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ウクライナ深まる苦境
ポロシェンコ大統領会見 紛争長期化を懸念
【キエフ=古川英治】ウクライナのポロシェンコ大統領は日本経済新聞などとのインタビューで、日米欧との「団結」を繰り返し強調した。同国東部でのロシアの軍事的な圧力を受け、経済的な苦境は深まり、国内でも改革への抵抗勢力に直面する。紛争が長期化すれば民意も離れかねない状況のなかで、多方面で「戦闘」を迫られている。(1面参照)
ポロシェンコ大統領は「改革の意思は固い」「改革断行の末に欧州への統合がある」などと欧米にアピールした。汚職対策や司法改革などを挙げ、「戦争にもかかわらず、財政赤字の削減などを実現した」などと成果を強調。最大の課題である汚職対策の焦点として新興財閥が支配する構造の改革を指摘し、「個人との戦いではなく、(腐敗した)システムの改革に取り組んでいる」と述べた。
東部の工業地帯を親ロ派武装勢力が掌握し、戦闘が続く中で経済危機から脱する道筋は描けない。230億ドル規模の債務の再編を巡る投資家との交渉も難航し、市場では債務不履行(デフォルト)の懸念も浮上する。債務問題についても大統領は「G7の支持を受けている」として、「投資家と合意できると希望を持っている」と述べるにとどめた。
経済的な苦境に対する市民の不満が高まりかねない状況について「それこそ敵(ロシア)が狙っていることだ。国民の愛国心は強固だ」と強調したが、求心力の衰えは隠せない。欧州の一部でロシアとの融和を求める声が浮上しているとの質問に対し、「これは価値を巡る戦いだ」「欧州のどこでも起こりえる」と語気を強め、国際社会の支援を訴えた。
ペトロ・ポロシェンコ氏 89年キエフ国立大卒。98年国会議員初当選。外相、経済発展・貿易相などを歴任し、14年ウクライナ大統領選で大勝し現職。菓子グループ「ロシェン」を運営し「チョコレート王」とも呼ばれる。親欧米派。49歳。
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マイナス成長続く インフレ率、今年40%超も
【キエフ=古川英治】ウクライナ東部で続く政府軍と親ロシア派武装勢力との武力紛争を背景に、ウクライナ経済の苦境はさらに深まっている。政府統計によると1〜3月の実質経済成長率はマイナス17.6%で、昨年10〜12月期の同14.8%より悪化した。
経済情勢の悪化を受け、国際通貨基金(IMF)は5月末、2015年の同国の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しをマイナス5.5%から同9%へ大幅に下方修正した。通貨フリブナの下落やガス料金などの引き上げで今年のインフレ率は40%を超えるとの見通しも示した。
経済成長の最大の足かせとなっているのはロシアを後ろ盾とする東部の親ロ派との紛争だ。2月にはドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの4カ国首脳がまとめた停戦合意が発効したが、依然として局地的な戦闘はやんでおらず、政府が支出する戦費も膨らみ続けている。
北大西洋条約機構(NATO)によると、ロシアからウクライナ東部への武器や兵員の流入は増え続けており、戦闘が拡大する恐れも出ている。ポロシェンコ大統領は5日の記者会見で、親ロ派が3日に500〜1千人の部隊で主要都市ドネツク近郊の町マリインカを攻撃したと非難した。
ヤツェニュク首相は5月28日「不安定な情勢やロシア軍の脅威が投資を妨げている」と指摘した。経済のけん引役である製造業への設備投資は1〜3月期に前年同期比約4割減った。キエフの応用政治研究センターのフェセンコ所長は「親ロ派と紛争が続く限り経済の反転は難しい」と語る。
[日経新聞6月6日朝刊P.7]
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