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2015.04.15
ロシアはイランに対する長距離地対空ミサイルS-300(NATO名はSA-10)の禁輸措置を解除するという。4月2日にイランの核開発問題について、ロシア、中国、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカがイランと「枠組み」で合意したことによる決定だという。
S-300は1979年から実戦配備されている防空システムで、そのレーダーは同時に100の目標を追跡できると言われている。アメリカは防衛のためだとしてロシアや中国の周囲に地対空ミサイルを張り巡らせているが、ロシアのイランへの売却にはイスラエルと同様、反発している。
イランと交渉していたバラク・オバマ大統領をネオコン/シオニストやイスラエルは激しく批判、イラン攻撃を主張している。合意が発表される直前、アメリカのアシュトン・カーター国防長官はバラク・オバマ大統領を牽制するような発言をしている。合意が成立してもイランを攻撃する選択肢を制限しないhttp://www.military.com/daily-news/2015/03/31/carter-says-iran-nuclear-deal-would-not-limit-us-military-option.htmlと語ったのだ。イランの壊滅を狙うサウジアラビアもイラン攻撃を主張している。
アメリカの議会で主導権を握っているのはこうした好戦的な勢力で、そのひとりであるジョン・ベイナー下院議長はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を大統領に相談せずに招待し、議会で大統領やイランを攻撃する演説をさせている。
こうした好戦派は今でもイランを攻撃するつもりで、タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、イランを攻撃するイスラエルの戦闘機の自国領通過をサウジアラビアは受け入れているhttp://www.timesofisrael.com/saudis-said-to-mull-air-passage-for-israeli-jets-to-attack-iran/#!という。その戦闘機にとってS-300は大きな脅威になる。つまり、ロシアはイスラエルやネオコンによるイラン攻撃にブレーキをかけるため、S-300の禁輸措置を解除したわけだ。
ネオコン、イスラエル、サウジアラビアがイランの前に取りかかったのがイエメン。空爆で破壊と殺戮を繰り広げる一方、政府の食糧倉庫を破壊、国連の許可を得て4万7000トンの小麦を積んでいた輸送船の入港を阻止するなど、例によって兵糧攻めをしている。
イエメンが狙われている理由は資源だけでなく、その位置にある。アラビア海から地中海へ抜けようとする場合、アラビア海からアデン湾へ入り、紅海を経由、スエズ運河を通過するのが通常のコースだが、スエズ運河と同じように、アデン湾と紅海の境目にあるのがバブ・エル・マンデブ海峡はネックになっている。非常に狭いため、容易に封鎖でき、石油など物資の輸送を止めることができる。
そのバブ・エル・マンデブ海峡はジブチとイエメンにはさまれている。ジブチは小さい国だが、アメリカ軍の拠点で、JCTF(統合連合機動部隊)約1800名が駐留、無人機の基地もあり、偵察だけでなく攻撃も実行されている。この国は海峡を守るために作られたとも言えるだろう。この国には自衛隊の拠点基地が約47億円をかけて建設されている。
イエメンを支配するため、サウジアラビアは2009年に特殊部隊や空軍を派遣してフーシ派を倒そうとしたのだが、目論見通りには進まない。このフーシ派は部族グループで、シーア派。イエメンのシーア派はザイド派で、人口の約40%を占め、シーア派の中ではスンニ派に近く、イランとの関係は深くない。
アメリカやサウジアラビアはこうした構造を破壊するため、傭兵であるアル・カイダ系の武装集団を投入したものの、フーシ派は勢力を拡大、サウジアラビアは大々的な空爆をする必要に迫られたということのようだ。
そのサウジアラビアはスンニ派のワッハーブ派。この宗派が登場した18世紀以来、イブン・サウドの一族と密接な関係を維持している。アル・カイダ系の武装集団に参加している戦闘員の多くはワッハーブ派だ。
イエメンがどうなるかはともかく、ネオコン、イスラエル、サウジアラビアはイランを軍事的に葬り去ろうとしている。中東/北アフリカに対する政策でオバマ大統領はネオコンと対立しているようだが、ウクライナでは差が見られない。軍事力を前面に出し、場合によってはロシアとの戦争も辞さないという姿勢だ。イランに対してオバマ大統領の周辺とネオコンが手を組む事態もありえる。そうなれば戦争だが、その前にS-300が立ちふさがることになる。
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