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リビアとの国境 米と監視
チュニジア・シド首相会見 イスラム過激派警戒
【チュニス=押野真也】北アフリカ、チュニジアのシド首相は首都チュニスで日本経済新聞と会見し、治安が悪化する隣国リビアとの国境地帯で米軍と共同で監視活動を展開していることを明らかにした。主にリビア側からのイスラム過激派や武器の流入を警戒する。リビアで勢力を広げる過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)の勢いを抑える狙いもありそうだ。
チュニスの国立博物館では3月中旬、日本人3人を含む多数の外国人旅行者が殺害される襲撃事件が起きた。実行犯はリビアで軍事訓練を受けていたとみられている。
首相は「わが国の安全保障戦略はリビアとの国境(管理)から始めている」と指摘。このテロ事件後、米軍と過激派組織の動向に関する情報共有を進め、共同で「(航空機により)空から監視している」と述べた。リビアとの国境沿いに、監視のためチュニジア軍が駐屯する基地を多数設けていく計画も表明した。
リビアでは政教分離を重視する世俗派とイスラム勢力の2つの政府が正統性を競い、国家が分裂し、内戦状態に陥っている。混乱に乗じ、ISや国際テロ組織アルカイダなど多くの過激派組織が勢力を伸ばしている。
欧米をはじめとする国際社会にリビアへの軍事介入を求める可能性について首相は「危機が(チュニジアに)迫ればやむを得ない」との認識を示した。ただ、軍事介入の前に、リビア統一政府の実現に向けて2つの政府が政治対話を始められるよう支援すべきだとの考えも示した。「統一政府を樹立しなければ、ダーイシュ(ISの別称)は双方(の対立)を利用して」伸びると指摘した。
ISなどがインターネットの交流サイトを使って世界の若者を戦闘員として勧誘している実態には強い懸念を表した。欧米諸国のほか「インターネットの会社も(勧誘を抑止するため)協力すべきだ」と述べ、過激派のネット利用に一定の制限を加えるよう求めた。
チュニジアからは3000人以上がシリアやイラクに渡航し、戦闘に加わっているとされる。
チュニジアが加盟するアラブ連盟は中東や北アフリカ地域の紛争に対応するため「アラブ連合軍」の創設を決めた。首相は、連合軍にチュニジア軍の兵士を派遣するかどうかについては明言を避けた。
ハビブ・シド氏 1949年チュニジア北東部スース生まれ。チュニス大、米ミネソタ大を卒業し、75年農業省技師。2011年3月内相。15年2月から現職。65歳。
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シド首相の発言骨子
○リビアとの国境地帯を米軍と共同で監視
○同国境付近にチュニジア軍駐屯基地を多数設置
○米国、アルジェリア、フランス、イタリアなどとテロ情報を交換
○インターネットを通じた過激派の勧誘に対応が必要
○リビア統一政府の樹立が優先
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チュニジアとは
▼チュニジア 人口は約1100万人。公用語はアラビア語。旧フランス保護領。国家元首の大統領が指名する首相が行政を統括。天然資源は乏しい。1人あたり国民総所得は約4400ドル。日系企業は自動車部品関連など15社が進出し、在留邦人は約170人。
2011年の「ジャスミン革命」で長期政権が崩壊。この反政府デモがリビア、エジプト、イエメンといった中東・北アフリカ各国に波及し「アラブの春」と呼ばれた。
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観光、打撃大きく3月の首都テロ
【チュニス=押野真也】3月中旬のチュニスでのテロ事件では多数の外国人旅行者が犠牲になり、観光に大きな打撃を与えた。観光は同国の国内総生産(GDP)の15%を占める重要産業だ。事件後、クルーズ船の運航各社がチュニジアを寄港地から外した影響などで、チュニス近郊の観光名所で外国人観光客の姿はまばらだ。安定にはなお時間がかかりそうだ。
襲撃を受けた博物館は議会に隣接する。入り口には犠牲者の氏名や国籍を記したプレートと出身国の旗が掲げられる。展示コーナーではガラスケースや大理石の柱などに銃痕が生々しく残る。
チュニジアは2011年1月に独裁のベンアリ政権が崩壊。14年10月以降、議会選と大統領選を実施し、2月に正式政府が発足したばかり。観光や海外からの直接投資を誘致して経済再生に取り組む姿勢を見せていた矢先の事件だった。
チュニジアは民主的な選挙を経て正式政府を発足させ、中東の反政府運動「アラブの春」で唯一の成功例とされた。だが、失業や経済格差などの問題はなお残る。内陸部の若者の失業率は特に高く40%に達するという統計もある。首相も会見で「わが国は(11年の独裁崩壊で)自由を得たが、(国家の安定にはもっと)雇用が必要だ」と指摘した。
[日経新聞4月26日朝刊P.5]
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