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焦点:トルコ総選挙、エルドアン大統領の「野望」を有権者が拒絶
2015年 06月 9日 16:06 JST
[アンカラ 8日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は自身の権限強化に向けた布石を着々と打ってきたが、土壇場で最終的な勝利が掌中からこぼれ落ちたようだ。
7日に投開票された総選挙で野党勢力を結集させ、与党の公正発展党(AKP)を過半数割れに追い込んだ「風」があるとすれば、それはエルドアン氏が模索していた大統領の権限を大きくする「新たなトルコ」に対する有権者の圧倒的な拒否反応だった。
AKPの議席数は依然として他党と比べればずっと多いがこの13年で初めて過半数を失い、憲法改正に必要な3分の2の議席には程遠くなった。これまで妥協などという政治手法に不慣れだったエルドアン氏に待っているのは、連立政権という現実だ。
AKP内のさまざまな政治勢力を1つにまとめてきたエルドアン氏の野心と疑いようのない権威は今、空中分解の恐れにさらされている。
イラクやイラン、シリアと国境を接するトルコに政治的な混乱が起きかねない事態には、北大西洋条約機構(NATO)加盟の西側諸国も困惑している。
イスタンブールのガラタサライ大学のアフメット・インセル教授は「今回の選挙結果を一言にまとめると、有権者はエルドアン氏に対して『もう沢山だ』と告げたということだ」と述べた。
エルドアン氏は昨年8月、ほぼ象徴的な役割を担っていた大統領を実質的な政治権力を備えた存在へ変えようとしてそれまで10年余り務めていた首相の座を退き、自ら大統領に就任。その後大統領官邸で閣議を開催するなど憲法で許されている最大限の範囲で国内政治を主導し、今回の総選挙でさらなる権限強化を目指す計画に有権者のお墨付きを得ようという目論見を抱いていた。
実際の選挙戦ではエルドアン氏は、AKP党首で首相のダウトオール氏が霞んでしまうほど精力的に活動し、政治的に中立の立場にとどまるべきだという大統領の義務を軽視していると批判を浴びた。あるAKP幹部は「エルドアン氏が日々のイベントにまで介入したことで党内と有権者に不快感をもたらした。彼が生まれながらの指導者であることはだれも否定しないが、党務は党に任せるべきだった」と漏らした。
<党内で増大する批判>
エルドアン氏が2001年に創設したAKPは過去3回の総選挙で議席を伸ばし、その間に国民所得は急増して地域大国としてのトルコの地位も確立された。
ただ同氏の反対勢力に対する容赦ない態度が次第にエスカレートしてきたため、有権者の半数が背を向けて同国の政治二極化をもたらす一方で、AKP主導の権力集中化への懸念が生まれた。
こうした中でAKPの別の幹部は「エルドアン氏が今回の結果をAKPの敗北とみなし、党批判を展開するだろう。同氏はダウトオール首相の更迭を常に考えている」と述べた。
その上で「エルドアン氏は決して敗北を受け入れない。しかし党内で彼が満足いくような行動を取るのは以前ほど容易ではないとみられる。ダウトオール氏を尊敬するグループは選挙で勝っており、党内でエルドアン氏への批判はかつてないほど増大している」と指摘した。
<求められる順応性>
エルドアン氏は、いくつかの厳しい逆風にさらされている。
例えば同氏と同じようなカリスマ性を備えたセラハッティン・デミルタシュ氏が率いるクルド系の国民民主主義党(HDP)は、クルド人以外の有権者にも支持層を広げ、AKPの議席を奪う形で躍進した。
さらに長年、AKPが選挙で勝つ原動力になってきた経済も成長が減速して足場がもろくなり、隣国のシリアやイラクなどからのイスラム過激主義勢力の脅威も高まりつつある。
イスタンブールのシンクタンク、PODEMの共同創設者で以前にダウトオール氏の顧問を務めたEtyen Mahcupyan氏は、AKPは、敬虔で保守的なイスラム教徒でありながらもより民主主義のマインドを持ってリベラルな諸価値に寛容な新世代に目を向ける必要があると強調する。
Mahcupyan氏は「結局のところ、エルドアン氏は家父長的な人物で、民主主義者ではない。ではトルコの政治家でだれが民主主義者なのかといえば、だれも見当たらない」と話す。
さらに「エルドアン氏は非常に影響力を持っているが、ある程度は自己を状況に順応させ、学習しなければならない」と提言している。
(Nick Tattersall、Orhan Coskun記者)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OP0JI20150609
トルコの政局不安、チャンス到来かも
By RICHARD BARLEY
原文(英語)
2015 年 6 月 9 日 14:15 JST
7日のトルコ総選挙で投票するエルドアン大統領(イスタンブール) Agence France-Presse/Getty Images
市場が不透明感を嫌うのは周知の通りだが、トルコの総選挙は不透明感あふれる結果となった。しかし、政局不安がチャンスをもたらす可能性もある。
7日投開票の議会選挙で、与党の公正発展党(AKP)が2002年に政権を獲得して以来初めて過半数を割ったことを受け、8日の金融市場では、トルコの代表的株価指数であるイスタンブール100種指数が寄り付きで8%下落し、債券利回りは上昇、通貨リラはドルに対し過去最安値をつけた。新政府発足は難航が予想される。しかし、AKPが圧勝していたとしても、エルドアン大統領への権力集中がいっそう進むことになれば、さまざまな危険をはらんでいたはずだ。
AKPとエルドアン氏のトルコ経済に対する功績は大きい。AKPが政権の座に就くまでの10年間、トルコは何度も危機に見舞われた。インフレ率は2桁に上り、経済成長率はプラスとマイナスの間を大きく行ったり来たりした。トルコの信用格付けは純然たる「ジャンク(投資不適格)」級だった。だが国際通貨基金(IMF)の資料によると、2002年以降10年間の平均経済成長率は5.5%に達した。インフレ率は1桁に下がり、海外投資家はトルコ資産に殺到した。
しかし、トルコは海外投資家に頼り過ぎたあまりここ数年は経済が不安定化している上に、エルドアン氏が心配の種となっている。エルドアン氏は中央銀行に難癖をつけ、エスカレートする同氏の権威主義的な姿勢に反対の声が巻き上がっている。経済成長が減速する一方、ここ数年のインフレ率は目標を上回る水準に高止まりし、トルコリラの相場変動は拡大している。
世界の中央銀行が市場に大量の流動性を供給する中、トルコはこれまでたびたびそうした資金に助けられてきた。トルコが苦労してやっと手に入れた投資適格の格付けが一見危うくなり始めても、資金流入は続いている。世界の債券市場がいっそう神経質な動きを見せているいま、トルコを大統領制に移行させるというエルドアン大統領の野望が選挙で打ち砕かれたことは決して悪い話ではないかもしれない。
政局不安は明らかにトルコの資産に打撃を与えるとみられ、大きな相場変動が続く公算は大きい。だが中銀は、手に負えない悪循環に陥らないよう策を講じる上で、今なら自由に介入できると考えているかもしれない。例えば、外貨準備が比較的少ないことを踏まえると、リラ安に歯止めをかけるために利上げを実施する可能性もある。リラは過去1年でドルに対し25%下落しており、8日には過去最安値を更新した。中銀はこの1年間、厳しい決断もいとわないことを証明してきた。2014年1月には臨時政策会合を開き、政策金利を4%以上引き上げた。
しかし、連立政権に戻ったとしても、AKPが政権を獲得する前のような状態に逆戻りしないことを願わずにはいられない。足元の経済は強さを増している。ただ、海外情勢は当時よりもはるかに厳しい。AKP政権初期は新興国全般への投資が最も活況だった時代と重なる。
中期的には、今回の総選挙の結果、経済改革を目指す政策が再び打ち出され、中銀の独立性が向上し、さらに国内の意見対立が和らげば、いまの不透明感も価値ある代償のように思えるだろう。
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