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イラン「核武装までの時間」焦点 米「1年以上」要求
枠組み合意期限迫る イランは「制裁全廃を」
【ワシントン=吉野直也、ドバイ=久門武史】イラン核問題の包括解決に向け、米欧など6カ国とイランが枠組み合意を目指す3月末まで残り3週間となった。焦点は「イランの核武装にかかる期間を長引かせる」という米国の意図が実現できるかどうかだ。歩み寄りの兆しも一部にあるが、経済制裁の解除で深刻な溝も残る。駆け引きが活発化する一方、交渉への懐疑論がある米議会では野党・共和党がオバマ政権への揺さぶりを強めている。
ケリー米国務長官とイランのザリフ外相は15日、スイスのローザンヌで協議を再開する。イランと6カ国は6月末までの最終合意を目指し、骨格となる枠組み合意を3月末までにまとめるとしている。ケリー氏は7日、「一定の進展はあるが、相違点が残っている」と述べた。
「2カ月で製造」
米欧などが注力するのは、いかにイランの核武装を遠ざけるかだ。イランは公式には核武装はしないとしているが、既に大規模なウラン濃縮施設を持っており、決断さえすれば2カ月程度でウラン型核爆弾を作るのに必要な高濃縮ウランを製造できるとの見方がある。
オバマ米大統領は2日、この期間を「1年以上」に延ばすべきだとの考えを表明した。万一イランが核武装する方針に転じても、軍事攻撃などで対処できる時間的余裕を確保する狙いとみられる。
米国はイランに対し、現在約1万9千基ある濃縮用の遠心分離機を「数千基」まで削減するよう要求。この数千基という数字は、稼働中とされる約1万基とかけ離れてはおらずイランが譲歩する余地はある。イランが保有する濃縮済みウランについても、ロシアなど国外への搬出といった妥協案が検討されている。
合意には一定期間の核開発制限も盛り込む公算が大きいが、イランは見返りに米欧による経済制裁の全面解除を要求。特に経済への打撃が大きい原油輸出と銀行取引に関わる制裁を解くよう訴えている。米国は合意を守らせるため段階的な解除にとどめたい考えだ。
イランと6カ国の交渉と並行して、米議会での駆け引きも活発になってきた。9日にはマコネル院内総務ら上院議員47人がイラン指導部に宛てた書簡を発表した。
揺さぶる米野党
「次期大統領が一筆書けば取り消すことができる」。マコネル氏らが公表した書簡には、この一文が盛り込まれている。6カ国とイランが核問題で合意に達したとしても「次期政権では保証されない」という意味だ。妥協するかどうかのギリギリの決断を迫られているイランにしてみれば、判断を迷わすには十分だ。
上下両院で多数を握る共和党は、イランに低レベルのウラン濃縮などを認める形になる現在の交渉に反対の立場だ。昨年まで上院は民主党が多数派だったため、制裁強化法案を提出しても否決されてきた。オバマ氏はこの先同様の法案が出てきた際には拒否権を発動する構えだが、共和としてはその過程でイラン核問題への自らの考え方を訴えることができるとの読みだ。
交渉が大詰めに入るなかでオバマ氏は「米議会のメンバーがイランの強硬派と協力しようとしているのは皮肉だ。異常な提携だ」と非難。共和の一連の行動が、イラン国内で核協議に反対する同国強硬派を利することになると指摘した。
アーネスト米大統領報道官も「大統領の外交遂行能力と国家安全保障の利益を傷つけようとする党略だ」と非難。今月末までに枠組み合意できなければ、米側は交渉を延長しない方針だ。
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イランの核なぜ問題? 高濃縮ウラン、兵器転用懸念
大詰め段階に入ったイランの核開発問題を巡る同国と米欧など6カ国の協議の焦点を探った。
Q イランの核開発問題とは。
A 2002年に反体制派がイランの核開発計画を暴露し、国際原子力機関(IAEA)に申告せずに核開発を進めていたことが判明した。IAEAは11年、核兵器開発の疑惑を指摘。イランは全面的に否定し、「核の平和利用」の権利を主張している。
Q ウラン濃縮の何が問題なのか。
A イランは10年に濃縮度を約20%に高めたウラン製造に着手し、濃縮能力の強化を続けた。核爆弾に使うには濃度を90%まで高める必要がある。ただ20%という中程度の濃縮技術を確立すれば、兵器レベルへの濃縮はそう難しくない。また、ウラン型核爆弾はプルトニウム型と比べ構造が単純で、高濃縮ウランさえ手に入れば爆弾の組み立ては比較的容易だ。それを考慮すると、イランは核兵器入手に相当近づいているといえる。
Q 高濃縮ウランをつくるまでの期間が焦点になりつつある。
A ケリー米国務長官は14年、イランがひとたび決断すれば約2カ月で可能だとの見方を示した。オバマ米大統領はこの期間を「少なくとも1年以上」に延ばすべきだとの考えを表明した。これは、仮にイランが先々、核拡散防止条約(NPT)脱退と核武装を宣言したとしても、すぐには核兵器を入手しにくい状態にし、外交や軍事的手段で対処できる余地を残しておこうとするものだ。
[日経新聞3月11日朝刊P.6]
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