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米国でも進む野球離れ、MLBの将来に不安も
By BRIAN COSTA
原文(英語)
2015 年 5 月 22 日 10:43 JST 更新
【ニューバーグ(米ニューヨーク州)】ジム・ウィルソンさんが利用継続を訴える運動を開始したとき、ディラーノ・ヒッチ・パークにある球場は雪に覆われていた。同氏はニューバーグ市リトルリーグを率いているが、参加人数の急減でリーグ廃止の危機に直面している。現在、ウィルソンさんを含むリーグ役員は保護者に一軒一軒電話をかけ、子どもを今春のリーグに参加させてくれないかと尋ねている。
ウィルソンさんは「まるで(販売員の)電話勧誘のようだ」と語る。
保護者からは、子どもはラクロスの方に興味があるとか、バスケットボールやサッカーの方が好きだといった答えが返ってくる。留守番電話に全く応じてくれない保護者も多い。今シーズンが始まった先月、リトルリーグには4学年全体で74人の子どもしか集まらず、2009年の206人から大幅に減少した。ウィルソンさんは「ここ数年、それ(参加人数)は岩のように落ちている」と嘆く。
ハドソン川西岸に位置するニューバーグは人口2万8000人ほどの労働者が多く暮らす町だ。ここは野球の未来を守る戦いの最前線となっている。全米規模で野球人口が減り続ける中、地方の青少年リーグの中には存続が危うくなっているところもある。
左は米国の野球人口(7〜17歳)の推移、右は各スポーツの参加人口の比較(7〜17歳、2000年と13年を比較)
独立したリーグを構成する十分なチーム数を確保できないため、リーグ運営者は周辺地域のチームと試合をしたり、近くのリーグと合併したり、完全に解散したりする必要に迫られている。どの選択肢を選んでも、気軽に野球に参加しにくい状況に変わりはない。若者が専門的にスポーツに打ち込む時代に、野球は絶滅しかけているのだ。
こうした変化のため、米大リーグ(MLB)はファンを大量に失う恐れがある。現在、MLBの売上高はうなぎ登りで観客数も多いが、将来の不安要素となっている。
ニューバーグ市リトルリーグのチーム「ドジャーズ」の三塁ベースコーチ Jeff Bush/The Wall Street Journal
MLBのコミッショナーを務めるロブ・マンフレッド氏は、「成人としてのファンの熱意を予測する最大の判断材料は野球をしたことがあるかどうかだ」と語る。MLBの広報担当者は、野球ファンを対象に昨年実施した調査を証拠として挙げた。スポーツに関心を持たせる要因を聞いたところ、12歳から17歳までのファンが観戦や試合会場に行くことよりも、実際にそのスポーツをやったことが大きなきっかけになると答えた。特に同年代の男性ファンにはこれが当てはまり、7割が関心を持つ大きな要因として「そのスポーツに参加することだ」と述べた。
全米スポーツ用品協会(NSGA)によると、2002年には7歳から17歳の野球人口は全米で900万人だった。最新となる13年のデータではこれが41%以上減少し、530万人となった。同様に若者のソフトボール人口も02年から13年の間に540万人から320万人に減った。
リーグ存続を訴えるジム・ウィルソンさん Jeff Bush/The Wall Street Journal
社会全体で若者のスポーツ離れや専門化が進む中、サッカーやバスケットボールなど他の人気スポーツも打撃を受けている。単なるファン、あるいは単なる運動よりも成績が強調される風潮が強まっているため、早い段階からひとつのスポーツに打ち込む子どもが多くなり、あらゆるスポーツで気軽に参加することが困難になってきた。その中でも、共同体のスポーツとしての野球の地位低下は特に急激だ。
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