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中国主導のインフラ銀行を拒絶する愚 キャメロン首相の凡ミスの代償  英フィナンシャル・タイムズ
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/338.html
投稿者 rei 日時 2015 年 3 月 26 日 17:21:01: tW6yLih8JvEfw
 

中国主導のインフラ銀行を拒絶する愚
2015.3.26(木) Financial Times
(2015年3月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

アジアインフラ投資銀行に米国が参加なら「歓迎」、中国高官
2014年10月、中国・北京の人民大会堂で行われた国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」設立に向けた覚書の署名式〔AFPBB News〕
 英国は中国版世界銀行の一部になるとも指摘される金融機関の創設メンバーになることを選び、米国を苛立たせた。しかし、だからと言って、英国が不適切な決断を下したことにはならない。確かにリスクがないわけではないが、これはむしろ賢明な決断だ。

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)は500億ドルの資本金でスタートし、その後1000億ドルまで増資が行われる可能性がある。アジア大陸の発展途上国での道路や鉄道といったインフラ整備に資金を融通するという。

 中国が筆頭株主になる予定で、多くのアジア諸国が参加する。アジア以外の国々も参加できるが、その出資割合は25%に制限される。欧州では英国のほかにドイツやイタリアなどが参加申請することを決めた。オーストラリア、日本、韓国はまだ決めかねている。

 AIIBは貴重な貸し手になる可能性を秘めている。アジアの発展途上国は、このようなインフラ投資を切に必要としている。リスクがあって期間も長いプロジェクトとなれば、そこに投じられる民間の資金は存在しないか金利が高いかのどちらかである場合が多い。

 また、世界銀行とアジア開発銀行の資源は、途上国のそうしたニーズに比べればかなり不足している。

AIIBの創設は朗報

 従って、中国が3兆8000億ドルに上る外貨準備高のごく一部をAIIBに投じたいと思っていることは良いニュースだ。しかもその投資を、中国がどれほど強い発言力を持つとしても、多くの参加国の1つになる多国間機関で行いたいと言っていることは、なお良いニュースである。

 AIIBはグローバルな運営スタッフを抱えることになり、その結果、中国が資金を全額拠出する場合よりも政治色の薄い金融機関になるだろう。

 こうした理由から、AIIBには米国も参加すべきだ。ホワイトハウスはこれに対し、参加したいのはやまやまだが、現在の連邦議会から承認を得られる見込みはないという答えを返してくるかもしれない。確かに、そうかもしれない。しかし、それは、他国の参加に反対する根拠にはならない。

 それでも、不可解なものだとはいえ、米国には主張がある。西側諸国は外側にいることでもっと大きな影響力を行使できるという。米国のある政府高官は、「中国が拒否権を保有しないことに確信が持てない段階で参加する」よりは外側にいた方がいいと述べている。

 しかし、外部の資金を必要としない金融機関に外部の者が影響力を及ぼすことはない。影響力を行使したいなら、内側に入り込むしかない。確かに、参加の条件に欧州勢が事前に同意していればもっと良かっただろうが、今さらそれを言っても始まらない。

 米国のジャック・ルー財務長官は、AIIBは組織の統治や融資に関する「最も厳しい国際標準」に従わないのではないかという米国の懸念を表明している。

 かつて世界銀行のスタッフだった筆者としては、苦笑せざるを得ない。世銀が関与したぞっとする事例は少なくないが、例えばザイールのモブツ・セセ・セコへの資金提供で世銀がどんな役割を果たしたか、一度調べてみることをルー長官にはお勧めしたい。

 確かに、中国の主導する銀行が清廉潔白な金融機関であればそれに越したことはない。しかし、この世界はもう汚れてしまっている。少なくとも、多くの国々が参加する方が、そうでない場合よりもましだ。

 米国は、既存の機関との競争が始まることに確かな根拠を掲げて反対することもできない。確かに、貸し付け基準の切り下げ競争になるリスクはある。しかし、面倒な上に不必要な手続きが一掃される可能性もある。

米国の真の懸念に対する4つの答え

 世界経済に対する米国の影響力を弱める機関を中国が立ち上げるのではないかという懸念が、米国の本音だ。以下では、この懸念に4つの答えを提示しよう。

 第1に、米国、欧州諸国、そして日本は、グローバルな金融機関に対する一定の影響力を大事にしているが、その影響力と、世界におけるこれらの国々の地位とのギャップは次第に大きくなってきている。

 さらに、これらの国は国際機関の運営において、やるべきことをきちんとやってこなかった。特に、リーダーを指名する権利にこだわってきたが、そうしたリーダーが常に素晴らしい実績を上げてきたとはとても言えない。

 第2に、国際通貨基金(IMF)で一部の国々が過大な影響力を持っている状態を緩和するために出資割当の仕組みを改革することについて、20カ国・地域(G20)が合意してから5年になる。世界はまだ、米国連邦議会がこの改革を批准するのを待っている。これは責任の放棄である。

 第3に、途上国に長期資金が大量に流入すれば、世界経済は恩恵を享受するだろう。また、資本流入の「急停止」に見舞われた国々にIMFよりも大きな保険を提供する機関ができることも、世界経済の利益になるだろう。

 世界の外貨準備高は、21世紀に入った時には約2兆ドルだったが、今日では12兆ドル近くに達している。これに対し、IMFが利用できる資源は1兆ドルに満たない。規模が小さすぎることは明らかだ。

 中国の資金は、世界を正しい方向に向かわせる可能性を秘めている。実際にそうなれば、これは素晴らしいことだ。

 最後に、米国は台頭する超大国たる中国への「絶え間ない配慮」について英国を批判している。だが、配慮に代わるものは対立だ。中国の経済発展は有益であり、不可避だ。そのため、必要なのは賢明な配慮だ。

 中国が中国自身と世界にとって理にかなうことを提案する場合、傍からケチをつけるよりも関与する方が賢明だ。昔の米国の政策立案者はある時、中国に「責任あるステークホルダー(利害関係者)」になるよう求めた。中国はAIIBの創設で、まさにそれをやっている。

英国の決断の効用

 だから、英国と他の欧州同盟国のアプローチは称賛されるべきだ。さらに言えば、AIIBに参加するという英国の決断は、米国にとって有益なショックになる可能性さえある。確かに、英国と米国など、似たような利益と価値観を持つ国々が一体となって発言、行動できたら望ましい。

 また、確かに、英国は最も重要な国際的パートナーのそれと異なる方針を採用することでリスクを取っている。だが、支持というものは奴隷的になってはならない。それが誰の利益にもならないことは分かっている。

 さらに、もし英国の選択が米国の政策立案者に、リーダーシップは権利ではなく、獲得しなければならないものだということを明確に示したとすれば、その決断が有益な結果をもたらす可能性が十分ある。第2次世界大戦後の数年間、ふと冷静さを取り戻した時に、米国は現代世界の制度機構を築いた。だが、世界は先へ進んだ。

 世界は新しい機関を必要としている。新たな大国の台頭に適応しなければならない。ただ単に、米国がもう関与できないからと言って、世界は止まらない。もし米国がその結果を気に入らないのだとすれば、米国は自分を責めるしかない。

By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43312

 キャメロン首相の凡ミスの代償
2015.3.26(木) Financial Times
(2015年3月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英首相、全国で地方分権推進を約束、スコットランド独立否決
BBCのインタビューで「3期目は目指さない」と述べたデビッド・キャメロン首相〔AFPBB News〕
 英国の政治家は長年、率直な質問に率直な答えを返せないことで愚弄されてきた。このため、デビッド・キャメロン首相はもしかしたら、今週のBBCのインタビューで、5月に2度目の負託を勝ち取ることができたら2020年に首相として3期目に立候補することはないと無邪気に明かしたことで賞賛されるべきなのかもしれない。

 この発言は、政治ばかりにとらわれず、どんな人であれ、ナンバー10(ダウニング街10番地の英国首相官邸)にとどまれる期間には現実的な限界があることを理解している人間だという印象を与える。

 だが、えげつない政治の観点からすると、キャメロン氏は危険な譲歩をした。強いられたわけではないだけに、なおのこと驚くべき譲歩だ。

 大半の近代民主主義国では、権力の座を狙う党首は無限のエネルギーを持つという印象を与えようと必死になる。自身の政治生命の終わりをほんのわずかでもほのめかしたら、蒸発しかねない印象だ。

なぜ今、自らのリーダーシップに期限を設けたのか?

 トニー・ブレア氏が2004年に同じような発表をした時(同氏の場合は4期目を目指す可能性を否定した)、当時労働党党首だったブレア氏から即座に権威が失われた。

 キャメロン氏が一体なぜ、気軽な雰囲気のテレビインタビューで、ニンジンを切りながら*1自身のリーダーシップに期限を設けたのかは、理解し難い。そんなことをする必要はなかった。2004年当時のブレア氏とは異なり、キャメロン氏は自身の率いる政党よりも人気がある。

*1=キャメロン首相はオックスフォードシャーの選挙区にある自宅で、自ら食事の用意をしながらインタビューを受けた

 5月の選挙の結果はあまりに不透明なため、今から5年後に誰がナンバー10の主になっているかを巡る憶測は存在しない。実際、もし英国の有権者が5月にもう1度負託を与えてくれれば3期目は目指さないというキャメロン氏の主張は、自己満足し、傲慢なように見える恐れがある。

 また、後継者になる可能性がある人の名前を挙げることで、キャメロン氏は精彩を欠くにせよ規律の取れた保守党の選挙運動を混乱させた。

 これまでは、高額報酬を得ている保守党のスピンドクター、リントン・クロズビー氏が党を厳格にコントロールし、保守党の「長期的な経済計画」と、労働党のエド・ミリバンド党首と比べた場合にキャメロン氏の強さと見なされるものを喧伝することに集中させてきた。

 総選挙の投票日の7週間前にキャメロン首相が保守党党首の座を巡る争いのスタートを告げる銃を撃った時、クロスビー氏が即座に示した反応は想像するしかない。

 自身の将来に関するキャメロン氏の不用意な発言が保守党の目標に最も大きな打撃を与える結果になりかねないのは、5月の選挙後に生じるかもしれない状況においてだ。

総選挙の結果次第では党内の反乱も

雨漏りにネズミ、英国会議事堂の老朽化に警鐘
5月7日の総選挙まで7週間を切った〔AFPBB News〕
 確かに、もし保守党が議会の過半数を押さえて首相がナンバー10に戻ってくれば、キャメロン氏のリーダーシップがすぐに挑戦を受けることはない。

 1992年のジョン・メージャー氏の勝利以来初めて、過半数確保という偉業を成し遂げた保守党党首として称えられることになるだろう。

 しかし、キャメロン氏が再び連立樹立を目指すか、あるいは少数派政権を選ぶか、どちらかを余儀なくされることも考えられる。どちらの場合も――だが、後者の場合は特に――、保守党議員はキャメロン氏を、解散総選挙で過半数を確保できる可能性がより高いと見られる人物と交代させる衝動に駆られるかもしれない。

 キャメロン氏はナンバー10での自身の任期が終わりを迎えるのをすでに想像できると言い切ることで、そのような反乱を勢いづけた可能性がある。

 もちろん、誰が保守党を率いるかという問題は、党が決めることだ。キャメロン氏は保守党の目的にとって欠くことのできない存在ではない。

 だが、懸念されるのは、同氏の発言が、保守党が一貫した政策の趣意書を国民に提示しているべきまさにその時に、将来の党首レースに関する憶測を煽ってしまうことだ。

 政治の世界では、過去数週間、テレビ討論を巡る論争や政党資金、そして今度はキャメロン氏の将来が話題を占めてきた。議会が来週解散されたら、すべての政党は党の外に目を向け、英国民が直面している本当の問題に取り組み始める必要がある。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43314
 

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