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「混迷のアラブ世界 ”国家崩壊”の連鎖」出川展恒/nhk解説員室 2015.3.5
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/210738.html#more
「アラブの春」と呼ばれたアラブ諸国の政変から4年。長期独裁政権が倒れた国々は今どうなっているか。
ごく一部の例外を除いて、「民主的なくにづくり」がうまく行っている国はありません。それどころが、国が次々と壊れてしまう、「国家崩壊の連鎖」とも言うべき深刻な危機が広がりつつあります。
そのことは、ISをはじめとする過激派組織が各地で増殖・拡大する原因ともなっており、テロの脅威を世界全体に拡散させています。
先週26日、アメリカのクラッパー国家情報長官が、議会の公聴会で証言しました。
長官は、去年、世界で発生したテロ事件について、「1月から9月までの間で、およそ1万3千件発生し、犠牲者は、3万1千人にのぼった。統計がある過去45年間で最悪になる見通しだ」と述べました。
「過激派組織の数、メンバーの数、そして、支配地域が史上最大の規模となった。とりわけ、ISが他のどのテロ組織よりもテロを行った」と指摘しました。
世界は、かつてなく危険で、いつ、どこにいても、テロの脅威にさらされる時代と言えます。
そのISが本拠地としているシリア内戦は、全く収束する兆しが見えません。同じく、ISが活動するイラクも、12年前、フセイン政権が倒れた後の新しい国づくりの中で、異なる宗派と民族の間の対立が噴出し、ISの台頭を許す結果を招きました。ISは、従来の過激派組織と異なり、まず領土を獲得することを目標としています。
「人々が『アラブの春』と呼んだ出来事は、実は『アラブの悪夢』だった」。
これは、アラブのある大使がつぶやいたコメントです。
アラブ世界で起きていることを、大ざっぱにまとめると、次のようになります。
・革命や戦争で、長期独裁政権が倒れた。
・民主化をめざし、新しい国づくりが進められ、選挙も行われた。
・ところが、期待されたような民主的で安定した政権は、いつまでたってもできず、むしろ、国内の対立や混乱が深まった。
・いくつかの国では、外国から戦闘員が入り込み、内戦状態に陥る。
・やがて、政府の統治が行き届かず、治安も守られていない地域、「権力の空白地帯」が、あちこちにできて、そこが国際テロや過激派組織の拠点となって行く。
これが、アラブ世界が経験している、予期していなかった現実です。
いくつかの例(リビア、エジプト、イエメン)/詳細略
もし、イエメンが崩壊すれば、テロの脅威が、ますます世界中に拡散することになります。
このような、「国家崩壊の連鎖」と呼べる危機を止めることはできるでしょうか。すでに相当困難な状況です。
最大の問題は、国連の安保理が機能不全を起こしていることです。シリアの内戦を終わらせる取り組みは、1年以上前から中断したままです。
リビアやイエメンの危機も、何の打開策も打ち出せていません。常任理事国のアメリカとロシアの対立が、影を落としています。
アラブ諸国で「民主的な国づくり」を進めて行くというのは、今後、何十年もかかる難事業かもしれません。その過程で、国自体が崩壊すること、誰の統治も及ばない「権力の空白」が広がることだけは、何としても食い止めなければなりません。
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