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金に生産ピーク観測
15年以降 値下がりで収益悪化、新規鉱山開発に慎重
金の生産が2015〜16年に頭打ちになるとの観測が市場で広がっている。鉱山会社は相場の上昇とともに増産してきたが、値下がり基調に転じて収益が悪化、新規の鉱山開発に慎重だ。中長期的に生産がピークアウトした感も強まってきた。世界生産が減るなか、低い生産コストを武器にする中国の中小鉱山会社がシェア拡大に動きそうだ。
国際的な金の調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のリポートによると、14年の世界生産量は前年比2%増の3114トンだった。6年連続の増加で過去最高を更新した。ただ、リポートは「今後は鉱山プロジェクトの生産量が減少し、15年には頭打ちになるだろう」と付記した。WGCは、世界の鉱山会社が出資して設立された機関。生産者が自ら表明した減産のメッセージにも映る。
ゴールドマン・サックスも3月に「15年ピーク論」を唱え、減少に転じると予想。採掘可能な金は20年後に枯渇すると踏み込んで目算した。トムソン・ロイターも今月、発刊した年間リポートのなかで「15年は生産計画の後退が一因となって、生産量はおおむね横ばい」としている。
金は有史以来、五輪競技用プール3.5杯分(17万7千トン)が採掘された。金の鉱脈は1990年代半ばに発見のピークを迎えている。鉱脈は発見から20年後に生産が最大になるため、これから減少に転じるという見方がにわかに台頭した。
金相場の下落で採算が悪化した鉱山会社が新たな開発プロジェクトに踏み込めないという側面もある。国際指標のニューヨーク先物は11年9月に最高値の1トロイオンス1923.7ドルをつけて足元では1200ドルまで下がっている。
鉱山大手は相場上昇の局面で、買収を繰り返して規模を追求してきた。金ブームが去ると、保有する鉱山の減損処理などを迫られ利益は吹き飛ぶ。金鉱山最大手、カナダのバリック・ゴールドは14年度に29億ドルの最終赤字を計上した。最終赤字は12年度から3期連続となった。
世界の主要鉱山の生産コストは1トロイオンスあたり1000〜1200ドル前後で、現在の金相場とほぼ同水準。事業環境は厳しく「最近3年間は新規の目立った開発計画は出てきていない」とマーケット・アナリストの豊島逸夫氏は指摘する。
生産量を増やそうとしているのが中国だ。バリックのような大手が年間200トンを生産する一方、中国には10分の1の規模の鉱山会社が乱立する。生産コストは1トロイオンスあたり700〜800ドル。通常、鉱脈は地下500〜1000メートルにあるが、中国の場合、地下100メートルの浅い場所で採掘できるためだ。
金の国別生産量とは
▼金の国別生産量 中国は2014年に推計で約460トンの金を生産した。2位のオーストラリア(約270トン)に大きく水をあけて、8年連続で首位になった。ロシア(260トン)と米国(210トン)が続き、ペルー(170トン)の順だった。
中国は原則的に金の輸出を禁止している。生産した金は国外市場にはほとんど出回らず、市場では中央銀行などに積み上げられているのではと、臆測が飛び交う。かつて大量に金を採掘していた南アフリカ共和国は160トンほど。10年間で生産量が半分以下に落ち込んだ。通貨安でも資源の枯渇で生産量は回復していない。
[日経新聞4月17日朝刊P.18]
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