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ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報
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(略)
鳩山由紀夫元首相がクリミアを訪問したことが日本を騒がせている。鳩山元首相は、日本の反米系右翼団体「一水会」のメンバーと行動を共にしているようだが、毎度のことだが鳩山氏の行動は、読めない。あえて言えば、より大きな地政学上の地殻変動の中で起こっている「ノイズ」といえばいいかもしれない。
ネイト・シルバーではないが「シグナル」と「ノイズ」を見分けることが重要で、鳩山のクリミア訪問は大きな世界の動きからすれば「ノイズ」。それを良いか悪いか話しているネトウヨもネトサヨもノイズを追いかけているのではないか。
そして、本当に重要なのは、今朝の「日経新聞」に出ていたこのニュース。
(貼り付け開始)
中国主導のアジア投資銀に英参加 G7で初
日本経済新聞(2015年3月13日)
【北京=大越匡洋】英国財務省は12日、中国主導で今年末に発足するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加する方針を発表した。主要7カ国(G7)で参加するのは英国が初めてだ。国際金融機関として信認が高まり、カナダやオーストラリア、韓国なども追随する可能性がある。AIIBの構想に距離を置いてきた米国や日本の対応が今後の焦点となる。
これまでにAIIBには東南アジアなど27カ国が参加を表明していた。最終的に1千億ドルとしている資本金の大半を中国が負担し、初代総裁のポストも中国が握る見通しだ。
すでに英国は日米などG7各国にも参加の意向を伝えたもようだ。ロンドンを中国の通貨・人民元を使った金融取引の中心的な市場に育てる考えだ。AIIBを後押しし、中国との関係強化をテコに人民元取引の増大や中国・アジア市場での影響力の拡大を狙う。
オズボーン英財務相は12日の声明で「英国が西側主要国で初めてAIIBの創設メンバーになることをうれしく思う。英国とアジアの連携強化は英国企業が世界で最も成長著しい市場でビジネスと投資の機会を得るための長期的な経済計画の柱だ」と強調した。
英国は今月中にAIIBの設立協議に加わり、「AIIBの組織運営の透明性の向上などに重要な役割を果たしたい」(英財務省)としている。中国財政省は「英国の決定を歓迎する。ほかの参加国と協議したうえで、英国は早ければ3月末にAIIBの創設メンバーとなる」との声明を発表した。
米国と日本は両国が中心となって運営してきたアジア開発銀行(ADB)と役割が重なるほか、組織運営に不透明さが残るなどとして、AIIBへの参加に慎重だった。米国が主導してきた国際金融秩序への挑戦と受け止める警戒感もある。英国の参加をきっかけに、米中間の国際金融の枠組みを巡る主導権争いが一段と激しくなりそうだ。
(貼り付け終わり)
このニュース非常に重要である。なぜなら2015年に始まる世界新秩序への移行を示唆するものであるからだ。世界秩序を握るのは金融の仕組みを作る人達。
ここで重要なのは、G7のイギリスが中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加するということ。これはアメリカ主導のTPPに対する強烈な打撃である。日本が主導してきたRCEPの流れにも打撃である。もっと言えばAPECをてこにしたアメリカのアジア外交に対する強力な横槍となる。
そこで13日付のフィナンシャルタイムズは「アメリカ側の不快感」を一面トップ記事で取り上げている。(US attacks UK’s ‘constant accommodation’ with China)
http://livedoor.blogimg.jp/bilderberg54/imgs/6/3/63e6d8d3.jpg
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イギリス側でAIIBの担当をしているのは財務長官のジョージ・オズボーンである。ビルダーバーグ会議メンバーだ。アメリカ側はルー財務長官が担当窓口。
アメリカは、属国である日本に管理を任せているアジア開発銀行(ADB)を利用しようと考えていたフシがあり、そこに対抗勢力としてAIIBが出てきた形になる。中国と新興国主導のAIIBは透明性に欠けるということで、豪州やニュージーランドのような旧イギリスのANZUS諸国の加入を牽制していた。
イギリスは旧植民地の香港を抱えていることや、シンガポールや香港の財界に深く根を張っていることもあり、中国やアジアに食い込みたかった。だから中国の人権政策や香港政策にあまり厳しい口出しをしないで中国を懐柔しようとしてきた。
去年からイギリスはロンドン・シティにおける人民元取引の取り扱い拡大に賭けている感じがあって、今回のAIIBへの出資も、中国やBRICSの投資案件にロスチャイルド系の欧州、アジア企業を絡ませたいということだろうし、イギリスの金融マンの金融ノウハウを中国に提供していくことで、中国をアジアにおける覇権国にのし上げていく、その中でHSBCなどの金融機関や、ジャーディン・マセソンなどのような商社、あるいは香港のケズウィック財閥などを通じて商圏を拡大、維持したいのだろう。
中国と旧大英帝国圏の結び付きを強めることになり、これはアメリカの利害とぶつかる。旧覇権国が現在の覇権国を牽制して新覇権国を育成するという路線だ。
この点でアメリカのTPP構想はイギリスにとって邪魔だったのではないか、
つまり、アメリカが日本を操り、イギリスが中国をパートナーとしてコントロールする。
アメリカ政府はイギリスのAIIB出資に怒っているようだが、ウォール街はゴールドマン・サックスなどのユダヤ系金融機関はロンドン・シティともつながっているので、結局はこのイギリスのシナリオに乗るのではないか。
アジアにおける日中冷戦の片方の立役者がアメリカ、もう片方の立役者がイギリスということである。
考えてみると、アメリカのアジア回帰を阻害したのが中東におけるイスラム国の台頭だが、あのジハーディ・ジョンも含めてイギリスの影が見え隠れする。
アメリカのネオコン放送局のFOXやウォール・ストリート・ジャーナルは、ルパート・マードックのニューズ・コーポレーションであり、マードックはユダヤ系のロスチャイルドグループの人間をニューズ社の取締役に迎えていたことがある。マードック自身はユダヤ系ではないようだが、ロスチャイルド・グループとのつながりは重要だ。
ニューズ・コーポレーションは今は手放したがユダヤ系ネオコンのビル・クリストルの雑誌「ウィークリー・スタンダード」などの親イスラエルメディアを保有していた。フォックスニュースもまたネオコンの報道機関といっていい。
アメリカの戦争ムードを過剰にあおっているのがフォックスニュースであり、最近もイスラム国に処刑されたヨルダン人パイロットの処刑動画をネットで公開したりと、好戦意識を何かと煽り立てるのが好きなメディアだ。
ともかくアメリカの外交政策を中東に貼り付けることで、結局アメリカのアジアへの関与が弱くなる。ここにイギリスが中国に関与するチャンスが生まれる。そのために、ネオコン系メディアを煽り立てて米共和党のタカ派の眼をを中東やウクライナでの戦争に向かわせているのだろう。アメリカのネオコン派にイギリスのロスチャイルドの手が入っていることは知っておいた方がいい。
IMFと世銀はアメリカ主導であり、中国がこの既存の秩序の中で影響力拡大できないので業を煮やして独自にAIIBやBRICS開発銀行を設立していることは否めない。アジアにおいてはAIIBのライバルは日本人が歴代総裁を務めるフィリピンに本部があるアジア開発銀行(ADB)だ。
イギリスと言えば、つい最近もHSBCのスイスのプライベートバンクでの脱税指南の問題が取り沙汰された。この脱税を指南されてきた顧客のリストの漏洩元は、IMFの専務理事の名前をとって「ラガルデリスト」と呼ばれているが、このリストはスイスのHSBCの銀行員である。今年になって、このリストの名前が欧米のメディアで詳しく報道されたが、例えばサンタンデール銀行の元頭取のエミリオ・ボティン(しかも故人)など欧州系富豪の名前ばかりだった。アメリカ系の名前は出さないことになっているのかもしれない。
イギリスにとってHSBC(香港上海銀行)は旗艦とも言える国際金融機関だ。ここにアメリカの横槍が脱税幇助の追及という形で入ってきた。このことにイギリスは内心、アメリカに対して穏やかならざる気分ではないだろう。
旧大英帝国圏のAIIBへの参加は少し前までは様子見という報道が多かったのに、結局、イギリスは参加することになった。アメリカにいつまでも付き従うよりも、「ブリティッシュコモンウェルス」に対するネットワークを再構築したほうがいいということになったのだろう。なぜならTPPはイギリスに対する「シマ荒らし」という側面もあるからだ。
日本はアメリカにべったり、中国はイギリスをうまく利用してアメリカにさらに肉薄することになる。イギリスが中国をコントロールしきれなくなったときが、大波乱の幕開けではないだろうか。
中国への「抱きつき」という、イギリス政府というか、ロンドン・シティの起死回生の秘策が吉と出るか凶と出るか。イギリスは中国主導のAIIBやBRICS開発投資銀行への参加を通じて、自国の外交力にレバレッジをかける。
イギリスは極東から遥か遠く離れている。「戦争」になっても火の粉は飛んできにくいという判断なのだろう。
日本は黙ったままであれば、米英の「冷戦」のコマとして中国にぶつけられるために使われるだけだ。
アメリカ以外の人脈を疎かにしてきたことの弊害だろう。
現在もマイケル・グリーンは来日中で、自民党・清和会の勉強会で講師などを務めているようだ。安保法制の法案も実際はグリーンが下書きを書いていることだろう。
安倍に対する対抗勢力となる二階俊博は、自身の二階派の政治家の西川公也前農水大臣と、中川昭一の未亡人の中川郁子農水政務官に対するスキャンダルを仕掛けられたことで、9月の総裁選への意欲を失いかけているようだ。
株価を公的資金(年金基金)をつかって買い上げていることで日経平均は19000円台を突破している。
ところが、中国主導のAIIBへ、イギリスが参加を表明することで、大西洋の盤石な同盟の米英同盟にゆらぎが見えている。
これはアメリカが、中国に対して世界銀行とIMFの議決権拡大を渋り続けていたためだ。イラン政策を巡っても米議会はネオコン系新人議員のトム・コットン上院議員を中心にした、イラン指導部への書簡を送ったことが、議会の大統領の外交権を阻害したとして問題視されている。コットン上院議員は、ネオコンのビル・クリストルから家族ぐるみの支援を受けていると言われている。
中国の国際金融機関への影響力拡大を渋り続けていたのがアメリカ政府と米議会であり、これに業を煮やしたイギリスロスチャイルド系が独自に中国と話をつけて、AIIBへの出資を決めたようだ。
すでにAIIBにはASEAN、中東の一部、シンガポール、インド、ニュージーランドなどが参加表明をしており、イギリスが参加していくことで、豪州も参加する可能性が出てくる。
そうなるとTPPやADBをつかったアメリカのAPEC主導の外交戦略(アジアン・ピヴォット)は大幅な変更を強いられる可能性もある。アメリカがアジアに回帰する前に、イギリスがアジアに回帰する形となったわけだ。
ただ、もとよりイギリスはアメリカのネオコン派のように凶暴に軍事力を使って、アジアを対立させようとはしていない。イギリスの思惑はビジネスの拡大である。
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