http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/191.html
Tweet |
BRICS銀、年内にも 欧米に対抗、アジア投資銀と「共存」 ロシアと中国に温度差
【モスクワ=小高航】中国、ロシアなど新興5カ国(BRICS)が創設する新開発銀行(通称BRICS銀行)が7日、モスクワで第1回総会を開いた。中国・上海に本部を置き、年内にも業務を始める見通しだ。途上国のインフラ金融を囲い込み、欧米が牛耳る国際金融秩序へ対抗する狙いがあるが、この役回りは中国が主導して別に創設するアジアインフラ投資銀行(AIIB)と重なる。BRICS銀を周辺国外交の「道具」として使いたいロシアと、中国の温度差も透ける。
BRICS銀はモスクワ市内で現地時間7日夕(日本時間同日深夜)に総会を開いた。初代総裁にはインドの民間銀行元会長K・V・カマート氏が就任。当初の資本金は500億ドル(約6兆1千億円)で5カ国が均等出資する。将来は1千億ドル規模へ拡大する方針だ。
ロシアのウリュカエフ経済発展相は7日、地元メディアに「BRICS銀は世界を引っ張る金融機関になる」と述べた。
途上国のインフラ融資は従来、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)が担ってきたが、途上国側には「条件が厳しい」という不満があった。BRICS銀はより迅速に資金をつける見返りに、政治的な支持を期待する計算が透ける。今後は増資の機会をとらえ、出資国の枠も広げる方針だ。
ロシアは5月、欧州連合(EU)からの金融支援問題で揺れるギリシャのチプラス政権に対し参加を打診した。EUなど債権団との交渉がこじれ、経済破綻の瀬戸際に追い込まれたギリシャが応じられる可能性はない。ただBRICSは8〜9日、ロシア南部のウファで首脳会議を開く。米欧への対抗で結束する中ロが、安全保障の要衝のギリシャの取り込みへ、新たな金融支援などで協調する可能性はある。
BRICSの2014年の名目国内総生産(GDP)は全世界の2割強を占めるが、国際通貨基金(IMF)やADBなど先進国が築いた戦後の国際金融秩序の中で発言権は限られる。新興国はこうした現状に強い不満を抱いており、BRICS銀の始動で「新興国による新興国支援」を前面に押し出したい考えだ。
ただBRICS銀を主導する中国とロシアの間には、新銀行への期待感に温度差もにじむ。
BRICS銀は13年3月に南アフリカで開かれたBRICS首脳会議で設立に基本合意した。ところが中国は約半年後の同年10月、AIIBの創設構想をぶち上げた。5カ国が均等出資するBRICS銀とは別に、自らの意向をより反映できる国際金融機関を必要としたためだ。
結果的にAIIBは参加国が英仏独などを含む57カ国に広がり、国際社会で大きな存在感を獲得した。ロシアなどBRICSの残り4カ国も参加したが、中国は約30%と突出する大株主として君臨する。本部こそ上海に誘致したものの、初代総裁をインドに譲ったのは余裕の表れとみていい。
一方、ウクライナ問題で欧米から経済制裁を受け、資金力に乏しいロシアは、新興国への影響力行使にBRICS銀を使いたい考え。ロシア中銀のナビウリナ総裁は「BRICS銀はAIIBと補完しあえる」と話す。
BRICS銀は5カ国の周辺の途上国への融資を想定しているもよう。南米やアフリカは問題ないが、20年までの10年間で8兆ドルのインフラ需要が見込まれる主戦場のアジアではAIIBと競合する場面も想定される。
◇
中国人民銀行(中央銀行)は7日、南アフリカに人民元の決済銀行を置き、金融協調を進めることで南アの中央銀行と合意したと発表した。
BRICS銀行とは
▼BRICS銀行 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国が共同出資する国際開発金融機関の通称で、正式名は「新開発銀行」。2014年7月にブラジルで開かれたBRICS首脳会議で正式に設立が決まった。
初代総裁はインドのK・V・カマート氏が務める。任期は5年でブラジル、ロシア、南ア、中国の順で回す。世界銀行の「新興国版」ともいえ、欧米主導の国際金融秩序に対抗する狙いもある。
[日経新聞7月8日朝刊P.6]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。