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米国務長官 中国に「緊張緩和の行動を」[NHK]
5月16日 20時09分
アメリカのケリー国務長官は16日、中国・北京で王毅外相と会談し、各国が領有権を争う南シナ海の南沙諸島で、中国が浅瀬の埋め立てを拡大させていることについて、「緊張を緩和するための行動をとるよう促す」と述べ、自制するよう求めました。
アメリカのケリー国務長官は16日、中国の北京を訪問して、王毅外相と会談を行い、そのあと共同の記者会見に臨みました。
ケリー長官は、各国が領有権を争う南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で、中国が浅瀬の埋め立てを拡大させていることについて、「アメリカは、埋め立てのペースや規模に懸念を抱いている。中国に緊張を緩和するための行動を取るよう促す」と述べ、自制するよう求めました。
これに対して、中国の王毅外相は「中国がみずからの主権や領土を守る意志は、岩のように固い。口出しさせない」と述べたうえで、「南沙諸島での建設については、中国の主権の範囲内だ」と述べて、アメリカ側の指摘は当たらないという立場を強調しました。
このほか会談では、米中両国は世界有数の温室効果ガスの排出国として、ともに温暖化対策に取り組むことや、北朝鮮の核問題に関して、協力を強化する方針を確認したということです。
ケリー長官はこのあと李克強首相と会談したほか、17日には習近平国家主席との会談も予定されています。
南沙諸島の埋め立ては
南シナ海の南方の海域に位置する南沙(スプラトリー)諸島は、およそ20の島と岩礁、浅瀬からなり、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、中国、台湾の6つの国と地域が領有権を争っています。
このうち5つの国と地域が島や浅瀬をそれぞれ実効支配しており、中国はこれまで7つの浅瀬の海面上に施設を建設して、領有権を主張してきました。
中国による浅瀬の埋め立てが明らかになったのは去年のことで、フィリピン軍の調査では、去年2月の段階で1か所だけだった埋め立てがその後、次々にほかの浅瀬に拡大し、これまでに7つの浅瀬が埋め立てられました。
アメリカ国防総省によりますと、埋め立ての総面積は8平方キロメートル、東京ディズニーランドの16倍に広がっており、このうちファイアリークロス礁では長さ3000メートル、幅数百メートルが埋め立てられています。
また、スビ礁でも埋め立てが同様の規模に拡大しつつあり、フィリピン軍などは、中国がそれぞれの浅瀬で滑走路を建設しようとしている可能性があると分析しています。
さらに、ガベン礁など4つの浅瀬では、それぞれに大規模な港などのインフラ施設のほか、6階建ての建物の建設も確認されています。
埋め立てについて、中国側は「民間の要求と国防の必要性を満たす」などと説明していますが、フィリピンなど周辺国は、大規模な軍事拠点を構築しようとしていると危機感を強めており、アメリカも地域の平和と安定に影響を与えるとして批判を強めています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150516/k10010082041000.html
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米中、南シナ海で対立鮮明 緊張高まる恐れ[日経新聞]
2015/5/16 21:29
【ワシントン=吉野直也】ケリー米国務長官と中国の王毅外相による16日の会談で、中国が南シナ海で進める岩礁埋め立てを巡る米中の対立が鮮明になった。中止を求めるケリー氏に一歩も譲らない王氏。現時点で歩み寄りの機運はなく、米中関係全般にも影響が及ぶ可能性が出てきた。
「緊張緩和に向けた措置を取るべきだ」。ケリー氏は会談後の共同会見で中国側に自制を促した。王氏は「主権と領土を断固守る。我々の立場は今後も何ら変わらない」と反論。両氏の主張はここでも平行線だった。
ケリー氏はその後、中国軍制服組トップの范長竜・中央軍事委員会副主席とも会談。中国軍機関紙の解放軍報によると、范氏も「米国は客観的で公平な態度でみるべきだ。中国の政策の意図を正確に理解し、言行を慎むべきだ」と反発した。
米国が南沙(英語名スプラトリー)諸島付近の埋め立ての中止を要求するのは、これを前例に世界で同様の事態が起こり得るためだ。南沙諸島の人工島には2017〜18年ごろに空母艦載機の緊急避難にも使える滑走路が完成するとみている。
中国の埋め立てを阻止できなければ、安全保障上の脅威を抱え込むことになる。軍事力で中国に劣る南シナ海諸国は、米国頼みが実情だ。いまのままの「無策」では米国が同盟国や友好国の信頼を失う可能性もある。
米国防総省は偵察機による監視を強化するとともに、埋め立てた人工島から12カイリ以内に軍艦を派遣する計画を検討中だ。領海にあたる12カイリ以内に送ることで、中国の領有権を認めない姿勢を示す狙いだが、軍事的な緊張が高まるおそれもある。
実際、岩礁埋め立てが進む南沙諸島付近の海域をパトロールしていた米海軍の最新鋭沿岸海域戦闘艦(LCS)が中国軍のフリゲート艦に追跡される事件も起きた。米国が軍事的な緊張の高まりを嫌えば、中国がさらに勢いづくかもしれない。
米側には経済分野での米中協調が、埋め立てに象徴される中国の軍事的な増長を招いたという分析もある。野党・共和党はオバマ政権の対中政策が失敗だと追及する構えだ。米政権の対中政策は岐路に立たされている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H4S_W5A510C1FF8000/?dg=1
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