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若者・低所得者層の反対目立つ ギリシャ国民投票[日経新聞]
2015/7/6 21:14
【アテネ=白石透冴】欧州連合(EU)の財政再建策の是非を巡る5日のギリシャ国民投票では、若者や低所得者層の多くが反対票を投じ、賛否が拮抗するとの事前予想に反して大差での「反緊縮」につながった。緊縮策が深刻な失業や賃金低下につながったとの不満が背景にある。チプラス首相がEUと対決姿勢を強めつつも「ユーロ圏離脱は望んでいない」と強調していたことも、反対票の増加につながったようだ。
政府発表によると、国内56の選挙区全てで、EUが求める緊縮策への反対が賛成を上回り、全体では反対61.31%、賛成が38.69%となった。有権者は18歳以上の約985万人で、投票率は62.5%だった。
地元調査会社GPOによる5日発表の年齢別投票状況推定によると「反対」は18〜29歳の若年層が69%で最も高かった。
ギリシャは政府による債務隠しが明らかになった2009年以降、公共投資の凍結、不動産や付加価値税(VAT)増税などの緊縮策で財政を立て直そうとした。EU、国際通貨基金(IMF)などの金融支援と引き換えに、緊縮策は一層強化されたが、そのしわ寄せを最も受けたといわれるのが若年層だ。
失業率が25%に高まるなか、特に職歴の浅い若者の雇用は激減。15〜24歳の失業率は55%に上る。高学歴でも職探しは容易でなく、アテネ市内の女性弁護士メリ・マリヤリさん(58)は「娘2人は大学院を出て4カ国語を話せるが、仕事がない」と嘆いた。
低賃金に不満を持つ労働者層も反対に回った。政府発表によると、労働者が多く住むアテネ市近郊のアスプロピルゴスでは反対が79%。富裕層が多い同市北方エカリでは賛成が84%と対照的な結果だ。
反対多数でEUやユーロ圏から離脱する危険が高まったが、「そんなことを気にする余裕はない。これ以上は耐えられない」(失業中の35歳女性、バショ・ハジさん)という声が多く聞かれる。国の将来よりも、生活が困窮する現状をとにかく変えたいとの願いが先に立った。
対照的に、富裕層や年金受給者の多くは賛成に回った。GPOによると、高齢者では賛成が多く、60歳以上の反対は37%にとどまった。富裕層はユーロ圏離脱が資産の目減りに直結すると恐れる。高齢者は保守層が多く、現政権への不満が根強かったとみられる。
知識人や富裕層が支える野党陣営のリーダーはまとまりに欠け、迫力不足が否めなかった。逆にチプラス氏はテレビ演説のたびに存在感を高め、野党支持層を切り崩した。
チプラス氏は「脅しには屈しない」「ギリシャはノーと言う国だ」などEUとの対決姿勢で国民の誇りに働きかけた。一方で「ユーロ圏離脱はしない」と不安の打ち消しにも努めた。
その結果、EUに反感を持つ層だけでなく、親EUの層からも一定の支持を得られた。「EUとユーロ圏からの離脱は望まないが、厳しい緊縮策を押しつけるEUに一矢を報いたい」と考える有権者をひき付けた。
民間調査によると、親EUの最大野党、新民主主義党の支持者の1割、全ギリシャ社会主義運動支持者の2割が反対票を投じた。
また、島しょ部を含む地方でも反対票が目立った。公共投資の削減による景気悪化への不満が高まっていた。観光を主要な産業とする地域も多く、EU案をのめば付加価値税の軽減税率が廃止され、観光客減につながるとの警戒感が強かったようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H5K_W5A700C1FF8000/
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