ママを食い散らし
煮て食べ、焼いて食べ
目玉をくりぬいて食べ
歯をすべて抜いてしまえ
髪をつかんで引っこ抜き
肉の塊にしてスライスする
涙を流せばそれをなめとる
心臓は一番最後に食べる
最も苦痛を与えながら
上記の詩は、『ソロ子犬(A Single Dog)』という詩集の中の「塾に行きたくない日」というタイトルのものである。この詩を読んだとき、得体の知れない何かに自分が食べられてしまいそうな気持ち悪さにかられた。
詩集は全量回収、廃棄処分に
この詩集は現在、韓国で物議を醸している。
特に、著者がまだ小学生の児童(女子)というこということで、親や出版社はどうしてこのような詩集を出そうとしたのか、そのモラルまで問われている。また、詩もさることながら、挿絵も餓鬼が死体を食らっているようでおぞましい。
「残酷だ」、「親不孝だ」と、ネットには作者や作者の親を非難する書き込みが殺到した。
世論によって窮地に立たされた出版社は、全量回収、廃棄処分することを決めたが、作者の母親はそれに反対し、裁判所に仮処分申請までした。が、結局その母親も押し寄せる世論に根負けし、仮処分の取り下げを決定した。
韓国は塾に対する妄信がすごいので、何でも塾に頼ろうとする親が多い。先日、先生たちの集まりで、子供の教育に関する話題が出たときのこと、ある小学校では6年生ですでに中学3年の数学の問題を解いているということであった。
すべての学校がそうではないにしても、先行学習に対しての負担は親にも子供にもあるわけだ。塾を強要する母親に対して、子供たちは裏で「クソババア」、「魔女」、「お化け」とののしっているとも聞く。
こうした観点からすると、上記の童詩は社会的現象を的確にとらえ、うまく表現している。
すべての詩に英語訳も
作者の場合、母親も詩人であり、その影響からか幼稚園の時から詩を書き始め、今度の詩集が4冊目となる。詩人である母親は、この詩を読んだ後、すぐに塾を辞めさせたという。
詩集『ソロ子犬』には58編の詩が掲載されており、どの詩にも英訳がついており、外国人でも読める構成になっている。また、上記の詩以外の57編の詩は、とても素晴らしい出来栄えであると称賛されている。
これが大人向けの詩であれば、またこれほどのバッシングを受けなかったかもしれないが、童詩であるので、子供たちへの影響を考えてバッシングが強くなったとも言える。
実際、これを読んで泣き出した子供たちもいる。子供たちにとって絶対的な母親を殺すというモチーフは今までは題材にされないものだっただけに、余計に反響が大きかった。
とにかく、作者は今回のことによほど堪えたらしく、絶筆宣言をしたそうだ。だが、一方では「彼女の感性が既存の固定観念にそぐわないからといって、子供の表現の自由を規制するのは、かえって童心を傷つける」という議論もある。
今回、作者は未成年であるため、インタビューに応じてないが、その母親は次のように話している。
「社会的に物議を醸して申し訳ない。娘の詩は、現実に対する批判的な寓話であると思う。詩を読んだ後、子供たちを真摯に対話し、子供の立場で考えるようになったという母親もいるので、幸いだ」
この話を聞いてからもう一度読み直してみると、表現こそ馴染めないが、何かモヤモヤしたものがすっきりするような感覚になれた。これがこの詩の妙味であるのかもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43820
- A 10-year-old's poem on cooking and eating the mother gets p rei 2015/6/09 13:09:14
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