★阿修羅♪ > 国際11 > 132.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
AIIB巡る各国の思惑は:意図はともかく、中国に決定的な議決権比率をもたらしたのは日本の不参加
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/132.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 6 月 30 日 04:12:32: Mo7ApAlflbQ6s
 


AIIB巡る各国の思惑は[NHK]
6月29日 17時59分

中国が設立を提唱するAIIB=アジアインフラ投資銀行の創設メンバーとなる予定の国は合わせて57に上ります。一方で日本やアメリカは参加していません。AIIBを巡り、各国にはどのような思惑があり、どういった期待や不満を抱いているのでしょうか。

創設メンバーとなる予定の国の中には、東南アジアや中東のほか、G7=先進7か国のうちイギリス、ドイツ、フランス、それにイタリア、新興国のロシア、ブラジル、インド、それに南アフリカ、さらにアジア太平洋地域で、アメリカの同盟国の韓国とオーストラリアなどが含まれています。

去年10月に銀行設立の覚書を取り交わした時点では、中国の呼びかけに応じて参加の意向を示した国は、東南アジアを中心に20か国余りにとどまっていました。しかし、ことしに入り中国政府が「銀行の創設メンバーとして参加できるのはことし3月末までに申請した国だ」と表明したことから、期限が近づくにつれて銀行への参加の意向を示す国が増えていきました。こうしたなか、3月12日にイギリスが参加を申請したのをきっかけに、3月だけでおよそ30か国が参加の申請を行い、規模が一気に膨らみました。

アジアのインフラ建設を支援する同じ国際金融機関のADB=アジア開発銀行には、現在67の国と地域が加盟していますが、アジアインフラ投資銀行は、加盟国の数ではアジア開発銀行とほぼ肩を並べる規模を持つことになります。ただ、台湾は申請をしたものの創設メンバーとしては認められず、中国政府はその理由を明らかにしていません。また、日本とアメリカは、銀行の運営に不透明な点が残るなどとして参加していません。


中国のねらいは

中国は、アジアインフラ投資銀行を「新型の国際金融機関」と位置づけ、今ある国際的な金融機関との違いを強調してきました。その背景には、世界第2の経済大国となった中国が、IMF=国際通貨基金や世界銀行、それにアジア開発銀行といったアメリカが主導する国際的な金融機関で、経済の規模に見合った発言権を得られていないという不満があります。

たとえば、中国の出資比率を高めるIMFの改革案は、アメリカの反対でいっこうに実現していません。このため習近平指導部は今の国際的な金融秩序が、中国など途上国の声を十分反映していないとして、みずから新たな枠組みを作り、外から圧力をかけていく方針を打ち出しました。そしてアジアインフラ投資銀行には、圧倒的に足りないとされるアジアのインフラ建設の資金を提供して、途上国の成長を後押しする大義名分があると訴えてきました。これには中国との経済的な結びつきを強めたい各国から幅広い賛同を得ることができ、結果として、アメリカ主導の国際的な金融秩序に風穴を開ける形となっています。

一方、中国の国内からは景気が減速するなかで、海外に新たなインフラ需要が生まれれば、国内でだぶついている鉄鋼や石炭などを輸出したり、中国の企業が海外で事業を手がけたりできるとして、銀行の設立によって景気の下支えを期待する見方も広がっています。


中国の発言権の大きさ際立つ

アジアインフラ投資銀行は先進各国が影響力を行使しにくくなっていて、中国の発言権の大きさが際立つ形となっています。

銀行の出資比率は基本的には経済規模の大きさによります。ただ、ヨーロッパなど先進国が多く含まれるアジア太平洋の域外の国々は出資金の合計が250億ドルで、域内の合計750億ドルの3分の1しか出資できないため、相対的に域内の国々より出資比率が抑えられています。さらに議決権で見た場合、出資比率に加え、議決権全体の12%を参加する各国に均等に配るほか、創設メンバーに上乗せされる分が全体のおよそ3%あり、規模の小さい途上国にも配慮した形になっています。

こうした要素を踏まえ、最大の出資国である中国は設立時点で26.06%の議決権を持つことになります。その一方で、G7=先進7か国のドイツ、フランス、イギリス、それにイタリアの4か国を合わせても12%台と中国の半分に届かず、これにアメリカの同盟国の韓国とオーストラリアを加えても、およそ20%にとどまるとみられます。このため、議決権ベースでは重要案件に先進各国の意見を反映させるのは容易ではないことがうかがえます。

また、銀行の初代総裁には中国人が就任すると見られ、中国の元財政次官でアジアインフラ投資銀行の設立事務局の金立群事務局長が就任する公算が高まっています。

さらに銀行の日常業務の運営を決めるメンバーはコスト削減の観点から本部の北京に常駐しません。このため投融資の案件を決める際に各国の多様な見方が反映されにくく、日常の業務をとりしきる総裁に権限が集まりやすいという見方も出ています。

このように新しく設立される国際金融機関は中国の影響力が大きくなるだけに、運営の透明性を確保できるかが焦点となります。


ヨーロッパ各国の思惑は

AIIB=アジアインフラ投資銀行にG7=先進7か国で最初に参加を表明したのは、イギリスでした。世界的な金融センター「シティ−」を抱えるイギリスは、貿易などで存在感を増している中国の通貨、人民元の海外取り引きの拠点になることを目指し、中国と金融面での関係強化を進めてきました。

ただ、ヨーロッパでは、ドイツのフランクフルトや、ルクセンブルクなども人民元の海外取り引きの拠点として名乗りを上げていて、金融関係者の間では、この競争に敗れれば、シティーが金融センターとしての地位を失いかねないという危機感が広がっていました。このため、AIIBへの参加をいち早く表明することで、ライバルに差をつけるねらいがあったものとみられます。

イギリスのこうした動きを受け、同じG7のドイツとフランス、それにイタリアが相次いで参加を表明しました。大手自動車メーカーなどの製造業が主力産業となっているドイツとフランス、それに高級衣料品や食品の輸出などが経済の柱となっているイタリアにとって、中国は重要な貿易相手で、出遅れるわけにはいかないという事情があったものとみられます。

また、各国の成長にとって重要な国内での投資にいわゆるチャイナマネーを呼び込むことや、ヨーロッパの企業が有望な投資先であるアジアのインフラ市場を開拓するねらいもあったものとみられます。


米は高い透明性求める

AIIB=アジアインフラ投資銀行への参加を見送ったアメリカは、外部から透明性の高い運営を求めていく立場で、既存の世界銀行やアジア開発銀行などと連携するよう呼びかけています。

IMF=国際通貨基金や世界銀行などの国際機関の運営に深く関わり、世界の金融秩序作りを主導してきたアメリカは、アジアインフラ投資銀行には参加しない立場で一貫しています。特に資金面や人事面で中国が主導権を握る銀行が、国際機関として中立的で透明性の高い運営ができるのかや、自国に有利な融資や投資を行うことにならないか慎重にみていく必要があるという考えを示してきました。

そのうえでアメリカとしては、世界銀行やアジア開発銀行などと同じ厳しい融資基準を取り入れ、共同でインフラ投資などを行うよう提案しています。世界銀行などとの共同融資などを求めていくことで、外部からもアジアインフラ投資銀行の運営をチェックし、影響力を及ぼすことが可能になるというのがアメリカの姿勢です。
一方で、アメリカとともに国際金融の秩序づくりに関与してきたG7=先進7か国のイギリス、ドイツ、フランス、イタリアの4か国が参加を表明しG7の結束が崩れたことはアメリカの影響力の低下を象徴しているという指摘もでています。


途上国からは期待や不満の声

経済成長に伴ってインフラ需要が高まる東南アジアでは、AIIBの創設に期待が高まっています。

このうち、中国南西部と国境を接するラオスでは、道路や橋などの建設が中国の援助によって行われています。建設の大半は中国人労働者によって行われ、ラオス人の雇用に結びついていないという批判もありますが、インフラ整備に中国からの援助は欠かせない状況です。
ラオスのシースーパントン副計画投資相は「ラオスにはADB=アジア開発銀行のプロジェクトがいくつかあるが、スピードが少し遅い。AIIBによってラオスがどのような恩恵を得られるのか検討したい」と述べ、AIIBには、ADBなどに比べスピード感のある資金援助を期待する考えを示しました。

これに対し、ADBラオス駐在員事務所のサンドラ・ニコル代表は「インフラは重要だが、それを維持するための財政システムを持つことが大事だ。そうでなければ政府にとって新たな施設の維持が重荷になってしまう」と述べ、道路などを作りっぱなしにせず、建設後も維持できるような仕組み作りが大事だと強調していました。

一方、これまで中国が行ってきたいわゆる箱物援助には不満の声も出ています。

このうち、内戦や軍事介入などをへて混乱が続き、現在も国家予算の7割を外国からの援助に頼っているアフガニスタンでは2009年、日本円で50億円近くに上る中国による無償援助で首都カブールに総合病院が完成しました。しかし、この病院は完成から4年余りの間開業できず、現在もその3分の1が閉鎖されています。
その原因についてこの病院の幹部はNHKの取材に対し、「中国は病院の建物しか建ててくれませんでした。運用する中身のことを考えなかったのです」と述べ、中国側が、病院建設後の運営を予算の乏しいアフガニスタン側に任せきりにしたと不満を示しました。

さらに、中国側から寄贈された医療機器の多くも現地の医師たちには使い方が分からないため、使われずに病院の倉庫に放置されたままとなっています。アフガニスタン政府は中国に対し、病院の閉鎖部分を稼働させるためさらなる支援を求めていますが、具体的なめどはまだ立っていません。患者の1人は「中国の支援には感謝していますが、病院が完全に稼働して、患者を十分治療できるように、中国にはもう少し支援をしてほしい」と話していました。


ADB研究所長 運営方法に疑問も

ADB=アジア開発銀行の研究機関、アジア開発銀行研究所の所長を務める慶應義塾大学の吉野直行名誉教授は、アジアインフラ投資銀行の枠組みについて、途上国が本当に必要な方法でインフラ建設を提供するとともに安定的に運営できるか注意深く見ていく必要があるという認識を示しました。

吉野氏は銀行の協定の締結に先立ち、枠組み作りが大詰めを迎えていた先月、NHKの取材に応じました。この中で、吉野氏は「インフラ投資は非常にリスクが大きい。道路を作っても高速道路の料金だけではなかなか回収できない。あまり拙速にインフラ建設をやりすぎると、融資の資金は結局返さねばならないので、国民が負担することになる」と述べ、国際的な開発金融機関として支援するインフラ事業の内容を慎重に検討するべきだという考えを示しました。そのうえで吉野氏は、アジアインフラ投資銀行の場合、日常業務の運営を決めるメンバーが銀行の本部に常駐しないことについて、「例えば国境を越えるインフラ事業は政治的な安定性を見極め、用地の買収なども国際機関と政府が一緒にならないとできない。事業が本当に必要で、政治的に曲げられていないか精査するため、国際機関の中立性やチェック機能は絶対に必要で、メンバーの常駐は重要だ」と述べ、新しい銀行の運営方法に疑問を呈しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150629/k10010131741000.html

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2015年6月30日 17:12:19 : nJF6kGWndY

文句があるなら、欧州各国も、もっと出せばいいだけの話

ま、中国のお手並み、拝見というところだなw


2. 2015年6月30日 21:49:34 : aQq0UGoaxY
「悪徳金融屋IMF」や「天下りADB」以外に「中華AIIB」ができたので借りる方は条件の良いほうを使えるようになった。
アジア金融危機のときにIMFにカモにされて今でも苦しんでいる国がある。
何処とは言わないけれどね。

3. 2015年7月05日 12:05:04 : Cur0RCSFcE
 日本を無視したくてたまらない共産チャイナだが、問題が起こると即座に日本のせいにするのも常套手段だな。
勝手にやれ!
日本の国名を出すな。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際11掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
国際11掲示板  
次へ