http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/355.html
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ウクライナは、クリミア半島のロシア再領有を契機として南東部でもウクライナからの独立の気運が高まり、犠牲者の大半が住民という内戦を1年近く続けてきた。
昨年9月の合意では至らなかった停戦がようやく現実化される状況にあるが、キエフ政権内部で新たな問題が発生した。
それは、ポロシェンコ大統領と並ぶウクライナ新興財閥の盟主であるコロモイスキー氏の“反抗”である。
ポロシェンコ大統領にドニエプロペトフスク州知事に任命されたコロモイスキー氏は内戦で勇名を馳せているアゾフ大隊をはじめ戦車部隊まで擁する本格的軍事組織を“私有”している。コロモイスキー氏は、右派セクターの“偉大なるパトロン”といえる存在である。
知事になったコロモイスキー氏は、すぐさま、アゾフ海に面した地域を除く1900Kmの露ウ国境に「壁」を建設し、装甲車両などが近づけないよう外側に濠を掘り、さらにいちばん外側には有刺鉄線を張り巡らせる計画をぶち上げ、その費用を負担すると豪語したことで大きく名をあげた。
スイスに住みウクライナとイスラエルの二重国籍を持つユダヤ人であるイゴル・コロモイスキー氏は、ウクライナで製鋼・銀行・ガスなどの企業を所有し、ウクライナ・ユダヤ人協会の指導者としてユダヤ系放送局も所有している。また、ウクライナ・ユダヤ人協会を基盤に、欧州ユダヤ連合の創設も試みている。
そのような人物がネオナチに資金援助を行ったり自分の軍事組織メンバーにナチス親衛隊マーク(SS)が描かれたヘルメットを被らせているのは“愛嬌”(ヒトラーと同じ)だが、ポロシェンコ大統領が露や独仏とまとめた停戦合意に反旗を翻し、ウクライナの全面勝利まで戦闘を続けると宣言し、東部地域からの撤退を拒否し続ければ、ウクライナを混乱に陥れる可能性が高い。
コロモイスキー氏は、昨年4月2日に起きた「オデッサの虐殺」にも関与したと言われている。
(ウクライナ暫定政権支持勢力が、クーデタ政権に反対する親ロシア派が占拠していたオデッサの労働組合会館に放火したことで38人の死者を出した事件)
ポロシェンコ大統領が停戦合意を遂行するためには、アゾフ大隊を中心としたコロモイスキー氏の“私有軍隊”を撤退させなければならない。アゾフ大隊などが、撤退せず、親露派や親露派地域住民に攻撃を続ける事態になれば、停戦がご破算になるだけで済まず、独仏からの“お叱り”やロシア軍の介入を招きかねない。
その一方で、ポロシェンコ大統領が下手な対応に踏み切れば、コロモイスキー氏の軍事組織との内戦に向かう可能性もある。
ポロシェンコ大統領は、非常に難しい政治的判断を強いられていることになる。
また、ウクライナはロシアの比ではないほど経済的疲弊が深化しており、最近の世論調査では、発足時には54.7%あったポロシェンコ大統領の支持率が19.4%まで急落している。そして、ウクライナ国民の67%ほどが国策の方向性に不安を抱いている。
ウクライナの現状を“公式”的な観点で説明したが、その内実は、欧米諸国+ロシア+ウクライナによる合作劇であり、演目は、「欧州諸銀行救済とクリミア半島露再領有の交換をベースとしたウクライナ危機」である。
※ 参照投稿
「デフォルトを嫌う金融家のため、危機を頼りにする軍需産業のため、「東西」の合作で分断と対立を煽られたウクライナ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/467.html
「ウクライナ情勢の今後:軍事的対応はハナからなしだが、実質的経済制裁も避けたい欧米先進国:焦点はウクライナ東南部地域の“地」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/169.html
「ウクライナ危機で問われるNATOの意味:存在意義が自覚される契機になることでNATOを救ったロシアのクリミア併合」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/445.html
- ポロシェンコ大統領 寵愛を失ったコロモイスキー知事を解任 tk 2015/3/27 22:14:08
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- アングル:ウクライナ債務、大幅な元本減免不可避か あっしら 2015/3/27 18:37:26
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