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ギリシャ危機は回避できるのか?
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 6 月 27 日 00:08:00: Mo7ApAlflbQ6s
 


2015年06月26日 (金) 午前0:00〜[NHK総合]
時論公論 「ギリシャ危機は回避できるのか?」
百瀬 好道 解説委員

ギリシャ危機が再び世界に不安を広げています。財政再建をめぐる交渉でギリシャとEUが合意しないと、ギリシャが今月末に迫った借金の返済ができずデフォルト、つまり債務不履行に陥る恐れがあるからです。先ほどからEU首脳会議が始まり、決着は首脳の政治判断に委ねられた形です。土壇場で危機が回避できるのか、あるいは交渉の決裂という最悪の事態となるのか、今夜の時論公論はギリシャ危機を取り上げます。

それにしても、とっくに鎮静化したと思われていたギリシャ危機が、なぜ再燃したのでしょう。財政危機で資金繰りに困ったギリシャは5年前、緊縮財政や構造改革を進めることを条件にEUやIMFから金融支援を受け、辛うじて国を動かしてきました。支援額は2400億ユーロ、日本円で30兆円を超えます。

ところが今年初めに、緊縮財政に反対する政権がギリシャに誕生して事態は一変します。ギリシャ政府の方針転換にEU側は反発し、残っていた1兆円の支払いを凍結したのです。2月から妥協点を探る交渉が始まりましたが平行線が続いています。

なぜ今月末が危機の分岐点かといいますと、この日は、ギリシャがIMFから借りている2200億円の返済期限で、お金が返せないとデフォルトと認定されてしまいます。また、ギリシャ支援の枠組み自体も今月末で期限切れになります。いわば、ギリシャの命綱が切れるわけで、資金繰りの道が閉ざされてしまえば、ユーロ圏からの離脱が現実味を増すわけです。

こうしたリスクにもかかわらず、交渉はなぜここまで難航するのでしょうか。ある政治アナリストは、お互いが思い込みに基づいた、たいへん危うい「政治的なチキンゲーム」に走ったからだと分析しています。どいいうことかといいますと、ギリシャは「EUには、ヨーロッパ統合の象徴ともいえるユーロ体制を崩壊させたり、傷つけたりする度胸はない。最後はギリシャを救うはずだ」と信じ込み、EUは「まともな政治家なら、国民のくらしの破壊を招くユーロ離脱という自殺行為は思いとどまるはずだ」という思い込みがある。部外者には迷惑な話ですが、交渉が駆け引きである以上、本音は最後まで明かせないという訳です。

しかし、ギリシャの場合、デフォルトとなれば企業倒産や銀行破綻が相次ぎ、仮に新しい通貨を導入しても、通貨価値は暴落して猛烈なインフレとなります。人々の暮らしは今以上の酷くなるでしょう。EUにしても、ギリシャのデフォルトが世界的な経済危機に発展するリスクを否定できませんし、ギリシャのユーロ離脱は、後戻りのないEU統合という原理原則を自ら否定するもので政治的信用を失いかねません。

先ほどからベルギーで、2日間の日程でEU首脳会議が始まりました。前日から断続的に開かれている財務大臣による交渉を踏まえて、ギリギリの協議が行われるものと見られます。月末まで残された時間はあと5日です。どうしたら危機を回避できるのか、交渉のポイントを見ていきたいと思います。

▼まず、ギリシャがIMFに返済する資金をどうやって確保するかです。IMFのラガルド専務理事は、返済が遅れれば7月1日になった時点でデフォルトだと明言しています。
▼2つ目は、ギリシャの財政健全化と構造改革のプランで妥協点が見いだせるかどうかです。▼3つ目は、膨れ上がったギリシャの公的な債務を軽減する問題に、道筋をつけられるかどうか、以上の3点です。


まずIMFへの資金返済の問題です。最善のシナリオは合意が成立して、EUが凍結していた1兆円がギリシャに支払われ、IMFへの返済が間に合う場合です。しかし、のちほど詳しく触れますが、合意内容はギリシャやドイツの議会の承認が必要です。この手続きにかかる時間を考えますと、遅くとも今週中に合意する必要があります。

2つ目のギリシャの財政再建計画は、厳しい対立が続いています。ギリシャは富裕層への増税や早期退職制度の見直しによる年金改革を柱にした妥協案を示しました。EU側は初めこの案を評価し、歩み寄りが期待されました。ところがIMFやドイツは、この計画が増税に頼り過ぎていて実現性が薄く、構造改革を通じた歳出のカットに重点を置くよう変更を求めています。ギリシャ政府は、国民にこれ以上負担を強いることは不可能だと要求を突っぱね、交渉は振り出しに戻っています。

3つ目のギリシャの債務軽減問題も、たいへん難しい問題です。GDPの1.8倍に上る債務は、不況が続き有力産業の乏しいギリシャに担いきれるものではありません。そこでギリシャは今回の合意内容に、事実上の借金の一部棒引きを含めるように求め一歩も引かない構えです。しかし、EUの多くの国は、安易な債務の削減は、事実上の追加支援にあたり、国民の理解が得られないという理由で反対しています。


財政再建案と債務を軽減する問題は、ギリシャ国民の暮らしやEU諸国の新たな負担に関わる問題なだけに、首脳同士の間でも決断には時間がかかり、週末までずれ込む可能性も指摘されています。

仮に合意が成立したとしても、関係する国の国民がそれを受け入れるかどうかが問題です。先ほど触れましたように、ギリシャ議会のほかドイツ連邦議会をはじめ、ユーロ圏のいくつかの国では議会承認が必要です。承認されなければ、合意は絵に描いた餅に終わります。

一番気掛かりなのはギリシャ議会です。チプラス首相が率いる連立政権は、左派と右派の寄り合い所帯です。議会の過半数を11議席上回っていますが、反EU色の強い議員も一部にいます。しかも閣内から「選挙公約に違反した合意には同意できない」という声も上がっていて、採決で造反者が相次ぐ可能性があります。世論調査をみますと、大多数がユーロ圏に留まる事を望んでいますが、これ以上の緊縮政策はコリゴリだとするデモや集会も連日開かれています。合意が議会で否決されれば、ユーロ残留か離脱かを問う総選挙や国民投票も政治日程に上ってくるかもしれません。そうなれば支援計画は棚上げされ、政治的にも経済的にも一挙に不確実性が高まるでしょう。

最後に、交渉が決裂した場合、日本も含めた世界経済にどれだけの影響があるかを考えます。これについては専門家でも楽観派と悲観派に分かれていて、誰も確信を持って答えられないというのが正直なところだと思います。楽観的な見方は、危機がピークだった3年前に比べ、国債の買い取り制度や銀行の救済基金といった安全網が整備されていること。

イタリアやスペインといった周辺国の金利も低い水準で、ギリシャ危機が波及する確率は低いので影響は限定的だというものです。一方、悲観派は、EU加盟国のデフォルトというのは前代未聞であること。アメリカの金利の引き上げや中国経済の陰りといった状況を考えると、ショックが最小限にくい止められるか、リーマンショック級の危機になるのか予見するのは難しいと話しています。アメリカのルー財務長官が、ギリシャとEUの双方に何度も譲歩を求めたのことは、金融政策で難しい判断に直面しているアメリカが、いかにギリシャ危機の行方に懸念を持っているかを雄弁に語っていると思います。

ギリシャ危機が回避できるかどうかは、EUやギリシャの首脳の政治判断にかかっています。たとえ今週中に合意ができたとして、今月末のギリギリまで綱渡りの状況が続くことを覚悟しなければならないと思います。

(百瀬好道 解説委員)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/221693.html

 

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