ての人々と、無頓着なアメリカ人やカナダ人も、1パーセントの代理人に、シリザが屈伏したことを通告された。シリザ崩壊のメッセージは、欧米中の社会福祉制度が解体されるということだ。
ギリシャ首相アレクシス・ツィプラスは、ギリシャ人が第二次世界大戦後、二十世紀に獲得した進んだ社会福祉を、1パーセントがギリシャ国民から略奪するのに同意した。年金と高齢者医療は消滅しかけている。1パーセントには金が必要だ。
保護されたギリシャの島々、港、水道、空港、ありとあらゆる国有財産が1パーセントに売り渡されることになる。もちろん特価で、しかしその後の水道料金は特価ではない。
これは、ギリシャに押しつけられる緊縮政策の第三段だが、この緊縮政策には、ギリシャ自身の政府による共謀が必要だった。緊縮政策協定は、ギリシャ国民から文字通り、あらゆるものを略奪する行為の隠れ蓑として機能する。トロイカ・メンバーの一つIMFが、IMFエコノミスト達が、緊縮政策は失敗だったことが分かったと語っている事実にもかかわらず、緊縮政策を押しつけている。ギリシャ経済は、緊縮政策によって押し下げられたのだ。それゆえ、ギリシャ債務が増大し、重荷になった。緊縮政策が行われる度に、益々債務は返済不能になる。
しかし、1パーセントが略奪する場合、事実は興味深いものではない。緊縮政策、つまり略奪は、IMFエコノミストがそれを正当化できない事実にもかかわらず進められる。
ギリシャ民主主義は、無力であることを証明してしまった。ギリシャ国民がそれを否定した一週間前の投票にもかかわらず、略奪が進められつつある。我々がアレクシス・ツィプラスで目にしているのは、選挙で選ばれた首相が、ギリシャ国民でなく、1パーセントを代表しているということだ。
1パーセントの安堵のため息が世界中で聞こえている。ヨーロッパ最後の左翼政党、あるいは、左翼とされるものが、イギリスの労働党、フランス社会党や、その他諸々と同様、屈伏させられたのだ。
それを支えるイデオロギーが無くなって、アメリカの民主党同様に、ヨーロッパ左翼は死んだ。こうした政党の死によって、人々は、もはや発言権を持てなくなった。国民に発言権がない政府は、民主主義ではない。我々はギリシャで、これをまざまざと目にしている。ギリシャ国民が、国民投票で決定的な意思表示をした一週間後、ギリシャ政権は、国民を無視し、1パーセントに応えた。
アメリカの民主党は、製造業の労働組合における党の財政基盤を破壊した雇用の海外移転で、死滅した。ヨーロッパ左翼はソ連と共に死んだ。
ソ連は、資本主義に対して、社会主義という代替案があるという象徴だった。ソ連崩壊と“歴史の終わり”が、左翼から、経済綱領を奪い取り、左翼には、少なくとも、アメリカでは、妊娠中絶、同性結婚、男女平等や、人種差別等の“社会問題”しか残さず、労働者階級による左翼の伝統的な支持を弱体化させた。異性愛者と同性愛者、黒人と白人、男性と女性間の戦争で、階級戦争が消滅したのだ。
現在、欧米の人々は再奴隷化に直面しており、歴史が選んだ、世界覇権を認められた国民だというアメリカ・ネオコンの主張の結果、世界は、核戦争に直面しているが、アメリカ左翼は、南部連合の戦旗を憎むことで多忙だ。
ヨーロッパ最後の左翼政党、シリザの崩壊は、ポルトガル、スペインや、イタリアに、より断固とした政党が出現しない限り、バトンは、右翼政党に、ナイジェル・ファラージのイギリス独立党、フランスのマリーヌ・ルペンの国民戦線や、EU加盟による、国家の絶滅に反対して、民族主義を主張する他の右翼政党に引き渡されることになる。
シリザは、彼等を断固打倒すると決めたEUへの反撃として、ギリシャの銀行の国有化に失敗してから、勝ち目はなかった。ギリシャの1パーセントは銀行とマスコミを持っており、ギリシャ軍は国民の側に立つ素振りを見せていない。カール・マルクスとレーニンが説明した通り、平和的変革が不可能であることを我々は今目撃しているのだ。
革命と根本的な改革は、生き残った1パーセントによって妨害されたり、打倒されたりする。1848年革命の敗北に失望し、歴史の唯物論的概念から発想を得て、マルクスは、レーニン、毛やポル・ポトと同様、旧体制の連中を生き残させれば、反革命となり、人々は農奴にもどされると結論づけた。中南米では、全ての改革派政権が、スペイン系支配層と協力して活動するアメリカの経済権益による転覆に脆弱だ。我々は現在、ベネズエラやエクアドルでこのプロセスが進行するのを目にしている。
指示通りに、レーニンと毛は旧体制を抹殺した。階級ホロコーストは、ユダヤ人がナチスの人種的ホロコーストで経験したものの何層倍も大きい。だが記念碑は皆無だ。
今日まで、欧米の人々は、ポル・ポトが一体なぜ、カンボジアの都市部を無人にしたのかを理解できていない。欧米は、ポル・ポトは、精神病質者で大量殺人犯、精神病理学の症例だとして、片づけているが、ポル・ポトは単に、もし彼が旧体制代表連中の存続を認めれば、彼の革命が打倒されると見なして行動しただけなのだ。ジョージ・W・ブッシュ政権が奉じた法的概念で言えば、ポル・ポトは、事前に攻撃することで、反革命をしがちな階級を撲滅して、反革命を未然に防いだのだ。レーニンと、毛と、ポル・ポトに伴った階級虐殺は、革命の巻き添え被害だ。
イギリス人保守主義者エドマンド・バークは、進歩への道は革命ではなく、改革だと言った。イギリス支配層は、意図的にぐずぐずしながらも、革命の代わりに改革を受け入れ、バークの正当性を示した。だが現在、左翼は徹底的に敗北しており、1パーセントが改革に同意する必要は皆無だ。唯一の選択肢は、連中の権力に従うことだ。
ギリシャは始まりにすぎない。経済の崩壊、社会福祉制度の消滅、とてつもなく高い失業率の為、自国から押し出されるギリシャ人は、彼らの貧困を、他のEU諸国に持ち込むだろう。EU加盟諸国は、国境によって縛られてはおらず、自由に移民可能だ。ギリシャにおける支援制度の廃止は、ギリシャ人を他のEU諸国の支援制度へと追いやることになるが、そうした支援制度も、やがて、1パーセントによる民営化で、廃止されることになる。
21世紀の囲い込みが始まったのだ。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/07/15/greece-sound-fury-signifying-much-paul-craig-roberts/
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