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タイ南部沖をロヒンギャ族難民船漂流 助け求め泣き叫ぶ
2015年5月15日(金) 16時15分(タイ時間)
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昨年11月にタイ南部の海岸で不法入国容疑で逮捕されたロヒンギャ族の画像
昨年11月にタイ南部の海岸で不法入国容疑で逮捕されたロヒンギャ族
写真提供、www.m-society.go.th
【タイ】14日、アンダマン海のタイ南部サトゥン県沖で、ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャ族とみられる男女数百人が乗った木造船が漂流しているのがみつかった。
この船に乗船したタイのテレビ記者が船上の人々に聞いたところ、船は3カ月ほど前にミャンマーを離れ、約1週間前に船員が姿を消した。エンジンは故障している。船内には男性約150人、女性約200人、子ども約100人の計約450人がいて、航海中に10人が死亡したという。食料、水、医薬品などが欠乏した状態で、女性、子どもは助けを求め泣き叫んでいた。
タイ軍事政権はこの船について、「船上の難民はタイではない第3国に行くことを希望している」(サンスーン・タイ軍政副報道官)として、海軍の艦艇を通じて、水、食料などを供給するものの、救助して上陸させることはしない方針だ。
翌15日、アンダマン海に面したタイ南部パンガー県の島で、ロヒンギャ族とみられる男女106人が上陸しているのがみつかり、タイ当局が保護した。別の難民船でたどり着いたとみられている。
ロヒンギャ族はもともとミャンマー西部に居住していたが、1970年代後半から、ミャンマー政府による迫害と貧困を逃れ、数十万人が難民としてバングラデシュなどへ脱出した。2007年ごろからは、タイ、マレーシアに船で密入国を図るケースが増えている。タイ政府は過去数年、領海内に入ったロヒンギャ族の難民船を沖に曳航して置き去りにしたなどとして、欧米の人権保護団体やメディアから批判された。
タイでは今年4月末から5月上旬にかけ、マレーシア国境に近い南部のソンクラー県とサトゥン県の山中で、ロヒンギャ族の人身売買の拠点とみられるキャンプ跡地が70カ所以上みつかり、ロヒンギャ族とみられる約300人が保護された。キャンプ跡地には木を組んでビニールシートをかけた建物や衣類などが残され、30人以上の遺体が埋められていた。人身売買の被害者数千人が収容されていたとみられ、このうち、病死したり、人身売買業者に殺害された人が遺棄されたもよう。
この事件で、タイ当局は5月12日までに、人身売買、誘拐などの容疑で、キャンプ跡地がみつかったソンクラー県パダンベサールの市長、地元の村議、警官、旅行業者ら61人の逮捕状を取り、このうち19人を逮捕した。また、人身売買に関与した疑いがある警官約70人を南部から警察本部付などに異動させた。
タイ当局によると、人身売買業者はロヒンギャ族などをミャンマー、バングラデシュから陸路、海路でタイに密入国させ、タイ南部の収容キャンプを経由し、イスラム教徒が多いマレーシア、インドネシアに送り込んでいた。密入国の手数料をとっていたほか、キャンプに収容した被害者に追加の金を支払うよう脅し、暴行を加えるなどした。
タイで取り締まりが本格化したことを受け、人身売買業者は、証拠隠しのため、キャンプを放棄し、被害者を置き去りにしたとみられる。また、タイ、マレーシア、インドネシアでは、5月中旬に入り、ロヒンギャ族の難民船が相次いでみつかっている。
タイ政府は対策を協議するため、ミャンマー、バングラデシュ、マレーシア、インドネシア、米国など関係15カ国と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際移住機関(IMO)などの代表者による会議を5月29日にバンコクで開催する予定だ。ただ、ロヒンギャ族については、ミャンマーが国籍を与えていない一方、タイ、マレーシア、インドネシアの3カ国は難民としての受け入れを原則拒否し、抜本的な問題解決の道筋は見えていない。《newsclip》
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http://www.newsclip.be/article/2015/05/15/25652.html
少数民族の数千人が漂流 東南ア諸国は受け入れ拒否
2015.05.15 Fri posted at 15:44 JST
(CNN) ミャンマーで迫害が伝えられる少数民族のロヒンギャ族が、密航業者の手配する船でマレーシアやインドネシアなど東南アジア諸国に大量に押し寄せている。マレーシア政府はCNNの取材に対し、漂着した難民は送り返すと宣言した。
人道支援団体によれば、マラッカ海峡や周辺の海では安全な受け入れ先を求めて数千人が粗末な船で漂流しているという。
こうした難民についてマレーシアの内務副大臣はCNNの電話取材に対し、「歓迎はできない」「もし歓迎し続ければ、ミャンマーとバングラデシュから何百人も何千人もやって来るだろう」と語気を強めた。
国際移住機関(IOM)は14日、女性や子どもなど350人の乗った船が密航業者に見捨てられ、タイ当局が対応に当たっていることを明らかにした。しかしタイが上陸を認めるかどうかは不明。この船は、先にマレーシア当局が食料と水を提供した後に引き返させていたという。
ロヒンギャ族はミャンマーのイスラム系少数民族。何世代にもわたって同国に住んでいるにもかかわらず、仏教徒が多数を占めるミャンマーでは隣国バングラデシュからの不法入国者として扱われ、差別を受けてきた。
ミャンマーやバングラデシュからマレーシアとインドネシアに漂着した難民は10日以来、1600人を超えた。タイ当局はマレーシアとの国境に近い同国南部の密航業者の拠点摘発に乗り出しており、このため密航業者は難民船をマレーシアやインドネシアに送り込むようになっている。イスラム教徒が多数を占める両国は、かつてロヒンギャ族に同情を寄せていた。
密航業者が海上で船を見捨ててしまうケースもあり、人権団体などは数千人が命の危険にさらされているとして、周辺国に対し捜索救助活動を呼びかけている。
しかしマレーシア、インドネシアとも、難民船は燃料や物資を提供して引き返させていると説明する。
インドネシア外務省の広報は13日、マラッカ海峡を巡航中にマレーシアへ向かう難民船を発見し、食料などを提供したと語った。「乗船者はインドネシア行きは希望しておらず、水と食料援助を求めていた」「援助物資を受け取ると去って行った」としている。
インドネシアは現在、10日にアチェ沖で保護した難民582人に食料や避難所を提供している。
一方マレーシアは、ランカウイ島に漂着した1058人を別の州に移動させ、出身国に送り返す準備を進めているという。
国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは14日の声明で、マレーシアとインドネシア、タイに対し、難民船を「押し戻す」ことをやめ、上陸させて必要な援助を提供するよう求めた。今回のような危機的な状況になったのは、ミャンマー政府がロヒンギャ族を虐げてきたことが原因だとも指摘した。
国連難民高等弁務官事務所によると、ミャンマー西部のラカイン州とバングラデシュを船で脱出した難民は2015年1〜3月だけで2万5000人を超え、死者は推定300人に上っている。
http://www.cnn.co.jp/world/35064570-2.html
東南アジアの無国籍少数民族ロヒンギャの悲劇
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民主化の流れがようやく国際社会で認められはじめたミャンマーで新たな火種
が燃え上がった。ベンガル湾に臨む西部ラカイン州でのイスラム教徒ロヒンギャ
族と仏教徒アラカン族(ラカイン族)との民族対立である。
ロヒンギャ族とみられる若者にアラカン族の少女が暴行された報復として、ア
ラカン族がロヒンギャ族が乗ったバスを襲撃して10人を殺害。この事件を発端
に6月から7月にかけて民族暴動が燃え盛り、6月末時点で100人以上が死亡、
3千棟以上の住宅が焼き打ちで破壊され、9万人以上が難民となった。
襲撃の多くは治安当局に守られた仏教徒アラカン族によるもので、被害者のほ
とんどはイスラム教徒のロヒンギャ族である。
ボートでバングラデシュ側に逃れたロヒンギャ族も多いが、バングラデシュ政
府は受け入れを拒み、700人余りの難民が乗ってきた20隻以上の船をミャン
マー側に追い返した。
ミャンマー政府は外国人記者の入域を禁じるなど徹底した報道管制を敷いてい
て、その後の状況は詳らかでない。
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◇◇ 避難の行方も阻まれて
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ロヒンギャ族の受難は、だが、今回に限らない。1970年代と90年代、軍
事政権による強制労働や暴行、財産没収、移動制限による教育や商業活動の妨害
などの迫害を受け、バングラデシュに数十万人が逃れ出ている。その後も難民の
流出は絶えないが、2009年には次のような事件が国際社会の注目をひいた。
ミャンマーからバングラデシュに逃れたロヒンギャ族難民の約千人が数隻の小
船でマレーシアを目指したが、途中でタイ海軍に拿捕され、乗っていた難民は近
くの島に連行されて棒で殴られるなどの暴行を受けたうえ、エンジンを取り外し
た小船に載せられて公海上に放置された。
暴風雨の中で船は離ればなれになったが、数日後、そのうちの446人が乗っ
た4隻の小船がインド沿岸警備隊によって保護され、190人が乗った1隻の小
船はインドネシア海軍によって救助された。しかし数百人は行方不明のままとな
った。
タイ政府は、事実を否定しながらも国際的な非難を浴びたが、南部で分離独立
を主張するイスラム系反政府勢力と戦っているタイとしては(本誌101号、拙稿
参照)、イスラム移民の流入に神経を尖らせる事情もあった。
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◇◇ 国籍のない追われる民
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このような迫害を受けつづけるロヒンギャ族とはいったい何者であろうか。
バングラデシュ国境近くのラカイン州の一部に暮らすイスラム教徒の少数民族
で、70万から150万人いるとされる。
多民族国家のミャンマーだが、政府はロヒンギャ族を国内の少数民族として認
定せず、バングラデシュから移動してきたベンガル系の「不法移民」として扱い、
国民として認知しないため、無国籍状態に置かれている。主要民族のビルマ族を
はじめ仏教徒が9割を占める国民の多くも、政府と見解を共有し、イスラム教徒
ロヒンギャ族への差別意識は強い。
一方、その出自とされるバングラデシュでは、流入の絶えないロヒンギャ族を
一部、難民と認定して、国連運営キャンプの設営を認めながらも、周囲の仮設キ
ャンプに暮らす20万人ほどについては「不法移民」としてミャンマー政府に引
き取りを求め、収監や強制送還をくりかえしている。
どちらの国から存在を拒否されるなんとも不安定な立場の人びとだが、その背
景には複雑な歴史がある。
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◇◇ 不条理には歴史あり
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かつてロヒンギャ族は東インドのベンガル地方(現在のバングラデシュ)に住
んでいたが、15世紀から18世紀にかけてビルマ西海岸に栄えたアラカン王国
に傭兵や商人として移ってきた。イスラム教徒のロヒンギャ族と仏教徒のアラカ
ン族は平和に共存し、王朝はベンガル湾のイスラム諸王国との貿易推進のため、
イスラム教徒の名前を騙ることさえあった。
19世紀前半にはインドから侵入した英国の植民地政策によって、仏教徒地主
が継承してきた農地がイスラム教徒の労働移民にあてがわれた。このことによっ
て仏教徒対イスラム教徒の対立構造が顕著になる。
第2次大戦で進軍した日本と英国は、日本側が仏教徒、英国がキリスト教徒や
イスラム教徒と、宗教別に構成された軍を創って戦わせたことから、両者の対立
はもはやぬきさしならぬものとなった。
ビルマ族やアラカン族など仏教徒が主導権を握った独立後、ロヒンギャ族は窮
地に立たされるが、それでも、1950年代のウー・ヌ政権下では市民権を与え
られて特別行政区を安住の地とするが、62年に軍事クーデターで政権を奪った
ネウィン将軍施政下の82年に制定された国籍法によって国籍が剥奪され、無権
利状態に置かれることとなった。
さらに、88年の民主化運動や90年の選挙で、ロヒンギャ族がアウンサンス
ーチー氏らの民主化運動を支持したことから、軍事政権による財産没収や強制労
働などの弾圧がいっそう厳しくなり、現在に至っている。
ロヒンギャ族を含め非仏教徒系の少数民族からも期待の高いアウンサンスーチ
ー氏だが、しかし、政治家として自由を得て初の外遊となったタイや欧州での発
言では、むしろ軍を擁護するニュアンスが色濃く、少数民族側の失望を買った。
民主化をすすめるにはいまも実権を握りつづける軍の協力が不可欠だと彼女は
考えているだろうし、まして、大多数が仏教徒である国民の多くがバングラデシ
ュからの不法移民とみなすロヒンギャ族の肩をもつことは、国民の自分への支持
を傷つけかねないとの計算もあったことだろう。
ここに、人権という視点だけでは捉えきれない、宗教・民族問題の複雑さがあ
る。
最後にひとつのエピソードを加えたい。
東インド(ベンガル地方)の一部は47年のインド・パキスタン分離独立でパ
キスタンの領土となるが、71年に独立してバングラデシュになる。そのさい、
多くの仏教徒アラカン族がミャンマー(当時はビルマ)側に移り住んだが、コッ
クスバザール周辺には少数派となった仏教徒アラカン族がいまだに住んでいる。
ミャンマー側のアラカン族に迫害されてバングラデシュに逃れてきたロヒンギャ
難民たちを支援しているのが、じつはこれらの残留アラカン族なのである。「同
じ少数民族として困っている人を見過ごしにはできない」というのが彼らの心情
である。
(筆者は社会環境学会代表)
http://www.alter-magazine.jp/index.php?%E6%9D%B1%E5%8D%97%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%81%AE%E7%84%A1%E5%9B%BD%E7%B1%8D%E5%B0%91%E6%95%B0%E6%B0%91%E6%97%8F%E3%83%AD%E3%83%92%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%81%AE%E6%82%B2%E5%8A%87
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