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50代オトコのM博士はなぜモテまくったのか
働きすぎて結婚から遠ざかってしまったワシントンD.C.の女性たち
2015.5.18(月) 老田 章彦
妻を亡くしたM博士にとって、その後の人生の展開は想像を超えるものだったろう。
社会学者として政府系の研究機関で地道に勤めあげてきた50代。細君を急な病気で亡くしたとき、周囲の人びとはM博士のさびしい老後を思って同情したものだが、それはやがて驚きに変わった。
葬儀を終えてまもなく、博士の服装に明るい色が増え、メガネと髪型はスタイリッシュになり、クルマは真っ赤なスポーツカーに替わった。M博士は大変身した。
「50代オトコを探している女性がこれほどいるなんて」
「ぼくには彼の気持ちが分かるような気がする」
そう言ったのはM博士宅へ夕食に招かれたことのある同僚のA博士。
彼は、M博士の整然たるオフィスとは別世界の乱雑な自宅(M夫人は俗に「溜め込み症候群」と呼ばれる強迫性貯蔵症の気があったようだ)や、夫人の葬儀を仕切った友人たちが一様に1960年代のヒッピーファッションを身にまとい、キャロル・キングの歌が流れるなか順に起立して故人の思い出を語る光景を目の当たりにするにつけ、M博士と夫人の間にあった大きなギャップが想像されてならなかったという。
独身に戻ったM博士は、誰はばかることなく「本来の自分」を取り戻そうとしているように見えた。以前より口数が増えて快活になり、聞けば複数のお見合いサイトに登録し、平行して数人とデートすることもあるという。
ある日M博士は、目を丸くしながらこう語った。
「いや驚いたよ、自分がこんなにモテるとは。僕みたいな50代オトコを探している女性がこれほどいるなんて、考えたこともなかったよ」
結婚できないワシントンD.C.のキャリア女性
ワシントンD.C.には女性が多い。最新の国勢調査によれば、男性100人に対して女性の住民は112人。いわゆる結婚適齢期(20〜39歳)に限ってみると、女性の人口は男性を1万3700人上回っている。この差は10年前の調査では6000人だったから、近年の女性の増加ぶりは明白だ。
背景には、政府やNGOなど、公共に尽くす仕事を志す女性が増え、全米から流入していることがあるだろう。こうした女性には院卒以上の学歴をもつ人が多く、キャリア志向がたいへん強い。女性の社会進出や地位の向上を進めるうえではよい傾向だが、こと結婚となれば、これがなかなか難しい。
女性たちは高い意欲をもってバリバリ働くが、同じ仕事をしても男性より女性への評価が低く、成果を認めてもらいにくい傾向はアメリカにもある。そうしたハンデを埋めるためにはいよいよ頑張って働くしかなく、結婚は遠ざかるばかりだ。
働きづめに働き、積み上げたキャリアにも満足できる年齢になり、ようやく結婚を考える余裕ができたときには、状況はいよいよ厳しくなっている。「いい男」はたいてい既婚であり、それ以外の男性から選ぶことになるが、タバコ・アルコール・ドラッグをやる男、女性にだらしない男、定職につかない「ヒモ体質」の男などを除外していくと、選択肢は意外に狭いらしい。
そこへ行くとM博士は喫煙や違法薬物とは無縁で、長年にわたって結婚生活を維持してきた実績があるから、女性たちから高く評価されるのは当然。しかも定職があるどころか博士号持ちで政府機関勤めの堅い人物とくれば、本人が目を丸くするほどモテるのも無理はない。
互いの「財産」を持ち寄ってウィン・ウィンの結婚
「市場価値」が高騰したM博士のお相手探しは、多くの人がうらやむ結末となった。婚活をはじめてから半年後、同年代のたいへん裕福な女性と結婚したのだ。
彼女は金融業界でキャリアを積んだ高給取りだったが、以前に購入した住宅が思わぬ高値で売れ、その利益を元手に不動産や株式の投資をして儲け、今は悠悠自適の暮らしだという。
D.C.市内の住宅は割高で、売買された物件の中間価格が130万ドル(約1億5600万円)を超える地区もあり、そういうところでは転売による利益も一桁違う("Housing sales in the Washington, D.C. area")。お金がお金を生む成功の図式は、政治都市ワシントンD.C.にも存在している。
同僚のA博士が聞いたところでは、M博士と彼女のデートは日を追うにつれて豪華になり、ヨット遊びやセレブが集まるパーティーに連れていかれるようになった。ようこそお金持ちの世界へ。博士は人生のありようを一変させるチャンスに大きく心を動かされたことだろう。
結婚後、M博士は再び周囲を驚かせた。長年の勤めをすっぱり辞めてしまったのだ。家計は潤沢で、一生食うには困らない。稼ぐ必要がなくなればさっさと引退し、好きなことをやって暮らすアーリーリタイアメントはアメリカ人の夢だ。
ただし博士は、遊んで暮らすという選択肢を選ばなかった。ワシントンD.C.とその周辺のベッドタウンは、住民のおよそ4人に1人が大学院卒以上(博士課程・ロースクール・医学部含む)と言われる勤勉なインテリの街。ここで無職というのは通りが悪い。博士は、ある大学で非常勤講師の職を得て、週に1コマだけ授業をもつことにした。
そうすれば、パーティーで「どんなお仕事を?」と聞かれたとき、週にたった1コマの授業であろうが、大学で教鞭をとっていると答えてステイタスを保つことができる。寄り添う妻も鼻が高いだろう。M博士夫妻は、互いの「財産」を持ち寄り、きっちり活用することで良好なウィン・ウィン関係を構築した。
日本にもオンライン出会い時代は来るか
自身が思いもしなかった展開で再婚にこぎつけたM博士だが、わずか半年で「最高の相手」を決められるほど大勢の女性とデートできたのは、ひとえにお見合いサイトのおかげだといっていい。
若い男女の出会いスポットは独身者パーティーやバーと相場が決まっているが、シニア世代はそういう騒がしいところには足が向かなくなり、異性との出会いは乏しくなるばかりだ。
50歳以上のアメリカ人の約半数、3700万人が加入する全米退職者協会(AARP)の調べでは、全米の独身シニアのうち25%がお見合いサイトを利用しているという。AARPもシニアを対象にした大手のお見合いサイトを運営している。
オンラインの出会いサービスは、スマートフォンの普及によってどんどん進化している。去年9月、サンフランシスコで「Stitch」(スティッチ=縫い目、合わせ目の意)というシニア向けの新サービスが始まった。スマートフォンに専用アプリを入れ、自分の写真と簡単なプロフィールを入力し、相手に求める条件を設定するだけでマッチする人を探し出してくれ、会ってみたい相手には手軽に連絡することができる。
こうしたシステムは相手が偽名をかたっていないかどうかが不安になるものだが、有料プランの最低料金5ドルをクレジットカード決済することで本人確認を行い、互いに安心できる仕組みになっているという。サンフランシスコで1万5000人のメンバーを得たのに続き、今年2月にはニューヨークでのサービスが始まった。
いまアメリカで誕生するカップルのおよそ3組に1組がオンラインで出会っているというデータもある。日本では「出会いサイト」をめぐって不健全なイメージが先行したこともあり、オンラインへの抵抗感が強いようだが、いずれは広がるだろう。出会いに貴賤はない。中年になったとて最先端のサービスを駆使して最良の伴侶を見つけ、人生の「後半戦の勝者」になれる可能性は誰にでもあるのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43773
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