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[グローバル オピニオン]中国経済の米超えは必然 元米モルガン・スタンレーエコノミスト 謝国忠氏
中国は製造業と不動産で大幅な供給過剰の問題を抱えている。(両分野に深くかかわる)投資はこれまで、中国の成長率への寄与度でおよそ5割を占める部門だった。中国政府は今年の成長率目標を前年比7%に定めた。今後は投資が減速することで、5%前後まで低下していくとみる。
上海などの大都市をはじめとして中国で住宅価格がさらに下落することは避けられない。それでは困るということで過剰投資を続ければ、いまより大きな問題を将来、引き起こすのは間違いない。
習近平国家主席の指導部は「新常態(ニューノーマル)」への移行を進めている。成長率が下がっていくことは私たちが受け入れていかなければならない現実なのだ。
中国では従来、政府が許認可権など大きな権限を握り、官僚の腐敗や過剰投資につながってきた。だが、習主席の指導部は反腐敗運動を通じ、国内改革に取り組んでいる。
中華民族は伝統的に商売が上手だ。中国が5%程度の成長率を維持し、政府の権限を大幅に削減する大胆な国内改革に成功すれば、2022年にも経済規模で中国が米国を上回ると予測できる。仮に国内改革が遅れても、27年には米国を抜き去るはずだ。
中国経済の成長には、同国と欧州をアジア経由で結ぶ「一帯一路」構想が重要だ。中国がかかわる新たな経済圏を構築できるからだ。この構想では(中央アジアを通る陸路より)東南アジア経由の海路の方が大事になる。中国によるインフラ開発はコストが世界で最も低い水準で、スピードは極めて速い。すぐにインフラが欲しい東南アジアにとっては極めて大事な点だ。
東南アジアの人口は計約6億人にのぼり、莫大なインフラ投資を必要としている。これに資金を提供できるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の役割は大きい。この地域における中国の直接投資額、貿易額は米国を上回りつつある。中国が中心となってAIIBを設立するのは自然なことだ。
私は世界銀行で5年間、エコノミストとして働いた経験がある。世銀もアジア開発銀行(ADB)も本来の役割は発展途上国のインフラを整備することだ。しかし、新しい発想や活力に乏しく、途上国の要望に十分応じられないでいるのが実態だ。
(世銀やADBの後ろ盾の)米国と(AIIB設立を目指す)中国が開発金融を巡り健全な競争を繰り広げることは途上国にとって望ましい。
日本や米国は体面を気にせず、AIIBに参加すべきだと考える。参加する国が増えれば、それだけ中国の出資比率は低下し、影響力も小さくなる。米国主導で築かれたブレトンウッズ体制を中国が変えようとしているわけではないのだ。
(談)
Xie Guozhong 米マサチューセッツ工科大経済学博士。世界銀行などを経て1997年米投資銀モルガン・スタンレー入社。退職後、上海で投資会社経営。54歳。
[日経新聞5月25日朝刊P.4]
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