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TPPは「アジア版NATO」 ホーマッツ元米国務次官 安全保障超す枠組みに
米国務次官などを歴任し、2016年の米大統領選に出馬を表明したヒラリー・クリントン前国務長官の経済アドバイザーも務めるロバート・ホーマッツ氏が日本経済新聞と会見した。環太平洋経済連携協定(TPP)について、地域の安定に向けた枠組みという意味で「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」のようになるとの見方を示した。主なやりとりは以下の通り。
――TPPを巡る日米交渉が大詰めです。
「両国にとって非常に大きな意味を持つ。貿易、投資といった面だけでなく、地政学的な利益が途方もなく大きいからだ。その成功によってアジア・太平洋地域で米国の存在感も一層強まるだろう」
「欧州にNATOがあるが『アジア版NATO』はない。この地域にも同様の機構は必要だ。NATOのように安全保障に特化したものを意味しているのでなく、経済的なつながりや(地球温暖化などの案件で)幅広い協力のあり方などをTPP加盟国で協議できるような場を指している」
――中国の存在はどう位置づけられますか。
「中国にネガティブなものであってはならない。全ての加盟国が米国を相手としている以上に、中国と貿易していることからも明らかだ。TPPを『中国封じ込め』の策と見るべきではない。実際、そのようなことは不可能でもある」
「一方で(TPPは)地域の国々に『選択肢』を与える。米国が果たす大きな役割に、より確かな手ごたえを得ることにもなるだろう。地域間の協力・協議はTPPを礎とし、長い間続いていくことになるからだ」
――中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に動くなど新たな国際秩序の形成に積極的です。
「米国は当初の対応で間違っていたと思う。中国の呼びかけに『ノー』と言い、他国にも同様の対応を求めた。AIIBがどのような姿になるべきかを中国側と議論する機会を逸した。加盟せずとも、対話することで中国指導部の考え方に影響を与えられたはずだ」
「米国は欧州の同盟国にも圧力をかけたが、失敗した。結果、米国の『弱さ』だけが目に付いた。欧州各国は米国の意見にあまり耳を傾けなかった。中国が(欧州)各国にも影響力を持っているかのような印象すら与えてしまった」
――米国内では国際通貨基金(IMF)改革など第2次世界大戦後の国際システムの見直しに消極論が根強くあります。
「米国は数年前に気づくべきだった。しかし(オバマ)政権はIMFの投票構造を変えるための法案を(議会に)送らなかった。中国などには米国が21世紀の『現実』を受け入れようとしていないと映った。それがAIIB創設の動機の一つとなったと感じている」
――米国に巻き返しの手立てはありますか。
「21世紀の経済システムがどのようにあるべきかという課題について、本当の協議が必要になっていると思う。第2次大戦後(米国が構築した)グローバルなシステムから多くの国が恩恵を受けたことは間違いない。市場経済やルールを重視する考え方、透明性、競争における公平性などだ。新興国の多くがこれらを変えたいとまでは思っていないはずだ」
(聞き手は編集委員 春原剛)
[日経新聞5月2日朝刊P.6]
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