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2015年04月09日
古村治彦です。
共和党の大統領選挙候補争いで、ケンタッキー州選出のランド・ポール連邦上院議員が正式に出馬を発表しました。このことに関する記事をご紹介します。
ランド・ポールはリバータリアン的な考えに基づいて、外交政策に関して独自の意見を表明してきました。共和党のネオコン、民主党の人道主義的介入派とは全く違う考えで、彼が大統領になれば、「大きな戦争」は避けられる可能性があります。しかし、そのような人物だからこそ、残念ですが大統領にはなれないでしょう。
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誰がランドの側に立つか?(Who Will Stand With Rand?)
―米大統領選挙への出馬表明の中で、ランド・ポール(Rand Paul)は、ネオコンとハト派との間に新しい道筋を切り開こうとしている
ジョン・ハドソン(John Hudson)筆
2015年4月7日
『フォーリン・ポリシー』誌
http://foreignpolicy.com/2015/04/07/who-will-stand-with-rand/
4月7日の火曜日、ケンタッキー州ルイヴィルで歓声を上げる支持者たちに囲まれながら、ケンタッキー州選出連邦上院議員ランド・ポール(Rand Paul、1963年―)はホワイトハウスを目指すことを公式に発表した。彼は選挙活動を通じて、共和党がリバータリアン的な世界観を本当に求めているのかを試すことになる。
26分間の演説の中で、ポールは、様々座な国内政策について語ったが、減税、均衡財政、そして学校の選択といった内容で、共和党の正統派の考えと同じものを示した。
しかし、外交政策に関しては、バラク・オバマ(Barack Obama)政権の批判の対象となる理想主義(idealism)とジョージ・W・ブッシュ前政権の正反対の軍事優先主義(militarism)との間の道筋を切り開こうとした。ポールは、共和党内部で勢力を回復しつつあるネオコンから厳しい批判を受けている。
ポールはルイヴィルで集まった支持者たちに次のように語った。「アメリカは外国からの侵略を防ぐのに十分なほどに強力であると考えている。しかし、不必要な介入を避けるほどには賢くない。私たちは自分たちの力で自分たちを守らねばならない。しかし、私たちは、私たちが1人の人間であることの前提を放棄してはならない。私たちは、この悪に対する長い戦いの中で、権利章典(Bill of Rights)を無効化してはならないのである」
ここ数カ月、ポールは共和党内部のタカ派からの度重なる攻撃を跳ね返してきた。ポールが政府の国民に対する調査活動に懐疑的な態度を示し、アメリカの軍事介入に対する明確な批判を行い、イランの核開発プログラムに関する外交における解決を支持してきたことに対して、タカ派は「ポールはアイソレーショニスト(isolationist)だ」とレッテル貼りをしようとして来た。
火曜日、共和党系のある非営利団体が密かに100万ドルをかけた、ポールに対する批判キャンペーンを開始した。この団体はポールを「間違ったことを行い、危険な存在だ」と批判している。
ジョン・マケイン(John McCain)連邦上院議員のスタッフを務めた人物が率いる組織「ファウンデイション・フォ・ア・セキュア・アンド・プロスペラス・アメリカ(Foundation for a Secure and Prosperous America)」は新しいテレビコマーシャルを流し始めた。その中で「ランド・ポールに伝えよう。オバマの味方をするな、と。たとえイランが1発でも原子爆弾を持てば、それはアメリカにとっての悪夢と厄災になるのだから」と訴えている。
ランド・ポールは、テキサス州選出の連邦下院議員であった父親ロン・ポール(Ron Paul)から引き継いだリバータリアン的な基盤を放棄することなく、共和党内のタカ派の中で支持を拡大させようという戦略を採っている。しかし、現在までのところ、この戦略はうまくいっていない。データ・ジャーナリズム・サイトである「ファイヴ・サーティー・エイト」の最新の分析によると、ポールが共和党内部のエスタブリッシュメントに対する支持拡大はうまくいっていない。彼の共和党幹部の間での支持率は上昇していないし、彼が支持率を上げているのは、共和党内部で主流派ではないリバータリアンたちの間である。
「ファイヴ・サーティー・エイト」のアナリストであるハリー・エントンは、「ポールは夢想の中では、全員を満足させることができるのだろうが、現実の世界では、結局のところ誰も満足させることが出来ない」と書いている。
ランド・ポールは、自分とオバマの遺産が結び付けられて攻撃されることに対して神経質になっており、火曜日の演説では、オバマ大統領の外交政策に対して批判的であった。ポールは、特にオバマが「急進的なイスラム」に対して批判を行うことに躊躇している態度を取っていることを強く批判した。
ポールは次のように述べた。「私たちは敵を明確にするまでは、戦いに勝つことはできない。敵は急進的なイスラムだ。ここは避けて通れない」。
ポールはイランとの核開発を巡る一時的な合意に関してアクロバティックな動きを見せている。これは、タカ派とハト派との間の道筋を歩こうとしていることを示している。保守派からの批判を受けて、ポールはホワイトハウス、イラン政府、そして5つの大国との間で到達した合意に対して懐疑の姿勢を明確にした。
ポールは次のように語った。「私が懸念しているのは、イラン政府が合意について私達とは違った解釈をするのではないかという点だ。彼らは私たちが言っていることとは全く正反対のことを声明の中で述べている」。
しかし、ポールは同僚の共和党所属のボブ・コーカーと共同で法案を提出したことを明らかにした。この法案はイランとの最終的な合意に対して議会による見直しを盛り込むものであった。これに対してホワイトハウスは反対を表明している。同時に、ポールは大統領がイランと締結する合意に対して反対票を投じすることはないとも述べた。彼以外の共和党の大統領候補者たちは全員反対票を投じることを明らかにしている。
ランド・ポールは過去の発言を繰り返した。彼は膨れ上がった予算と外国への援助予算に関してホワイトハウスを批判することで共和党内部のタカ派をなだめようとした。
彼は「中国から金を借りて、その金で軍隊をパキスタンに送るような形で、我が国の力を世界に拡散することはしない」と述べた。
ランド・ポールは連邦上院の外交委員会のメンバーであり、エジプトやパキスタンのような反アメリカ的な態度を取る、もしくは独裁的な体制の国々に対する援助を差し止めようとしてきた。偶然だが、ランド・ポールの演説の1日後に、国務省はパキスタンの要請に応じて、アメリカ製のミサイルと対ヘリコプター攻撃兵器の購入のために10億ドルを提供することを決めた。
しかし、ランド・ポールはここ数カ月、よりタカ派的な姿勢を取って来たが、彼は全面的にタカ派になった訳ではない。火曜日、リバータリアンとタカ派との間の狭い穴に針を通そうとして、眼科医でもあるポールは、共和党の幹部であるミッチ・マコネルとジョン・ベイナーとライヴァルであるマルコ・ルビオとジェブ・ブッシュとは反対の立場を取り、政府による無制限の捜査といった彼の中心的な話題にも言及した。
ポールは「令状なしでアメリカ国民の電話の通話記録とコンピューター記録を捜査することは、非アメリカ的であり、私たちの市民的自由に対する脅威である。貴方の電話での通話記録は貴方だけのものだ。法を遵守している国民の通話記録は政府が触って良いものではないのだ」と高らかに宣言した。
ランド・ポールは遠回しの表現で、オバマ政権が困難な中を進めてきたイランとの核開発を平和的に解決するための交渉を擁護した。これは交渉に対して批判を続けてきた共和党にとっては愉快なものではない。
ポールは次のように述べた。「私たち全員が認識しなければならないのは、交渉が悪いことではないということだ。私たちの目標は、常に平和であって、戦争ではないし、常にそうあるべきだ」。
多くの人々は、ランド・ポールが共和党を構成している福音主義者、小規模な自営業者、ウォールストリートの金融機関の幹部、リバータリアンといった幅広い人々を糾合できるかどうか疑っている。それでもポールは、共和党内部には外交政策におけるリアリストが存在できる空間があると主張している。
火曜日、彼は聴衆たちに対して一つのスローガンを示した。それは「国内でも国外でも、制限された政府」というものであった。
演説の終盤で、ポールは「国内において、保守派は政府自体が問題であって、解決策とはならないことを理解しているのだ。保守派の人々は、国内をうまく運営できない政府でも外国の制度の整備を成功させるという考えを支持すべきではない」と述べた。
(終わり)
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