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NPT再検討会議 波乱の閉幕:外相 米国務長官に「NPT不採択は残念」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/758.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 5 月 28 日 02:57:34: Mo7ApAlflbQ6s
 


NPT再検討会議 波乱の閉幕[NHK]
5月25日 19時32分

ニューヨークの国連本部で開かれていたNPT=核拡散防止条約の5年に1度の再検討会議は、22日、中東の非核化構想を巡る対立から、会議の成果にあたる「最終文書」を採択できないまま閉幕しました。

今後5年間の世界の核軍縮の「指針」が示されなかったことに、国際社会には失望感が広がっています。

4週間にわたる会議では、世界を取り巻くさまざまな問題やジレンマも浮上し、核軍縮や核不拡散の難しさが浮き彫りになりました。
取材に当たったアメリカ総局の鴨志田郷記者が解説します。


重苦しい開幕

「今回の会議では、かつてなく厳しい議論が繰り広げられるだろうー」。
国連の軍縮部門のトップを務めるアンゲラ・ケーン上級代表は、開幕に先立ち、私たちの取材に厳しい表情でこう答えました。


国連加盟国のほとんどにあたるおよそ190か国が参加するNPT。


アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスの5か国を核保有国と定め、核軍縮を進めることを義務づける一方で、そのほかの国には核兵器の不拡散と核の平和利用の徹底を求めています。

5年に1度、条約が守られているかどうか、よりよく守られるにはどうすればよいかを話し合う「再検討会議」が開かれ、その後の核軍縮などの指針にあたる「最終文書」の採択を目指すことになっています。

前回、2010年の会議は、アメリカのオバマ大統領が「核兵器のない世界」の演説を行った直後に開催されたため、世界的に核軍縮への期待が高まっていました。

しかし、今回は、世界の核兵器の90%以上を保有するアメリカとロシアがウクライナ情勢を巡って対立し、核軍縮が停滞しています。
さらに、その間隙(かんげき)を縫って中国が着々と核武装を増強しているとみられ、重苦しい空気のなかでの開幕となりました。

核兵器禁止条約巡る攻防

会期を通じて最大の焦点となったのが、「核軍縮を進め核廃絶を実現するにはどうすればよいのか」という、NPTの根幹に関わる論争でした。

核兵器の保有国は、「核軍縮は国際情勢を踏まえて現実的かつ段階的に進めればよい」と繰り返し主張したのに対し、非保有国は「いつまでかかるか分からない核軍縮を、指をくわえて待つわけにはいかない。核兵器がもたらす非人道的な影響を考えれば、直ちに核兵器の保有や使用を禁止すべきだ」と主張。

オーストリアによる「核兵器の法的規制を求める呼びかけ」には、最終的に100を超える国が賛同し、大きなうねりとなりました。

唯一の戦争被爆国である日本は、核兵器の非人道性を、ほかのどの国よりも知りながら、アメリカの「核の傘」の下に入る安全保障政策を取っていることから、「核兵器の禁止」を声高に叫べない立場にあり、保有国と非保有国が協力して現実的な核軍縮を目指すよう働きかけを続けました。

激しい攻防の末、最終文書案では、「核兵器禁止条約」への言及はなくなったものの、「核兵器の非人道性」についての記述が増え、「核兵器の法的規制を検討する作業部会を国連総会の下に設ける」という構想も盛り込まれ、双方の妥協が図られました。


日中歴史論争

核兵器の規制についての議論が白熱する一方で、会議後半に突然浮上したのが、日本と中国との歴史認識を巡る対立でした。

会議の初日、岸田外務大臣は、広島・長崎への原子爆弾の投下から70年にあたることし、世界の指導者に被爆地を訪れてもらい、核兵器の非人道性を知ってほしいという呼びかけを最終文書に盛り込むよう提案。

最初の草案にはこうした文言が記載されました。

これに対して、中国は、「対日戦争勝利から70年のことし、日本が戦争の加害者でなく被害者としての立場を強調することは許されない」と反発、翌日示された第2の草案からは、日本の提案がすっかり削除されてしまったのです。
この事態を受けて、日本政府は、文言をもとに戻すよう働きかけるため、杉山外務審議官を現地に派遣しました。

世界の核軍縮交渉のさなかに持ち上がった日中両国の論争に、各国の間では戸惑いとともに、日中間で決着をつけてほしいという空気が広がりました。

両国の国民感情が絡む難しい課題を前に、双方の代表団が協議を重ねた結果、「広島・長崎への訪問」という文言の代わりに、「核兵器の被害を受けた人々や地域と交流し、その体験を共有する」という表現を、最終文書案に反映させることでなんとか折り合いをつけたのです。

NPTの舞台で、図らずも、「戦後70年」が問われる形となりました。


不在にして主役のイスラエル

長年の懸案となってきた中東の非核化構想を巡っては、全体の協議から切り離して非公開の会合で交渉が続けられました。

NPTに加盟していないイスラエルが中東で唯一核兵器を保有しているとされながらアメリカが黙認している現状に不満を募らせたアラブ諸国が、中東の非核化に向けた国際会議を開催するよう迫ってきたこの問題。
一時は大きな進展があるという情報も漏れ聞こえてきました。

しかし、結果として、「最終文書案」に盛り込まれたのは、「中東の非核化を目指す国際会議を、来年3月までに国連事務総長がイスラエルを含む関係各国を招いて開く」という、アラブ諸国の意向を強く反映したもので、イスラエルを擁護するアメリカやイギリス、カナダはそろって拒絶します。

世界各国のマラソン交渉の成果とも言える「最終文書」がこの一点を理由に採択できない事態になり、強い失望の声が上がりました。

そのかたわらで、イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカのケリー国務長官に電話で感謝のことばを伝えたと言われています。

10年前の再検討会議も、中東非核化構想を巡る対立から決裂した経緯があり、非加盟国のイスラエルが「不在にして主役」であるという現実を、世界は再び思い知らされることになりました。


決裂の波紋

米ロのあつれきと中国の台頭を背景にした核軍縮の在り方を巡る論争、戦後70年で表面化した日中間の歴史認識の違い、そして、中東で続く果てしない対立。

今回の再検討会議では、世界のあらゆる対立やジレンマが表面化し、核軍縮と核不拡散の難しさが改めて浮き彫りにされました。

今後5年間の核軍縮の方向性を示す「最終文書」が採択されなかったことは、NPT体制にとって大きな打撃です。

核保有国による軍縮がますます停滞すれば、ほかの国々が不公平感を強め、核の不拡散や平和利用を徹底することが難しくなって、NPTの求心力が失われることが何より懸念されます。

その一方で、現状ではNPT以外に世界の核を巡る問題を多国間で協議する枠組みが存在しないのも事実です。

唯一の戦争被爆国である日本は、いかなる国際情勢のなかにあっても、核兵器廃絶に向けたともし火を決して絶やさないよう声を上げ続けなければならない。今回の再検討会議を通じて、そうした思いを一層強くしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_0525.html

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外相 米国務長官に「NPT不採択は残念」[NHK]
5月27日 6時01分

岸田外務大臣は26日夜、アメリカのケリー国務長官と電話で会談し、NPT=核拡散防止条約の再検討会議の「最終文書」がアメリカなどの反対で採択されなかったことについて、残念だという考えを伝え、今後も核軍縮や核不拡散に、日米両国で連携して取り組むことを確認しました。

岸田外務大臣とアメリカのケリー国務長官の電話会談は、アメリカ側の呼びかけで、日本時間の26日午後10時前から30分余り行われました。

この中で岸田大臣は、先週閉幕したNPT=核拡散防止条約の再検討会議で、会議の成果となる最終文書が、中東地域の非核化の構想にアメリカなどが反対したことから採択されなかったことについて、残念だという意向を伝え、「『核兵器のない世界』を実現するには、今後もアメリカのリーダーシップが欠かせない」と述べました。

これに対し、ケリー長官は「最終文書の採択に至らなかったが、アメリカとしてはNPTの枠組みは重視している」と応じ、両外相は今後も核軍縮や核不拡散に向けて、日米両国で連携して取り組むことを確認しました。

また、会談でケリー長官は、今月、ロシア、中国、韓国を訪問し、プーチン大統領や習近平国家主席、パク・クネ(朴槿恵)大統領と相次いで会談したことを説明し、両外相は今後もウクライナ情勢やアジア太平洋地域の諸課題に、両国で緊密に連携して対応していくことを確認しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150527/k10010093001000.html

 

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