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ドイツの憲法裁判所は、教員の宗教的シンボル着用を一律に禁止している北ラインウェストファリア州の法律を無効にする判決を下した。この判決は、宗教や信仰に基づく差別と闘う大切な一歩といえよう。
この件は、州立学校の女性教員2人が憲法裁判所に提訴していたものだ。2人ともトルコ系のイスラム教徒で、職場でヘッドスカーフを被っていて、差別的待遇を受けていた。
同州は2006年、教員がいかなる政治的・宗教的見解も表現してはならない旨を州の学校法に組み入れた。この禁止の狙いは州の中立性と学校の秩序だった。しかしキリスト教や西欧の価値観や伝統を表すシンボルは例外だとしていたため、教員はこうしたものを身に着け続けられた。学校法の変更を受けて、学校当局は2人に職場ではヘッドスカーフを取るように伝えた。一人はスカーフの代わりに頭髪と耳を隠す帽子の着用を提案したが当局はこれを拒否し、警告書を出した。もう一人は2006年8月に警告書を受け取ったが、従わなかったため翌年2月に解雇された。
学校法に盛り込んだ禁止条項は、ドイツ憲法の第3条3項(法の下の平等)と33条3項(平等な公共サービス)に反すると憲法裁判所は判断した。憲法裁判所は、宗教的シンボル着用による政治的・宗教的意見表明の禁止は、そうした意見の表明が州の中立性や学校の秩序を脅かす恐れが具体的にある場合にのみ可能だと断じた。意見表明の一律禁止は差別的な取扱いであって客観的にみて正当化できない。さらに、憲法裁判所はキリスト教徒、西欧の価値と伝統の表明を例外としているのはまさに差別だと判断した。
同様の法律は、バーデン・ヴュルテンベルグ、ババリア、ニーダーザクセンなど他の多くの州にもあるが、バーデン・ヴュルテンベルグ州のように、キリスト教の見解や伝統のシンボル着用に対し例外的に規制を甘くしているところもある。
現在、欧州の企業や教育現場でみられる宗教的シンボル禁止は差別的であり、影響を受けるのはイスラム教徒であることが多い。
EUの反差別法によれば、職務上必要な場合にのみ、対応を変えることは正当化される。残念なことに、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダでは、雇用主が「会社のイメージにそぐわない」とか、「顧客の満足度に悪影響がある」などとしてイスラム教徒の女性を解雇したり、雇用を拒んだりしてきた。
州立校の教員など、公職者は、不偏不党で職務を遂行しなければならない。しかし、だからと言って、宗教的シンボルの着用の一律禁止を合法だとみなすことはない。規制は、状況に応じて判断すべきである。そして国際人権法に照らして合法的な目的達成に明らかに必要で、他と宗教などとの均衡がとれている場合にのみ制約が許される。ドイツ憲法裁判所の判断はこの考えに沿っている。
アムネスティ国際ニュース
2015年3月19日
http://www.amnesty.or.jp/news/2015/0401_5227.html
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