01. 2015年3月20日 08:51:10
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英国のAIIB創設参加、伏線に張られた中国マネー 急増する中国人旅行者の爆買いでも豊かになれない日本〜河添恵子氏 2015年03月20日(Fri) JBpress河添 恵子(かわそえ・けいこ)氏 ノンフィクション作家。主な著書に『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)『エリートの条件 世界の学校・教育最新事情』(学研)『中国人とは愛を語れない!』(並木書房)などがある。(撮影:前田せいめい、以下同) マット安川 ノンフィクション作家で共著書『国防女子が行く』も話題の河添恵子さんをお迎えして、春節の爆買いや習体制下の軍拡、環境問題、経済状況など、中国の最新情勢について幅広くお聞きしました。 中国人観光客で売り上げ増えても利益は出ない? 河添 中国の人が日本に来ての「爆買い」が話題になりました。彼らは不動産や株で不労所得を稼いだ人たちですが、100万円もする高級時計をさかんに買っているんですよね。 中国政府は今、その種の高額商品を買うことを禁止しています。ワイロに使われるのを防ぐためですが、日本で買いまくっているんですから皮肉な状況です。 見過ごせないのは、外国人観光客に対する消費税免税措置です。消耗品もまとめ買いすれば8%オフになります。転売しないで自分で使うのが条件ということになっていますが、中国の人の消費動向からすると目的は転売かワイロなんです。 香港ではブランド品を買って中国で転売するのはやめてくれというデモも行われています。デパートの売り上げに貢献するという意味ではいいと思いますが、消費税免税は日本人に対する逆差別でしょう。 もうひとつ指摘したいのは、世界のどこを旅行しても彼らがお金を落とすのは中国社会に対してだということです。航空会社も旅行社も中国の会社。中国資本のホテルに泊まり、朝昼晩中華料理を食べて、家電はラオックスで買うという具合。
ラオックスは数年前、中国企業に買収されました。その実態を知らずに、買い物する彼らを見ては「中国人はお金持ち」などと感心するコメンテーターがいますが、アホかしらと思います。 サービス業界では中国語を話せるスタッフが必要だと中国の人を雇用したり、中国のテレビを見られるようにしたりするホテルもあったりします。たしかに中国からの旅行者は増えていますが、あの国は独裁政権ですから、旅行者の数を急に増やすことも減らすこともできるんです。 旅行者の急な増減は経営を不安定にします。台湾ではそのせいで旅行社がつぶれていますし、カナダでは中国資本に乗っ取られるという問題も起きています。中国人を呼び込むことの経済効果ばかりを期待する人は物事の一側面しか見ていないんです。 私は旅行社をたくさん取材しています。北海道に行ったときに印象的だったのは、売り上げと利益は別だという話でした。中国人相手では利益なんて出ないっていうんですね。 一泊3500円に負けてくれ、朝晩の食事はバイキングにしてくれ、カニをいっぱいつけてくれ・・・。要求ばかりされて、客を呼ぶほど赤字になるそうです。しかもめちゃくちゃ汚される。カーテンはべとべとだし、シーツは捨てないといけない、と。 そういうことを補う利益があればいいんですけど、現実は厳しいようです。 アメリカとの関係悪化をよそにドイツ、イギリスに接近 今の米中関係はとてもよくありません。特に南シナ海での米海軍との関係はほとんど敵と言っていいレベルです。でも中国は一方でヨーロッパとの関係を深めています。褒めるわけではありませんが、非常に外交がうまいんです。 特に欧州連合の中心、ドイツとはもうずぶずぶの関係です。習近平(中国国家主席)さんは毎年メルケル(ドイツ首相)さんとハグしていますし。ここ1〜2年はイギリスとの関係も深めています。 中国のうまいところは、リーマン・ショックで欧州経済がガタガタになったときを狙って入り込んだことです。ハゲタカのように飛んでいって、しかし救世主であるかのように演じました。 そしてダライ・ラマさんなどが絡む人道的アクションを封じた。メルケルさんがダライ・ラマさんと会った翌年は、ドイツの国内経済が2割もダウンしました。 中国は相手がそういうことをすると、独裁政権だけにこっそり制裁するんですね。イギリスのキャメロン(首相)さんも、次の選挙を考えて中国を敵に回せないというのが実情です。 多くの方が見過ごしていますが、中国はイギリスと新時代の関係を築きつつあります。 2010年、莫大な石油利権を持つイギリスの企業、BPがメキシコ湾で原油流出事故を起こしたとき、中国はBPの負担を肩代わりしました。世界的な存在感を誇りながら、下手をすると裸の王様になりかねないイギリスの立ち位置を見据えてのことです。 こういうところが非常にうまいと思います。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)にイギリスが参加を決めたのも、そうした流れの中の出来事でしょう。 中国にはイギリスと関係を深めることでアメリカを牽制したいという思惑があります。日本の報道は、2つの大国である米中の関係がよくないということに止まっていますが、中国はそういうレベルを卒業しています。彼らがもっと多角的に外交を考えていることを知るべきです。 中国と付き合っている限り、日本人は豊かになれない 日本人が今冷静に振り返るべきはこの20年の歴史です。日本経済の高度成長期は中国と深くお付き合いする前、昭和の終わりまででした。
国交正常化は1972年のことですが、80年代まで経済関係はほとんど希薄だったのです。ちょうど中国との関係が深まる中で、産業空洞化、デフレスパイラルといったいろいろな問題が起きてきました。 一方、中国の高度成長期は日本と深く付き合い始めてからです。日本に投資してもらって世界の工場という看板を掲げ、経済を拡大しました。中国は日本によって、日本は中国抜きで高度成長を遂げた。中国とお付き合いしている限り、日本人が豊かになる時代は来ません。 経済人に見てほしいのは、中国に進出しなかった企業こそが今の勝ち組だという事実です。私はいろいろな企業にお邪魔して講演しますが、行かなくてよかったという声をしばしば聞きます。それに対して行ってしまったところは悲惨です。借金が増えただけだったりします。 中国は20年前まで日中友好、一衣帯水の関係を強調していました。しかしその後は急に、日本をめちゃくちゃ悪者にし始めた。日本はとんでもないことをしてきたと言うようになりました。 南京とか慰安婦とか、中国には歴史のことで訳の分からないウソばかりつかれていますけど、こういう現代史を振り返れば、どちらがウソをついているか、どちらがまじめに働いてきたかなど、実感として分かることがいっぱいあると思います。 中国の実態を正しく知ることはできない 中国共産党の政府はある種の広報集団ですから、めちゃくちゃなことがあっても隠したり、解釈を違えたりできます。これからの中国経済は低成長だが成熟の時代を迎えると胸を張ったり、ウイグル族をテロリストのように言ったりするのもそういうことです。 実態はといえば、餓死者は出るしテロは起きるし、ほとんど内戦状態です。そもそも政府のトップが粛正し合っている、つまりは殺し合いをしているんですから。政府高官の子供たちが名前を偽っているのも、本名を知られると殺されかねないからです。 日本のメディアはそういう実態を報道しません。すれば支局ごと追い出されるからです。日本のメディアなのに中国政府がいいよと言うことしか報道しない。民放であれば、スポンサーの意向というものがあります。大企業は中国との関係が深いので、ここでもストップがかかる。 文革時代に偉大なる革命をやっているとか書いた朝日新聞みたいな新聞もあります。私に言わせれば、中国の実態を正しく知ることなど無理なのです。 「マット安川のずばり勝負」2015年3月13日放送 「マット安川のずばり勝負」マット安川/前田せいめい撮影 マット安川(本名:安川昌之) (株)オフィスヤスカワ代表取締役。1973年1月10日生、神奈川県出身。O型。大学在学中から30種以上の仕事に携わり、のちに渡米。語学を学び、インターンシップ、のち現地法律事務所へ勤務、3年間マネジメントを担当する。帰国後、各界著名人のトレーナー兼マネジメントなどを手がけ、企業コンサルティング、事業マッチングのほか、TV・ラジオの番組DJ・企画制作など多方面に活躍中。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43231
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