近年、米国への移民の典型例は、大学に行く年齢の若い中国人だ TONY AVELAR/BLOOMBERG VIA GETTY IMAGES
米国に中南米からやって来る移民は、過去10年以上にわたって減り続けている。米国勢調査局の最新統計によると、中国やインドからの移民の数がメキシコからの移民の数を上回ったことが分かった。では、もっと正確にはどのような人たちがやって来るのか。一言では言いにくいが、中国人大学生と20歳代のインド人が増加分の大きな比率を占める代表的な移民とみるのが妥当なようだ。
今月、米国人口学会の人口動態に関する年次会合で発表された国勢調査局の調査結果では、中国から最近米国にやって来た移民のうち大学生程度の年齢層が占める比率は、2005〜07年より11〜13年の方が多かったという。この調査はアメリカン・コミュニティー・サーベイ(ACS)のデータを利用した。ACSは海外で生まれたかどうかと1年前に海外に住んでいたかどうかを尋ねる。
国勢調査局によると、2005〜07年と11〜13年の2つの期間に移民がパーセント比率でみて最も増えた年齢層は、男女ともに15〜19歳と20〜24歳という結果となった。
これらの層はおおよそ大学に通う年齢にあたる。ただし、言うまでもなく中国からの若い移民の多くが大学に行かず、低賃金の職などに就いている可能性もある(中国からの移民の数字には香港、マカオと台湾からの移民も含まれている)。
一年前は外国に住んでいた中国生まれの米国移民の年齢構成
これはうなずける結果だ。米国の大学に入学する留学生の数は過去最高を記録しており、これには中国の富裕層が多く含まれているからだ。米国で学ぶ留学生(大学生が最も多い)の数は2010年に比べて50%近く増加しており、05年比では85%増えている。中国出身の学生は留学生の約30%を占める。
インドに関しては事情が異なる。国勢調査局の調査によると、インドから米国にやって来る移民の「年齢構成」は2回の期間ともにほぼ同一になった。2回の期間ではいずれも、移民は男女とも同じ20〜34歳、とりわけ25〜29歳の年齢層に集中していた。これらの層はキャリアの途上にある若い労働者か、あるいは高等教育を受けている大学院生だ。つまり、もっと年齢の高い人でもなければ大学生でもないし、ティーンエージャーでもない。
こういったインドからの移民の一部が、専門職者に発給される「H-1B」ビザで米国にやって来ているのは疑いないが、それが話の全てではない。雇用主がこの種のビザを求める件数は、議会が定めた供給量を上回る状態が長く続いている。
一年前は外国に住んでいたインド生まれの米国移民の年齢構成
ただし、注意すべき点がある。「年齢構成」の分析からはそれほど多くの分析を引き出せないことだ。人々が「大学生相当」の年齢だからと言って、全員が大学に行くわけではない。少なくとも米国では、若者は年齢の高い人よりも移動する傾向にある。このため、流入する移民に若者が多いのはあまり驚くことではない。
また、国勢調査局のデータのための質問は、海外で生まれたかどうか、1年前に海外に住んでいたかどうかを尋ねている。このため頻繁に米国に出入りしている人の動きはつかめていない可能性がある。国勢調査局はこうした結果について、さらに分析する計画だ。
こういった留意点のほかに、もう一つ興味をそそられることがある。それは11〜13年の調査で、メキシコからの移民の年齢が05〜07年の調査より上がっていたことだ。
一年前は外国に住んでいたメキシコ生まれの米国移民の年齢構成
これは長期的な変化の一環だ。メキシコの経済が(何年か前より)健全になり、出生率が下がったことで、合法であれ違法であれ(ACSでは移民の法的な立場を尋ねていない)、メキシコからの若い移民の伸びは鈍化している。昨今の移民に関する議論を聞いていると、多くのヒスパニック系米国人が最近米国にやって来たばかりの移民だと考えがちだが、実際の人数は比較的少なく、13年の時点では3分の1強に過ぎない。残りの人々は米国で生まれている。
結論は何か。国勢調査局のデータは、米国にやって来る移民の様相の変化に光を当てるものだ。つまり、アジア系(中国系、インド系や韓国系)が増え、アフリカ系もわずかに増えているが、ラテン系米国人や欧州系は減っているということだ。
一年前は外国に住んでいた米国移民の出身地域別割合
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