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米レアアース最大手モリコープ 社債利払い見送り
債務削減へ債権者と協議 中国規制緩和で市況悪化
【ニューヨーク=高橋里奈】ハイブリッド車のモーター用磁石などに使うレアアース(希土類)の米最大手モリコープは1日、3250万ドル(約40億円)に上る社債の利払いを見送ると発表した。最大供給国である中国の輸出規制の緩和によるレアアースの市況悪化のあおりを受け、資金繰りに窮した。
モリコープはハイブリッド車に使われるネオジムなどを生産する。同社の債務残高は昨年末時点で約17億ドルに上るとみられ、今回、半年に1度実行してきた利払いを見送ることを決定した。「債務不履行(デフォルト)」と市場に認定されるまでは約30日の猶予があり、同社はその間に金融機関などの債権者と債務削減の協議を進め資金繰りにめどをつけるという。
1日の発表を受け株価は約19%下落した。市場では破綻リスクが高いとみなされ、1ドル未満での取引が続いていた。
モリコープは2010年の中国による輸出削減でレアアースが高騰したことを受け、カリフォルニア州の鉱山で生産設備を増強した。その後、中国が輸出規制を緩和し、レアアースの価格が下落。14年は売上高が前年比で14%も減るなど業績が悪化した。
レアアースは世界の供給量のうち、中国が7〜8割を占める。1990年代に圧倒的な安値で輸出。外貨獲得の手段として目をつけた地方政府の支援で、生産会社は約100社に達した。米国などの多くの鉱山会社の業績が悪化し、大半が採掘を中止した。
2000年代に入ると、中国政府が輸出や生産を制限し、中国の支配力が際立つようになった。その後、価格が高騰すると、米国やカナダ、オーストラリアを中心に閉鎖した鉱山の再開や新規の開発が過熱した。
しかし、10〜11年にかけて中国は輸出枠削減に加え輸出税を課し、国際価格は高騰した。世界貿易機関(WTO)が協定違反とすると、今年から輸出枠を廃止し、5月からは輸出税も撤廃した。
日本企業はインドなど中国以外からの調達を探ってきた。米国からの調達は「1割以下にとどまるため、影響は少ない」(専門商社)という。ただ、中国以外の供給元が減ることになり「需給の引き締まりが意識されて、価格が強含む可能性もある」との声も出ている。
[日経新聞6月2日朝刊P.3]
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