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米国土安全省が動いた月子中心問題 中国人「不法増加」対策に米国が本腰
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投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 08 日 15:40:11: tW6yLih8JvEfw
 


米国土安全省が動いた月子中心問題

中国人「不法増加」対策に米国が本腰

2015年4月8日(水)  福島 香織

 3月初旬、米国・カリフォルニア州で、中国人専用のマタニティホテル(月子中心)の摘発が相次いだ。3月だけで40前後の月子中心が摘発されたという。米国は国内で子供を産むと、親の国籍に関わらず、生まれた子供は米国籍が与えられる出生地主義の国だ。日本やドイツなどは親の国籍と同じ国籍が与えられる血統主義の国だ。中国では、わが子に米国籍を与えたいために、わざわざ米国に観光ビザで入国し、出産する出産ツアーが大流行りで、月子中心は中国人や在米華僑が米国内で運営している、中国人出産ツアー客の受け入れ施設である。2012年で年間1万人、2013年には年間2万人の中国人女性が米国で出産し、わが子を米国市民にしているという。なぜ、中国人は米国で子供を産みたがるのか。そして、なぜ米国は、月子中心の摘発に力を入れているのだろうか。

香港から米国へ、手っ取り早く外国籍を

 中国人がわが子に外国籍を取らせるために海外で出産することは、今に始まったことではない。以前は香港に出産目的で中国人妊婦が大量に押しかけ、産婦人科病院のベッドが中国人客に占領されてしまい、香港人の出産用ベッドの確保が困難になるといった社会問題が起きたほどだった。香港は中国に返還されているが、一国二制度により中国本土とは異なる政治体制の香港市民権を取得することで、一人っ子政策の適用外とみなされる。また、中国パスポートよりも海外旅行や海外移住が容易になるのだ。2011年、香港の新生児9万5000人余りのうち40%は中国本土から出産旅行に訪れた妊婦が生んだ赤ん坊だった。このことから2012年から香港当局と中国政府双方が、香港への越境出産の制限と取り締まりを強化した。

 香港での越境出産が困難になり始めると、にわかに人気が出だしたのが米国への出産ツアーだ。香港よりはツアー費用がかかるが、米国で出産すると、その子供が21歳になれば、親や兄弟も米国の永住権が取得できる。子供が未成年の間、その世話を理由に親の米国滞在許可も下りやすい。習近平政権が嵐のような反腐敗キャンペーンを展開する中、権力と財産を持つ富裕層たちは、いつ汚職を暴かれ、権力と財産を没収されるかわからない恐怖におののいている。逃げ道は海外に財産を移転するとともに一族の海外移住をはかることだが、合法的に米国に拠点を持つには、米国で出産し、子供を正式に米国市民とすることが、一番確実かつ手っ取り早い、という話になる。

 「米国出産ツアー」費用は医療費・諸経費込みでは1万5000ドルから5万ドルという。中には10万ドルを超える豪華ツアーもあるという。出産ツアーを主催するのは月子中心で、そのホームページの説明では、ツアー期間は約4か月。妊娠7か月目に観光ビザで入国、指定の医療施設で出産し、産後1か月は月子中心のケアを受けるのが一般的だ。中国では産後1か月は「座月子」という、伝統的な産婦の過ごし方がある。母乳が出やすいように飲む中国の薬膳スープや食べ合わせ、水をそのまま飲んではいけない、といった禁忌がある。この妊産婦のケアをする女性を月嫂と呼ぶ。出産ツアー費用のほか、月嫂には10万円から20万円に相当するチップを支払うのが習慣だという。

 米国出産ツアーのウリは、もともと地元に根付く華僑社会の支援を借りて、英語が話せなくとも、快適に出産を行い、出生手続・国籍取得手続きを代行し、しかも中華伝統の「座月子」ケアを受けることができる点らしい。

中国人出産をターゲットに大摘発の理由

 こうした米国の月子中心は2004年ごろから登場し、2008年には年間4200人以上の中国本土からの妊婦を受け入れ出産させた。これが2012年になると1万人を超えるようになった。このほか、米国領サイパンでも、出産ツアーが増え、2012年にサイパンで生まれた新生児の7割以上が中国人を両親に持つ。サイパンは中国人でも観光目的なら45日間、ノービザで滞在できるし、渡航・出産費用も米国本土の3分の1ほどと安価なので人気らしい。ただ、サイパンは自治領であり、サイパン生まれだと、米国の国会議員や大統領になるなどの政治的権利は与えられていない。

 米国籍取得目的の出産ツアーは中国だけの話ではない。子供の徴兵制逃れのために米国籍取得を望む韓国の富裕層の間でも人気であるし、日本にも米国籍を子供に取らせるための海外出産を実行する女性はいるらしい。本来なら観光費だけでなく高額医療費も落としてゆく外国人の海外出産ツアー客に対しては米国当局も見て見ぬふりをしていたところもあった。だが、米国は今年になって、中国人の渡米出産に対して、これまでにない大規模な摘発を行ったのだった。これはいったいなぜなのだろう。

 今回の摘発の主管は米国土安全省だという。これはテロや自然災害など、あらゆる脅威から国土の安全を守るオールハザードアプローチを目的に2002年に設立された政府機関だ。とすると、米国で出産する中国人は米国の国土の安全を脅かす脅威ということなのだろうか。

 摘発の表向きの容疑は「ビザの虚偽申告」である。だが、米国憲法では米国内で生まれた新生児に米国市民権が付与されることは決められているし、妊婦へのビザを制限する法律もない。そもそも全米で出産する外国人は毎年多いときで30万人ほどいるのだという。なぜ、中国人だけがターゲットになるのか。

脱税とマネーロンダリングを阻止せよ

 ウォールストリートジャーナルによれば米国連邦調査局の潜入捜査員が中国出産ツアーに潜伏して調べたところ、中国の仲介業者は、この妊婦を装った潜入捜査員に、虚偽のビザ申請の際に、虚偽の収入状況を申告するように指示し、またハワイから入境するように提案した。なぜならハワイの入境審査はロサンゼルスよりも甘いからだという。

 また、多くの月子中心は在米華僑の業者が関わっており、移民詐欺、脱税、虚偽の外国口座申告などの容疑があるという。華僑業者による中国人出産ツアーは、米国における一つの産業として確立しており、南カリフォルニア州だけでも月子中心は200以上、ニューヨークでも200以上の中国人専門の妊産婦ケア施設があるらしい。数があまりにも多すぎて、しかも、大勢の華僑市民が関わっている「産業」となっているため、もはや郡の自治体レベルでは簡単に取り締まることもできないほどだとか。

 連邦政府は、外国人の渡米出産自体を問題視しているのではなく、華僑ネットワークにより産業化している月子中心の違法経営を問題視していると見られている。最大の違法性は脱税とマネーロンダリングだという。ただ、中国から秘密裡に財産を持ち出し、米国の華僑ビジネスをくぐらせることで、中国で違法に蓄財した財産を洗浄し中国国外に避難させる資金洗浄を行うカラクリは証拠がつかみにくい。なので、ビザ目的の虚偽申請を取っ掛かりに捜査の糸口をつかみたいようだ。

 また、ツアー参加者の収入を実際より低く申告して米国市民の税金による福祉資産を採取している事実は今回の摘発で徐々に明らかになっている。

 国土安全省の調べでは、多くの妊婦が月子中心に5万元以上の費用を支払うが、月子中心が支払う医療保険申請は、最低収入家庭が加入するものばかりだという。そうすると本来、産婦が負担する2.5万ドルの出産医療費は4000ドルになる。あるカリフォルニア州の大手月子中心では、こうした方法で年間400人の中国人を出産させた。単純に計算すれば840万ドルの米国福祉資産を詐取したことになる。

 さらに言えば、多くの月子中心は、営業許可証もなければ、飲食業の資格もなく、妊産婦のケアをする月嫂は本来、保育師や看護師に相当するはずだが、やはり何の資格もない。こういう商業性のある施設の運営は普通住宅では行えないが、ほとんどの月子中心は民家を借りて運営されている。月子中心側は、「座月子」という中国独特の妊産婦ケアに相当する職業概念が米国にないために、資格申請のしようがない、という言い訳をしているが、限りなくグレーゾーンの商売でもある。

 中国国内での月子中心の出産ツアー募集広告では、最新の新生児ケアのノウハウを持っている保育師や看護師、栄養師がそろっている、最新の設備がそろっている、といった宣伝もおこなっている。そうした宣伝のほとんどが虚偽であり、米国側からだけでなく、中国国内でも月子中心が中国人を騙していたという批判が高まっている。

実は国家意識も民族意識も希薄な人々

 こういった月子中心問題の背景には、カリフォルニア州などの華僑社会の勢力の増長もあると指摘されている。中国人は米国籍を持ちながらも、心は「中国人」のままであり、米国に対する忠誠心や米国市民としての責任感よりも、一族同胞の利益を優先させる。

 もっともこの「中国人らしさ」とは、中国という国家に対する愛国心や忠誠心、あるいは中国人としての団結力とは少し違っている。3月の月子中心集中摘発の背景には、過当競争ぎみになってきた同業者同士が、ライバルつぶしのために脱税や違法性の情報を当局にタレ込んだせいもあるという。中国政府や中国人民自身、子供に外国籍を取らせ、海外逃亡や資金移動の拠点としようとする富裕層のやり方を愛国的でない、非国民と批判しており、米国の今回のアクションについても中国では、肯定的に報じられている。つまり、中国人は中華民族としての団結力や中国に対する愛国心とはまた違う、個人と血族を中心とする利益ネットワークの中で生きている。実は国家意識も民族意識も希薄な人々といえる。

 中国で米国出産ツアーの是非がメディア上で議論されるようになったのは、CCTV元人気キャスターで今年2月末に、大気汚染告発動画をネット上の動画サイトにアップして中国全土および国際社会に衝撃を与えた環境ジャーナリスト・柴静が、2014年2月に渡米して女児を出産したことがきっかけだろうか。中国の環境汚染のひどさをつぶさに見て来た彼女が、海外出産を選択したのはわかる気がする。メディア上では「わが子に将来、米国大統領になるチャンスを与えたかった」とユーモアたっぷりに語っていた。この時、「愛国心はないのか」「金持ちの特権ではないか」という批判も大きかったが、「個人ができる範囲で幸福の追求をしてなぜ悪い。中国人には幸福になる権利はないのか」という声もあった。

中国系米国人の増加が米国の脅威に

 渡米出産について、肯定派も金持ちの特権と批判する人も、多くの中国人は、本音では中国で子供を産みたくないのだ。いつ巻き込まれるかわからぬ権力闘争、改善の兆しが見えない環境汚染、努力が報われぬ不平等社会。こんな国でわが子を幸せにできないと思っている。一方、米国では米国市民権をもつ誰もが一応、大統領になる夢を見ていい。アフリカ系米国人大統領も登場したのだから、近い将来、中国系米国人の大統領が登場しても不思議ではない。

 だが、たとえ米国籍を取得しても心が中国人のままであれば、彼らに米国をより良くしていこうという市民としての責任感は育たないかもしれない。それどころか、米国の都市資源や福祉資源を詐取しようと悪知恵を働かす可能性もあるわけだ。月子中心問題は、その「中国人らしさ」の縮図にも見える。なるほど、この問題について、国土安全省が動くわけである。中国系米国人の増加そのものが、米国の脅威と言えなくもないのだ。

このコラムについて
中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20150406/279649  

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