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東の門「ウラジオ自由港」の可能性
2015年5月28日 ウラジスラフ・イノゼムツェフ, 脱工業化社会研究センター所長、ロシアNOWへの特別寄稿
ロシアがその「東の門」を開くという話が聞かれて久しいが、これまで、この方向への大きな前進は見られなかった。「自由港」プロジェクトは、地域経済のニーズに焦点を当てた場合にのみ、実現可能である。
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帝政ロシア時代の20世紀初頭、ウラジオストクはこの地域で最大の港であったが、現在その重要性は最小限にとどまっている。ウラジオストクは昨年、わずか1530万トンの貨物しか扱わなかった。ちなみに貨物取扱量は中国の大連港で3億9000万トン、韓国の釜山港で3億3000万トン、日本の名古屋港で約2億3000万トンである。ロシアの対外貿易の急減により、2015年にはこの差がさらに大きくなる。
海洋経済の時代、すなわち国際貿易に占める海運の割合が67〜68%で、世界の国内総生産(GDP)の60%以上が海から100マイル未満の領域で生みだされている時代に、この差は断固たる是正措置を要する。しかしながら、2つの要因が、ロシア極東の状況の改善を防げている。
ボトルネック
ロシアには極めて鈍重な官僚機構とビジネスへの警戒心があったし、今でもある。税関、規制当局、許可当局、法執行機関、税務署などはどこも、その活動によって好ましくない制度的環境をつくりだしている。韓国や中国、その他の東・東南アジア諸国で投資家を引き付けているような制度的環境とはまったく違う。
中国の経済成長の主な原動力となった自由経済圏の実績が、ロシアで普及しなかったのはこのためだ。
また、ロシア極東とシベリアのすべての連邦構成主体(地方自治体)の総GDPは、2650億ドル〜2800億ドル(約31兆8000億〜33兆6000億円)である。これはラオス、カンボジア、ブルネイを除く東・東南アジアのどの国のGDPよりも低い。
ロシア東部の経済が弱かったら、ビジネス・エントリー・ポイントは何を提案することができるだろうか。限られてくるのだ。それゆえの沿海地方(行政中心地ウラジオストク市)の現状なのである。
自由港関連法
ウラジーミル・プーチン大統領が昨年12月4日の年次教書で、1862〜1900年、1904〜1909年に有していたポルト・フランコ(自由港)の地位をウラジオストク市に戻すという提案を行ったことから、すべてはロシアの指導部による問題認識を示唆しているようだ。これに続き、ロシア政府は議会に「ウラジオストク自由港」法案を提出した。だがこれらの努力は、政府が見込んでいるような成果をもたらすのだろうか。法案自体と全体的な自由港発展戦略の両方が大幅に改善されれば、成果は出ると言えるだろうが…。
法案の最初のページに、「市民の生活または健康、文化遺産、環境を保護し、国防と国家の安全保障を確保する」必要があった場合に、自由港の期限前廃止の可能性があるといきなり説明されていたら、この地位は何時でも見直される可能性があると思われてしまう。
自由港が副首相の一人に率いられる監督委員会によって管理されていると判明したら、すべての決定がモスクワ経由で行われるのではないかとの疑念が長く残る。
また、世界の他の自由港の本質を含む自由通関圏制度が、「海港および空港の一部があるウラジオストク自由港領域の一部、ロシア連邦国境通過点に隣接する領域の一部」にしか適用されないことがわかる。領域の残りの部分は、経済特区と率先発展領域(TOR)の法のもとに置かれる。
どこに自由港を建設するか
ウラジオストクには海軍基地があるため、今日、ロシア極東の自由港建設場所としては不向きであることを認識する必要がある。軍の利益を無視することはできないし、軍は多くの湾を使用している。
また、ウラジオストクには工業団地を建設できるような広大な空き地などもはやないし、中国との国境からも100キロ以上離れている。これらすべては、ロシア当局が自分達の「自由港」と競合するのはアジアの隣国の自由貿易圏であって、ロシアの他の地域などではないということを忘れ、ロシアの他の場所よりも「自由」だという魅力にとらわれていることを意味する。
「自由港」プロジェクトは、地域経済のニーズに焦点を当てた場合にのみ、実現可能だと思う。
地図を見れば、沿海地方の戦略的重要性は、中国北部の広大な領域を海から遮断しているという事実にもあることに気づくはず。中国北部のこの領域には、総人口9000万人、総GDP7500億ドル(約90兆円)の3省(黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区)が含まれている。
ここで生産された製品は、海外や中国南部への納入のために、1100〜2300キロ離れた大連市、営口市の港に出荷される。したがって、港は中国との国境から最小限の距離(20〜25キロ)に建設されるべきで(例えば小さなザルビノ港[42°38' N、131°06' E]を拠点に)、また中国とは高速道路や鉄道で連結されるべきである。そして、同様に治外の地位を持つべきである。
約200〜250平方キロの敷地を港周辺に確保し、壁で囲み、中国の深センのような税関や国境検問所を設置することも可能。
そうすると中国製品はこの港を通じて日本、アメリカ、フィリピンへ、またこれらの国の中国北部向け製品は中国国内へと出荷されることが可能となる。
中国北部向けサービス
中国北部の経済規模を考えると、新しい港は5〜6年以内には年間8000万〜1億トンを取り扱うまでになる可能性がある。ロシア極東連邦大学の専門家によると、この規模は沿海地方のGDPを現在のレベルから30〜35%高め得るという。この政策が地域経済の大きな発展につながる一例として、ドバイのジュベル・アリ港のコンビナートがある。
ロシアはアジアとヨーロッパの間で貨物を動かすトランジット国になることを長年夢見てきた。しかしながら、スエズ運河があり、また経済界はロシアの鉄道を経由した輸送の価格や質を重視するのだから、ロシアははるかに短く、より有利な積み替えルートの運用を考えてみてはどうだろうか。
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