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撤退するアメリカと「無秩序」の世紀 5 アメリカ最大の敵は「社会民主主義」? 社会保障給付の増大で軍縮を続けるヨーロッパ
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/595.html
投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 02 日 09:28:13: tW6yLih8JvEfw
 

撤退するアメリカと「無秩序」の世紀
【第5回】 2015年5月2日 ブレット・スティーブンズ [WSJ外交問題コラムニスト・論説欄副編集長],藤原朝子 [学習院女子大学]

アメリカ最大の敵は「社会民主主義」?
社会保障給付の増大で軍縮を続けるヨーロッパ

米国の保守派に最大の敵を聞くと、なんと「ヨーロッパ」だという。社会保障給付の増大が招く軍縮はいまやアメリカにとって他人事ではない。『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』の著者でもあり、ピューリッツァー賞受賞・WSJコラムニストが分析する欧米の「社会民主主義化」とは。

米国タカ派の恐れる
「ヨーロッパ」化とは?

 伝統的なタカ派に、現代のアメリカで最大の脅威は何か聞いてみるといい。おそらくイラン、北朝鮮、中国、あるいはアルカイダの復活など、よく知られた敵を挙げるだろう。

 しかし自由主義的な新種の保守派に同じ質問をすると、「ヨーロッパ」という答えが返ってくるだろう。その背景には、アメリカがヨーロッパのような社会民主主義に傾けば、行きすぎた規制と課税と組合化によって、労働意欲は低下し、「ゆりかごから墓場まで」社会保障を求める要求が高まり、財政赤字は半永久的に拡大する、という不安がある。

 それは根拠のない不安ではない。イラクから撤退したのに、連邦政府の歳出は二〇〇七年からの五年間で一兆ドル以上増えた。不況は二〇〇九年六月に底を打ったはずなのに、オバマ政権発足時は三二〇〇万人だった食料配給券の受給者は、二〇一三年には四七〇〇万人に増えた。


 仕事探しをあきらめた人が増えたせいで失業率は低下したが、就業率は一九七八年以来で最低で、二〇一四年五月には六三%を切った。いまや社会保障費は連邦予算の六二%を占める。二〇〇二年からの一〇年間で社会保障給付は三五%、メディケイド(低所得者医療保険制度)の給付は四六%、メディケアは七〇%増えた。

 社会民主主義を最も長期的に実践してきたのは、現代のヨーロッパだ。そして社会民主主義が外交政策にどんな影響を与えるかが最もよくわかるのもヨーロッパだ。

 社会保障給付の拡大は、国防支出を圧迫する。兵士の装備を改善するか、年金を支払うかという選択に直面したら、有権者は例外なく年金を選ぶものだ。

 一九八八年はGDP比四%だったイギリスの国防支出は、二〇一二年には二・五%まで減り、その後も低下を続けている。フランスも同三・六%から二・五%に、ドイツは二・九%から一・四%に、イタリアは二・四%から一・七%に減った。

国防予算の半分が
人件費に充てられるフランスの謎

 それだけではない。社会民主主義では軍隊も福祉国家のようだ。アメリカ国防総省の予算で人件費(給与、医療保険、年金)が占める割合は三分の一程度だが、フランスは国防予算の五〇%が人件費に当てられている。別の言い方をすると、フランスの国防費五ユーロ当たり一ユーロが年金受給者に支払われている。

「統計的にはフランスには二三万人の軍人がいる」と、ウォールストリート・ジャーナル紙は二〇一三年に指摘している。「だが六ヵ月前の事前通知をすれば配置できる兵士は三万人しかいない」

 カナヅチを持たない国には、どんな問題もクギには見えない。ヨーロッパは外交政策に関して、一貫して「ソフトパワー」を好んできた。それは純粋にソフトパワーを信じているからでもあるが、ソフトパワーに代わる政治的選択肢がないからでもある。

 ヨーロッパの国々は、最近軍事力を行使した数少ない機会(二〇一一年のNATOによるリビアへの軍事介入と、二〇一三年のフランスによるマリ北部紛争介入)に、弾薬がすぐに底を突いてしまったことや、補給や諜報といったサポートが不十分であることに気がついた。それでも軍事費は増えなかった。ロシアのウクライナ侵攻でさえ、ヨーロッパの軍事費削減の歯止めにはならなかった。

「政府高官は危険に気がついているが」と、ワシントン・ポスト紙は二〇一四年三月に報じている。「政情が安定していた時代に採択された軍事費削減計画を撤回することにしり込みしている」。

 自宅を修復する必要があるからといって、近所が雑草だらけになっても困らないとは限らない。一九二〇年代のイギリスとフランスは、依然としてかなりの軍事大国と思われていたし、世界秩序の維持に少なくとも表向きは関心を抱いていた。

 いまパックス・アメリカーナがなくなれば、パックス・ヨーロッパもパックス・国連もありえず、善意の平和維持の担い手は存在しなくなる。可能性があるのはパックス・中国、パックス・ロシア、パックス・イランだけだ。それは魅力的な世界秩序とはとても思えないし、アメリカが国内の道路修理や財政赤字削減に集中できる環境ではなさそうだ。

http://diamond.jp/articles/-/70765  

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コメント
 
01. 2015年5月02日 15:43:42 : LBtbDXFoS6
そもそも人類にとって国家は何のために存在するのか?
国民同士、助け合って生きていくためなのか?
それとも他国と覇権を争って戦争するためなのか?
・・・ということだな。

いや、自分とこは助け合いで仲良くいきたいのだが、他所の国が「悪の軍団」のように、世界征服を狙うからしかたなく・・・

とお互いに言っていたら最後は核戦争だな。


02. 2015年5月02日 23:25:37 : Ma5RZiiuic
よく言うよ。1920年代のイギリスとフランスが何をしたって言うんだい
軍隊は何の為だったんだい。植民地利権を守る為じゃないか。それが彼らの世界秩序の維持だろうが
全世界から反対されたイラク戦争遂行、湾岸戦争では降伏したイラク兵殺して、劣化ウラン弾まいて、確かに石油メジャーや軍需産業にとっては魅力的な体制かも知れないな

03. 2015年5月03日 19:40:15 : Q4a2FyM5hw
アメリカ最大の敵として社会民主主義の欧州だと書いているが、だとしたらスウェーデンのパルメ元首相だと思う。

オロフ・パルメ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%A1

●ベトナム戦争に対するアメリカの介入に反対したり、ソ連のプラハの春の弾圧反対、南アフリカの人種差別政策反対、スペインのフランコ独裁政権に反対するなど、勇気の人でした。上のリンク先には書かれていませんが、南朝鮮のパク・チョンヒ軍事独裁政権の国民弾圧にも強硬に反対されていたことを覚えています。

パルメ元首相は謎の暗殺を遂げましたが、当方は当時からアメリカCIAの犯行だと睨んでいました。


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