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ウクライナ経済 苦境深刻
ロシア、債務再編で圧力 支援国会議、日米欧は連帯強調
【モスクワ=古川英治、ブリュッセル=森本学】日米欧各国は28日、ウクライナの首都キエフで支援国会議を開き、ロシアから軍事、経済両面で圧力を受けて苦境に陥るウクライナとの連帯を強調した。東部の一部では親ロシア派武装勢力との戦闘が止まらず、ウクライナ経済は破綻寸前に追い込まれている。当面は債務の再編交渉の成否がカギとなる。
会議には日米欧や国際機関の首脳や高官が出席し、バイデン米副大統領もビデオメッセージを寄せた。支援強化と投資を訴えるウクライナのポロシェンコ大統領に対し、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は「ウクライナは欧州の国だ」と述べ、改革の断行に期待を示した。ドイツが14億ユーロ(約1800億円)の融資を表明したほか、米国なども追加の人道支援を約束した。
主要国が改めてウクライナ支援を打ち出したのは同国の経済情勢が悪化しているためだ。戦闘が続く中で、今年の経済成長率は前年に続き大幅なマイナスが予想される。足元の通貨フリブナの対ドル相場は1ドル=20フリブナ台前半で推移、年初から約3割下落した。国際通貨基金(IMF)主導の改革により公共料金を引き上げたこともあり、3月のインフレは年率40%を超えた。市民生活は逼迫し、ポロシェンコ政権の求心力は落ちている。
債務を巡る交渉は難航している。IMFが3月にまとめた400億ドル(約4兆8千億円)のウクライナ向け支援策はIMFが175億ドル、米欧などが75億ドルを拠出し、残りの150億ドルは民間に対する債務の圧縮などで捻出する内容。ウクライナ政府は債権者と交渉を続けているが、全体の約4割の債権を持つ米フランクリン・テンプルトンなどは削減に反対しているもようだ。
交渉の行方はロシアの出方に大きく左右される。ロシアは2013年、国営のファンドを通じて30億ドルのウクライナ国債を購入し、親ロ派ヤヌコビッチ前政権を支援した。ロシアはこの債権を国家間の貸し借りと主張し、条件見直しには一切応じない構えだ。
ロシアはさらに同債券購入時にウクライナの債務規模が国内総生産(GDP)の6割を超えた場合には今年12月の償還を前に即時返済を求めるとの条件も付けていた。ロシアがウクライナに返済要求を突きつけ、デフォルト(債務不履行)を起こせば、IMFの支援継続は危うくなる。
IMF支援プログラムは民営化などの改革を進め、債務規模をGDP比7割程度に維持することが柱。ロシアが支援する親ロ派が軍事圧力を強めれば、フリブナ相場が再び急落、経済成長率のマイナス幅も一段と広がりかねない。これではIMF支援は崩れる。ウクライナの現地エコノミストは「ロシアは経済も人質にしている」と指摘する。
[日経新聞4月29日朝刊P.7]
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